今回は武田邦彦さんのブログ『武田邦彦(中部大学)』からご寄稿いただきました。
※この記事は2014年01月26日に書かれたものです。
■ニュース短信 籾井NHK新会長はすぐ辞任しなければならない(中部大学教授 武田邦彦)
2014年1月25日、新しくNHKの会長に就任した籾井さんが記者会見をしたが、これではどうにもならないという内容が多く含まれていた。受信料を払っている国民は新会長人事を拒否する必要がある。
理由-1:「政府が必要だと言うのだから、様子を見るしかない」(秘密保護法)
秘密保護法をNHKがほとんど報道(解説報道)をないことについて質問された籾井氏は、「政府が必要だということを取り上げる必要はない」と言った。
秘密保護法について多くの国民(受信料を払っている人)が内容を知りたいと思っているのに、簡単にニュースで報道するだけで、内容を詳しく取り上げない、その理由は「政府が必要と言っているのだから国民は知る必要はない」というのでは、少なくとも私はNHKはいらない。
理由-2:「政府が右と言っていることを左というわけにもいかない」
NHKの海外放送についての方針を聞かれた籾井氏は「政府が右と言えば右と放送する」と答えた。「歴史は思想や利権が先行する」と思っている人もいるし、政府がそういう傾向があっても良いが、報道は「歴史は事実が先行する」という考え方でないとだめだ。
かつて「大本営発表」と言われたものがあった。確かに戦争中、軍の発表はわが軍に有利になりがちだが、これには原理原則がある。たとえば、太平洋戦争の山場の海戦(ミッドウェー)で、日本軍は主力空母のすべてを失った。これについて、次の3つは、内容はそれぞれ「その立場」で正しい。
1.大本営は「日本の損害、軽微。大勝利」
2.NHKは「従軍記者によれば空母2隻を失った」(その時の観察)
3.学者「海戦で日本は主力空母をすべて失った」(戦後の調査)
大本営は戦争を遂行するという立場から、ある程度は粉飾する。世界各国がそうしているなかで日本だけが正確な発表をしなかったといってもそれは過酷だ。
でもそれを補うのが報道で、従軍記者をだし、「どうも空母が2隻は沈んだようだ」という報告をする。これによって国民は政府発表とNHKの記事の差を理解することができる。
それから数年後、今度は学者が十分に調査して「最終的に正しい結果」というのを論文に書く。この内容がNHKと違っても問題はない。即時報道するNHKとじっくり研究する学者では結果が違う。
でも籾井氏のように最初から「政府の通りでよい」と言っているのなら、税金で運営し、国営放送としなければならない。国営放送なら今、NHKで放送されているお笑い番組やバラエティなどのお金は払うことができない。
政界は慰安婦問題に焦点が合っているようだが、いずれにしても、籾井氏の会長辞任の署名運動をして、辞任してもらうか、受信料を払う必要がないか、どちらかだろう。
執筆: この記事は武田邦彦さんのブログ『武田邦彦(中部大学)』からご寄稿いただきました。
寄稿いただいた記事は2014年02月03日時点のものです。
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