宇宙工学を応用した完全人工心臓がそのベールを脱ごうとしています。欧州宇宙機関は12月5日、フランス人心臓外科医のアラン・カルパンティエ教授が発案した完全人工心臓の臨床試験がフランスで認可されたと発表しました。
カルパンティエ教授は、欧州航空防衛宇宙会社傘下のアストリウム社と完全人工心臓の共同研究を長年続け、2008年にカーメット社を設立しました。世界で最も使用されている人工心臓弁の開発で知られる教授の専門知識と人工衛星建造を手掛けてきたアストリウム社の経験を組み合わせることで、カーメット社は完全人工心臓の生産に成功しました。
人工衛星に必要とされる精度・耐久性を保証する技術が人工心臓開発に応用されることについて、アストリウム社のマチュー・ドロン氏は「宇宙と人間の体内には多くの共通点があります。人工衛星は宇宙での失敗が許されず、宇宙での維持管理も不可能です。衛星の一部が損傷したら、どうすることもできません。その点は人工心臓も同じです」と語っています。
心臓をまるまる取り替える完全人工心臓は、日本人の死因順位で第2位(第1位はガン)である心血管疾患治療の切り札と長年注目されてきました。医学、生物学、電子工学、物質科学といった各分野の最新技術を組み合わせた完全人工心臓の実用化に向けた動きは着実に前進しています。
画像: カーメット社ウェブサイトより
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