今回は武田邦彦さんのブログ『武田邦彦(中部大学)』からご寄稿いただきました。
■健康な生活のために・・・痛風(中部大学教授 武田邦彦)
私は声が大きかったり、何かに夢中になったりして人に迷惑を掛けがちな性格だからかも知れないが、神様にときどき「お灸」を据えていただく。その一つが痛風だ。
なにしろ飛び上がるほど痛い。足が腫れる、歩けない・・・ひどいものである。
それに加えて、牛肉、ビール、伊勢エビ・・・「お前は贅沢なものを食べているから」と言われるが、私の食生活はB級が多いので、贅沢ではないが、確かに肉とビールは好きだ。
今でも痛風の同志に会うと、食べ物に注意している。でもそれはすでに間違っていると言われている。今から30年ほど前、ある東京の大病院の先生がご退職になるというのである人が夕食の会を持ってくれた。その時に、「私の経験では痛風は食事と関係がないと思います」と言われた。
その後、いろいろな書物で調べてみたら、痛風は血中に尿酸か類似化合物が針状結晶が析出し、それが血管壁を損傷するからと考えられているが、体内の尿酸量は体の合成でコントロールされ、食事から直接、採るのは全体の2%にしか過ぎない。
もっとくわしく言うと、尿酸の体内の合成ルートは4つあり、なかなか複雑ではあるけれど、「食品がそのまま尿酸になるわけでもなく、食品の中に尿酸があれば、それがまた直接、体内に取り込まれるわけでもない」という方が正確だ。
だから、痛風という病気は、体内の尿酸量を調整する力が不足するからと考えるのが適当である。これはコレステロールなども同じで、「体の調子が悪い」ことをそのままにして「食事を制限する」というのは本質から外れる。
かくして、私は心を入れ替え、健康でストレスのない生活をして、好きな肉もビールも飲むようにしたら痛風はこのところ10年ほど無くなった。だからこれが万人に有効かどうかは不明だが、「病気には病気の原因がある。それをそのままにして食事の制限をするのは邪道」というのが考え方だ。
執筆: この記事は武田邦彦さんのブログ『武田邦彦(中部大学)』からご寄稿いただきました。
寄稿いただいた記事は2013年10月02日時点のものです。
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