またその一方で、原稿料や著作権に関する出版社との歯に衣着せぬやりとり、漫画onWEBの立ち上げ、フジテレビによるトラブル、『ブラックジャックによろしく』の二次利用フリー化、そして最近では赤裸々な離婚の報告など、多くの話題の中心に居る人物でもある。
そんな佐藤秀峰さんが新オフィスを構えた。それだけだと単なる引越しに聞こえなくもないが、「新しい試み」も踏まえての移転でもあるという。新しいオフィスをジロジロと見ながら、秀峰さんにお話を伺ってみた。
●当初はカフェのように色々な人が出入りできるようなオフィスも考えていた
―― かなりのオシャレオフィスになったんですね! 外国の新聞社とかバーみたいな印象です。
佐藤秀峰さん(以下佐藤): 結構予算がかかるので、天井とか打ちっぱなしの状態になってしまって。本当は白く塗りたかったんですが。
広さは前と同じくらいなのですが、ワンフロアだとやっぱり広いですね。
――こんなところにオシャレ自転車も!
佐藤: それ、山本英夫さんが引っ越し祝いにくださったんですよ。調べたら結構高いんですよ(笑)。さすが金持ち!って思いました(笑)。
―― そもそも引っ越しの動機って?
佐藤: 仕事も増えて、人の出入りが多くなってきたからですね。前のところは(マンションだったので)オフィスとして構えるには色々と不都合も出てきていたんです。あと、離婚もあったりしたのでタイミング的にもちょうど(苦笑)。
―― 他の机がいくつか空いています。
佐藤: スタッフ以外の場所は、当初、カフェ感覚で他の人が使えるスペースにしようかと思ったんです(※)が、いろいろ考えて同業の人にまとまったお金で貸そうかな、と考えています。
※関連: ブロマガ『少年佐藤秀峰』続・なぜ僕は事務所を移転する必要があるのか?
http://ch.nicovideo.jp/shuhosato/blomaga/ar325580
佐藤: バーカウンターもつけたので、夜はそこで情報交換したりできればなあと。1杯いくらでお酒だして、そのお金で家賃が回ればいいなあ、なんて考えたりしてました(笑)
●スタジオによる作品
―― 今作業されているのはいつもの(佐藤漫画製作所の)スタッフさんですよね
佐藤: そうです。今は、週4日で僕の作品手伝ってもらって、週1日は二人のスタッフにスタジオで作る(漫画)作品を手掛けてもらっています。
―― スタジオ作品、ですか。言い方が変かもしれませんが、スタジオジブリとかのアニメーション作品のようなイメージが浮かびました。
佐藤: そうですね。1年に1本くらいのペースでつくるスタッフによる作品です。ただ、スタジオ作品は会社として著作権は持たないです。著作権はメインで制作した二人にあります。僕とか会社は、管理に徹底しようかなと考えています。マネジメントやインタビューのコーディネートだったり、税務管理をしたり、発表先、公開先の媒体を探したり……。
雑誌社の編集さんの仕事に近いですね。
取材インタビューのときも、僕は後ろで聞きながらたまに質問してみたり、あとでちょっと二人に反省点を指摘したり(笑)。
―― ある意味で「漫画を描いていた人が編集サイドに回る」というのは理想の形だとも思います。が、そういった前例ってありそうでないですよね。
佐藤: ないかもしれませんね。僕が居なくても会社として回るような体制が作れたらいいな、とは思っています。
―― スタジオ作品、お金の部分はどうするんですか。
佐藤: 売れたら、本人たちから数パーセントいただこうかと。中抜きでやっていくイメージです(笑)。
制作費については会社から出していますが、基本的にスタジオで作る作品は会社の活動とは別です。(スタジオ作品の)制作中でも「会社を辞めるな」とか「独立するな」とは言いません。デビューは自由ですので。そこは著作権を持っている作家として作りかけの作品をよろしくね、という感じですね。
※関連: なぜ僕は事務所を移転する必要があるのか?http://ch.nicovideo.jp/shuhosato/blomaga/ar278259
●“リアディゾンのポスター”に悩んだ過去とフリーアドレス化の試み
―― オフィス全体としてはまだ、レイアウトはまだ完成していないんですか
佐藤: まだ途中ですね。もうすこし家具とか増える予定です。
―― 秀峰さんの机の逆サイドにあるこちらの机はどなたのですか
佐藤: あ、それは佐藤智美さん(元奥さん)の机です。真ん中のテレビで子供がゲームしたり。
―― オフィスではご一緒されてるのですね。スタッフのみなさんの作業環境は変わりましたか?
佐藤: 1人に1個、ロッカーを割り当てて、作業が終わったら私物は全てしまって、机の上はキレイにして帰る、というルールにしました。
今度新しいMacBook出たらデスクトップは処分して、液晶タブレットにノートつないで作業する体制にしようかなと。どの場所に座って作業しても良い、という風にしようと思います。
―― フリーアドレス(※)ですね。ちなみにうちの会社でも最近、一部フリーアドレスにしたんですが、反応は様々でした。
※社員・作業者が固定の机をもたず、どの席に座っても良いようにするオフィススタイル
佐藤: 経営者側はそうしたい、って思いはあるんですよね。
(固定の机だと)どうしてもみんな、自分の机にマーキングしたがるんですよね。前に自分の机の脇にリアディゾンのポスターを貼ったスタッフが居たんです。他にも写真や、自分の描いた絵を貼ったりするスタッフも出てきて。
僕、そのリアディゾンのポスターがずーっと気になって気になって。「なんて注意しよう……」って数週間悩んだんです(苦笑)。
―― 数週間、って長いですね。
佐藤: ある日、スタッフが休みの日に、そのリアディゾンのポスターを僕がベリッとはがして捨ててしまって。
―― うわ。揉めませんでしたか?
佐藤: そういうのは無かったんですが、ちょっと、スタッフと僕との間に溝ができた気がしました。
もう、そういうのを言いたくないから、新しいオフィスではルール化していこう、って気持ちがありました。
あと、ご飯を囲んで食べる場所をあえてなくしてみました。自分で買ってきて、好きな時間に食べるように。その方が効率がいいんじゃないかな、って。
これまでは、食事代も全て会社が出してたんですけど、それを廃止して。その代わり、食費として給料を上乗せしてみたり。
―― 作業効率あがりそうですか。
佐藤: まだわかんないですね。
―― 今後の目標や抱負などはいかがですか。
佐藤: うーん、当面はゆっくりやっていこうかな、と思ってます(笑)。
―― 今日はありがとうございました。
淡々と、包み隠さず話してくれた秀峰さん。写真撮影も「自由に撮ってください」と非常に気さくに対応してくれた。
「バーカウンターにお酒を並べて製氷機の設置をしたい」けど、実はこの場所、昼間は事務の方の作業スペースでもあるらしい。
「勝手にやったら怒られそうだなあ」とひとりごちる秀峰さんの姿が印象的だった。
こんな佐藤秀峰さんのホンネや近況はブロマガ『少年佐藤秀峰』でも読むことができる。
中でも『描いてみた』シリーズや二次使用フリーの1コマ連載『描男』、そして自伝的フィクション『佐藤まんが道』(「その1」~「その18」まで無料)など、ついつい読んでしまう面白さがあるのでおススメしたい。
少年 佐藤秀峰:佐藤秀峰チャンネル(佐藤秀峰) - ニコニコチャンネル:エンタメhttp://ch.nicovideo.jp/shuhosato/blomaga
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