今回はtokunoribenさんのブログ『拝徳』からご寄稿いただきました。
■低学歴の世界と高学歴の世界が交わるとき、そこには膨大な金脈が広がる。
アルバイトが冷蔵庫に入った炎上事件に端を発する一連のネット炎上事件は、低学歴の世界と高学歴の世界の対比の問題として、新たな議論を巻き起こした。
「はぁ。世の中には、そんなバカもおるんですね。関わりたくないですね。」と片付けたらそれまでだが、
実はこの低学歴と高学歴の世界が交わるときに膨大な金脈が広がっている、という意識を持てるか持てないか、というのが、ビジネスをやっていく上でとてもとても大切ではないかと最近僕は思っている。
幼い頃、父が芸能人がアホな回答をして大騒ぎするクイズのテレビ番組を見ながら、こんな番組ほんとくだらないと愚痴をこぼしていた。
それを見て幼心に自分でも、こんなふざけた番組をつくっている人らはさぞかしバカに違いない、と思っていた。
ところが、いざ就職活動というものをしてみて思ったのが、テレビ局というのはとても入るのが難しいのだ。
一流大学を出るのは当たり前で、その上でとても頭の回転がはやくて、とにかくいろいろすごい人がテレビ局に就職していった。
ああいうバカっぽい番組をつくってるひとはバカでも何でもなくって、ああやった方が世の中の大多数が見てくれて視聴率が効率よく稼げるというデータに基づいてわざとそういう番組をつくっているのだ。テレビ局とはそういうビジネスで、そしてテレビ局で働く人はこの国ではとても高いお給料をもらえるのだ。
ソーシャルゲームもそうだ。
携帯電話のボタンをぽちぽち押していくだけのゲーム、いい歳してカードとか合成とか恥ずかしくないのか? そう思っていた。
でも、世の中の大多数の人は、あれを面白いと思って数十万ものお金をつぎ込んで、会社はあっというまに数千億円の時価総額になった。
そしてあれをつくっているのは地元で、ジャスコにワンボックスカーでのりつけて、携帯をぽちぽちしている人らではなくって
一流大学やマッキンゼーを出ているような超エリートが徹底的にデータマイニングを繰り返しているような会社だった。
この国の、納税者ランキングや資産長者ランキングを見てみると、とても面白い。
莫大な資産を築いているのは、人類史に残るような研究をした人や、画期的なビジネスモデルをつくった人でもなんでもない。
サラ金やら、パチンコやら、ソーシャルゲームやら、衣料品メーカーやら、ファーストフードやら、健康食品やらそういうのばっかりだ。
ようは「いかに底辺層の世界で受けやすいニーズを見つけて、効率よく搾取することを突き詰めることができたか」が、この国で莫大なお金を稼ぐコツなのだ。
面白い話がある。リクルートという会社は数多くの起業家を排出している企業として有名だ。
なぜ起業家がたくさん輩出されるか。もちろんそういう独立を奨励する企業文化があるというのが大きいだろうが、
ある友人が面白いことを言っていた。
「リクルートに入ると、低学歴の世界に衝撃を受ける。」というのである。
リクルートと言えば、今や押しも押されぬ大企業であり就職人気ランキング入りの常連企業である。
毎年有名大学を出た優秀な若者が多数就職していく。
ところが彼らのやっているということはようは地域密着型広告代理店である。
かの有名な飛び込み名刺交換研修をみてわかるとおり、彼らの顧客は、飲食店、不動産、美容院やら、旅館、中小企業やら、そういうそこらへんにある地場のローカル企業が主要顧客なのだ。
こういう地場の店舗・企業、つまりオーナー社長やら、店長やらに頭を下げてうちの媒体に広告を出してください、とお願いして回るのが主たる業務であり収益源である。
この過程で彼らは、人生観を塗り替えるカルチャーショックを受けるという。
一流大学を出て、一流企業に就職して、出世競争に勝ちぬいて、役職がついて、それでようやく手に入るお金が平均年収1000万円かそこら。
そう信じていたのが、この実業のビジネスの世界だと、そこらへんの地場企業のオーナー社長が、一介のサラリーマンがどう逆立ちしても稼ぐ事のできないほどの報酬を平気で得ていたりする。もちろん、ここは学歴関係無しの世界で、大学に行くこと自体が珍しかったりするのだ。今まで自分が当たり前だと思っていた世界とは何だったのか、と思うらしい。
そして自分のビジネス領域には勘がえらくさえてるオーナー社長も、時代の波の変化やイノベーションにはてんで無頓着だったりする。
仕事をしてどっぷりその世界につかっていくうちに、いつしか「これはチャンスなのになぁ。俺やったら、もっとうまくやれるのになぁ。正直、あのおっさんでも成功できるんだったら、俺でもできるやろ。」という感情にかわる。それで起業に踏み切る。だからリクルート出身で起業する人は担当していた業界で起業する。そして今までの業界の矛盾や非効率な構造を変えるような仕組みをつくり、大成功する。というのだ。
「愚者は経験に学び賢者は歴史に学ぶ。」というドイツ帝国宰相ビスマルクの言葉がある。
経験というのは自分の主観的な感情であり、歴史というのは客観的なデータだ。
目の前にある事象に対してその場限りの感情的や運で捉えるのではなく、事象の中に関連性やデータを見出しそこから学べというのだ。
これこそまさにビジネスで大成功するための本質的ではなかろうか。
ゲームは底辺層の暇つぶし。くだらない。そこで終わる人がいる、一方で、人はなぜ、ゲームにハマるのか、何にお金を払うのかそこをどんどんデータで突き詰めて、ソーシャルゲームをつくって莫大な富をつくる人がいる。
日本マクドナルドの創業者の藤田田氏は言った。
「ビジネスマンなら庶民に会え。庶民の言葉で考えろ。」
なお、藤田田氏の最終学歴は東京大学法学部である。
高学歴の世界から、低学歴の世界をあざ笑うのはとても簡単だし、それだけで優越感を感じられていて心地よい。
でも、優越感がお金になることは決して無い。
そして低学歴の世界と高学歴の世界が交わるとき、そこには膨大な金脈が広がっている。
自分はそこに行けるようにならないといけない。
執筆: この記事はtokunoribenさんのブログ『拝徳』からご寄稿いただきました。
寄稿いただいた記事は2013年09月02日時点のものです。
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