今回はmushさんのブログ『富士山に住むカメラ女子』からご寄稿いただきました。
■子供連れの富士登山者にいいたいこと。
8月になってから、子供連れの登山者が急激に増えました。特に今年は多いと感じます。
そうした中で気になるのがお子さんの高山病。
気づいてあげれない親が正直多いです。
頂上まで来て、グズる子供に怒る親。お子さんがグズるのには訳があるはずです。
タダ疲れているだけではなく、高山病になり始めている兆候かも知れません。
頭が痛かったり、熱っぽかったり、気持ちが悪かったり…直ちに下山を始めてください。酸素が薄い山頂はいればいるほどひどくなります。
お子さんを守れるのは親しかいないのに、判断ミスをおかす人がとても多いです。
昨日の宿泊客。お子さんが調子が悪くなり、高山病では?と話したところ、
「お金出しますから、どこか下の山小屋まで子供をおろしてくれませんか?」と言われました。
お子さんはまだ中学生。高山病で苦しむ子供を一人下ろして、何かあったらどうするのでしょう?高山病がさらに悪化したら?死に至ることもあるとなぜ気づいてあげないのでしょう?
こんな過酷な環境化に子供を一人にする神経が理解できません。
もう1つ、昨日の宿泊予定客。登山途中で山小屋に電話が。
内容は、12才の小学生のお子さん四人を連れ登山を始めたが(父親)、7合5勺で子供一人が体調が悪くなったため、その一人と一緒に五合目までおり、残りの三人は子供だけで頂上を目指している、と。
1度五合目までおりた父親は子供達に追い付けず、しかも先に進んだ子供達は携帯電話も持っておらず、連絡をする術がないとのこと。
到着予定時刻をとうに過ぎてもまったく姿を現さない子供達。チェックイン時間も夕食の時間を過ぎても到着せず、心配になり、他の山小屋に問い合わせたり、仕事を抜けさせてもらい探しに出ると、9合目付近にそれらしい姿が。
慌てて下山準備をし、子供達のいる場所へ行きました。
三人の内二人は元気でしたが、一人は高山病の症状が出ていて涙を流しながら、友達に支えられ必死に頂上を目指していました。
一人はこれ以上登ることも無理と判断し、他のスタッフを要請し二人は頂上へ連れていってもらい、私は高山病を発症した子供を連れ下山し、途中小屋に保護を依頼しました。
子供が落ち着いたのを確認し、私は頂上へ戻りました。
もちろん全てボランティアです。
頂上へ戻る中、積乱雲が発生し、少し恐い思いもしましたが、雷雨が来る寸前に頂上に着くことができました。下手したら自分の身も危険です。
そんな思いをしてまで救助しても、
今朝ようやく頂上でお子さんと合流した父親は、こちらから声をかけてようやく「すみません。」の一言で、気づいたら挨拶もせずいなくなっていました。
富士山はいつも危険と隣り合わせです。
高山病、低体温症、落石、落雷、滑落、遭難…大人でも死者が出る山です。
そんな場所で、どうしてお子さんから目を離せるのでしょう?
苦しみをわかってあげないのでしょう?
自分のお子さんを危険な目に合わせてまで登山をするなんて、親のエゴではありませんか?
もちろんちゃんとケアをして登っていらっしゃる方もたくさんいます。
御家族で素敵な夏の思い出を作っている方もたくさんいると思います。
どうか、みなさんがそうであってほしいと心から願います。
長文失礼いたしました。
執筆: この記事はmushさんのブログ『富士山に住むカメラ女子』からご寄稿いただきました。
寄稿いただいた記事は2013年08月27日時点のものです。
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