ある日の東京地裁。威力業務妨害罪の新件。たとえば殺害予告や爆破予告などで他人の業務を妨害した場合にこの罪で逮捕、起訴されたりする。今回の被告人は昭和35年生まれの男性。けっこういい年だ。なにかやむにやまれぬ大人の事情があったのか?
と思いきや全然違った。起訴状によれば、被告人は今年の4月、タレントの剛力彩芽さんが所属している芸能事務所にあてて、「剛力彩芽ファンクラブの皆さんへ、我々は依頼されて人を殺す60人です。警察に連絡をしたら殺す」など書いたファックスを何通も送信し、同事務所の正常な業務を妨害したとのことだった。さらに冒頭陳述によれば、剛力彩芽さんの出ているCMをテレビで観た際に一目惚れをしてしまい、どうにかして会いたいと思った末の犯行だったという。分別のつきまくっているはずの昭和35年生まれ(53歳!)とは思えない暴走ぶりだ。
罪状認否で罪を認めた被告人。引き続き冒頭陳述によれば、剛力彩芽さんに会いたい、握手したい、という思いが募り、考えた末、近所の児童養護施設になら来てくれるのではないか……と電話で所属事務所にその旨を打診。さらに、実際にその施設に剛力彩芽さんが来てくれたことを想定した企画などを独自に練っていたという。被告人の部屋からは、そこで行うパーティの計画表が押収され、証拠として提出されている。さらに、剛力彩芽さんの切り抜きが貼られた被告人手作りのアルバムも同様に証拠となっている。
今回、剛力彩芽さんに対しての想いが高まりすぎてこのような犯行を犯したのだろうが、なんと被告人が威力業務妨害罪で逮捕されたのはこれが初めてではなかった。
【社会】会津若松の病院爆破予告:爆破予告の男に有罪 女性の気を引こうという動機 地裁支部判決 福島[05/12]
http://news19.2ch.net/test/read.cgi/newsplus/1147361938/
2006年にも、病院に対して爆破予告を行い、威力業務妨害罪で有罪判決を受けている。このときの動機も、病院に勤める女性の気を引こうというものだったらしい。
被告人質問で被告人は弁護人の問いに対して「えと〜……今回の……(剛力彩芽さんを殺害するつもりは)ありませんでした」と、こもった声でたどたどしく述べていた。他人に危害を加えるつもりもなかったという。だったらこんなことをするんじゃない、と怒りたくなる。
「“赤い杖の男”になりすまして救いたかった……」
とも述べていた。“赤い杖の男”というのは、被告人によれば「え〜っと、事件起こして、助ける人なんですよ」とのこと。ファックスに、“赤い杖の男だけがこの場を救うことができる”みたいなことが書かれていたようだ。騒動を起こして自ら収束させるつもりだったらしい。“赤い杖の男”のヒントとして、自身のファンクラブ会員番号を組み替えた数字や、生年月日などを書いていたようなことを(相変わらずのこもった声で)言っていたが、ついていけない。どう考えてもムリだろう。
ところで、被告人は耳が悪く、弁護人は大きな声で質問をしていたが、なぜか検察官と裁判官は声を大きくすることはなかった。
検察官「あなた剛力さんと握手できれば、剛力さんが怖がってもいいと思っていたんですか?」(←全然声を張らない)
被告人「……」
検察官「大勢の人に迷惑がかかるとは?」(←相変わらず全然声を張らない)
被告人「もう一回お願いします」
検察官「大勢の人に迷惑がかかるとは?」(←やっぱり声を張らない)
被告人「あ、大変かけたと思ってます」
こんな調子である。
裁判官「今回の事件の前にお姉さんに相談したんですか?」
被告人「はい」
裁判官「お姉さんは何と?」
被告人「……はい?」
裁判官「お姉さんは何と言ってましたか?相談したんですよね?」
被告人「しません。犯行を言っていれば、必ずヤメろって言うので」
被告人も、よく聞こえていないのに返答していたのか、後から同じことを聞かれて答えを変えることもあった。かみ合っていないようだ。検察官も裁判官も、なぜ声を張らないのだろう……。この裁判は分からないことが多すぎる。
「お母さんが死んで悲しくなってストレスもたまり、こういう事件起こしました」とも述べていたが、亡くなったのは2年前だという。それより前の2006年にも事件を起こしてるのだから、母親の死は関係なさそうだ。
女性を好きになるたびに威力業務妨害罪を犯してしまっては、被告人もこの先大変なのではないだろうか。
画像引用元:flickr from YAHOO
http://www.flickr.com/photos/wikidave/6844294554/
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