2013年7月4日に公示される第23回参議院議員選挙から適用される、改正公職選挙法により解禁となった“ネット選挙”。これにより、ホームページやブログ、『Twitter』や『Facebook』といったソーシャルメディアだけでなく、『YouTube』や『ニコニコ動画』のような動画共有サービスや『USTREAM』『ニコニコ生放送』のような動画中継サイトの利用が可能になります。既に各政党や候補者の一部の中は『ニコニコ生放送』のチャンネルを開設。既に番組を配信しているものもあります。
しかし、公職選挙法第129条によると、“選挙運動”は選挙の公示・告示日から選挙期日の前日までとされています。現状でも公示前に生放送や動画が配信されているものは、違法になるのでは?
総務省選挙課によると、“選挙運動”の定義について過去の判例から「特定の選挙について、特定の候補者の当選を目的として、投票を得又は得させるために直接又は間接に必要かつ有利な行為」としています。つまり、放送や動画等で「投票よろしくお願いします!」という言葉を発した場合に、“選挙運動”とみなされる可能性があります。政党・候補者だけでなく一般の有権者についても公選法は適用されるので、公示日前に特定の候補を応援した場合はやはり違法となります。
ただし、「ユーザーが事業者とは無関係に当該事業者の一般的サービスを利用して選挙運動の期間外に選挙運動を行った場合、そのことのみをもってただちに当該事業者が公職選挙法違反により刑事責任を問われるものではないと考えられます」(総務省選挙課)ということなので、プロバイダーやサービス事業者にデータ削除を勧告する制度が存在しないこともあり、結果的に野放しになる可能性もなきにしもあらずです。
同じように、投票当日はの期間外に当たるので、投票を呼びかけるような生放送や動画配信はやはり違法。ただし前日までにアップ・掲載したものはそのままの状態であれば削除する必要はないとのこと。しかし、例えば『niconico』のコメント欄にコメントした場合は“更新”という扱いになるのでかなりグレーといえそうなので、ポストする際は気をつけたいところです。
※参考 【ネット選挙活動】「○○候補投票なう」は違反? ルールが明確でない投票日当日の「選挙活動」
http://getnews.jp/archives/366466
また、「特定選挙区の候補者を集めた討論番組をインターネット生放送および動画掲載した場合は適法なのか」と問い合わせてみたところ、「“討論番組”がどのようなものかによります」と前置きした上で、「一定の場所に聴衆を集めて行われる“選挙運動のためにする演説会”に該当しないものであれば適法であると考えられます」とのこと。
選挙期間中は法定された個人演説会等以外のものは禁止されているので、政策全般を論じるものならばOKで、各政党や候補者への投票を呼びかけるような内容のものだとNG、といったところでしょうか。生放送などを企画する際には注意する必要があります。
ちなみに、生放送や動画の内容をまとめてチラシにして配る、というのは「選挙運動用文書図画」もしくは「脱法文書図画」になるので、公職選挙法第142条又は第146条の規定に違反するおそれがあるということ。例えばスクリーンショットをプリントして誰かに渡す、ということも厳密にはアウトになります。
このように、ややこしい部分がたくさんある今回の公選法改正。生放送する際も充分に注意して、内容によっては総務省や選挙管理委員会へ問い合わせて確認した方が安全といえそうです。
総務省|インターネット選挙運動の解禁に関する情報
http://www.soumu.go.jp/senkyo/senkyo_s/naruhodo/naruhodo10.html [リンク]
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