7月4日に公示される第23回参議院議員選挙よりインターネットを利用した選挙活動が原則として解禁されますが、その中で従来の選挙と最も様変わりする可能性が高い選挙活動の一つが政見放送です。
従来の政見放送といえば、演説台に座った候補者が決められた時間に淡々と公約を連呼する代わりばえのしないスタイルのものが主流でしたが、1996年の第41回衆議院議員総選挙より各政党・政治団体が作成したプロモーションビデオ風の政見放送も見られるようになりました。その反面、この選挙以降は無所属の候補者が政見放送時間の割り当てを失って不利な扱いを強いられるようになったことも事実です。同様に、比例区の候補者も従来は政党単位で政党の代表者と司会者の一問一答形式の政見放送が主流でした。
しかし、次の参院選以降は政党・政治団体に所属しているか否かを問わず、選挙期間内に『YouTube』や『ニコニコ動画』を通じて政党・政治団体に所属しているか否かや選挙区・比例区かを問わず、すべての候補者が自作の政見映像を配信することができるようになります。
都道府県単位で作成される衆議院小選挙区と同様に特定のフォーマットは存在しないため、各候補者が趣向をこらした政見を作成・配信するようになるかも知れません。従来の政見放送と異なり時間の制約なども存在しないので、1時間以上の超大作やフルアニメーションの政見放送も登場する可能性があります。また、従来の政見放送の概念では考えられなかった試みとして、街頭演説の公式ストリーミング配信も『ニコニコ生放送』や『USTREAM』を通じて実施されるかもしれません。
ただし、動画のアップロードやストリーミングが自由化されても、それが候補者の得票に結びつくかどうかは前例がないので、当面は各陣営で試行錯誤が続くことになりそうです。さらに、公式配信以外の勝手連が撮影してアップロードした映像が思わぬダメージを与える場合もあります。
一例を挙げると、今年4月に行われた宝塚市長選挙では日本維新の会の支持者が「僕は宝塚市民になりたくない」と言う橋下徹共同代表の応援演説を録画して『YouTube』にアップロードしたところ、アップした当人の思惑とは正反対に映像を視聴した市民の反感を買い、同党公認の候補者が現職に大敗する一因となったと言われています。各陣営は、映像が武器にも凶器にもなるということを心して選挙活動に臨むべきでしょう。
画像:ニコニコ動画で「政見放送」を検索した結果表示
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