2013年5月26日に施行された改正公職選挙法によって解禁されるインターネットを使った選挙活動。2013年7月4日に公示される第23回参議院議員選挙から適用されますが、既に様々な疑問が上がっています。
※参考 【ネット選挙活動】総務省が「未成年者はリツイート禁止」をアナウンス 実効性は未知数 – ガジェット通信
http://getnews.jp/archives/364473 [リンク]
今回の改正で最大の争点となったのが、有権者へのメールを使った選挙活動の是非。結果的には、密室性や誹謗中傷・なりすましが広がるおそれなどを理由に一般有権者には禁止、候補者と政党等のみに「電子メールを利用した選挙運動用文書図画の頒布」が認められることになりました(公選法第142条の4第1項)。
ただ、ここでわかりにくいのは「電子メール」とは何を差すのかというところ。実は特定電子メールの送信の適正化等に関する法律(特定電子メール法)と総務省令により、法律的には以下の2つが「電子メール」であると定められています。
(1)その全部又は一部においてシンプル・メール・トランスファー・プロトコルが用いられる通信方式(SMTP方式)(2)携帯して使用する通信端末機器に、電話番号を送受信のために用いて通信文その他の情報を伝達する通信方式(電話番号方式)
つまり、ドメインと結びついているアドレスのメールと電話番号と結びついているショートメッセージ機能を利用して、有権者が特定の候補者の投票を勧誘することは禁止されているということになります。違反者は、2年以下の禁錮又は50万円以下の罰金に処することになっており(公職選挙法第243条第1項第3号)、選挙権と被選挙権も停止されます(公職選挙法第252条第1項・第2項)。
しかし、2つにあてはまらないもの、例えば『LINE』や『Facebookメッセンジャー』、『Twitter』のダイレクトメッセージはどのような扱いになるのでしょうか?
総務省によると、これらのメッセージ機能の位置づけは、「ウェブサイト等」に該当するので「一般有権者も利用可能」としています。メールで「○○候補に投票してね!」というのがNGで、『LINE』で送るのはOKというのは不可思議に感じますが、ともかく現行の公選法ではそのように定められています。
でも、例えば『Twitter』のDMだと、受信と同時にメールにも送られるような設定にしている人か多いはず。
その場合、総務省の見解では「発信者がウェブサイト等を選挙活動に利用していることになるので、電子メールを利用していることにならない」ということになるのでOKとのこと。ただし、その通知メールを別の誰かに転送した場合は「発信者が電子メールを利用している」ことになるのでNGという解釈になります。
また、既に報道になっている『Twitter』のリツイート(RT)に関しても複雑です。まず未成年者に関してはRTに限らず紙・ネット全ての選挙活動がNG。満20歳に達した成年ならば、ホームページ・ブログやSNS等を使うことが認められているので、どんなツイートやRTをしてもOK。
ですが、投票日当日に関しては全ての選挙活動が認められていないので、仮に前日の「○○への投票お願いします!」といったツイートを投票日にRTすると「改めて頒布」という扱いになるのでNGとなります。これ、とても覚えられそうにないのですが……。
そもそも「一般有権者」と「候補者・政党等」との間はどこに線が引かれているのか不明確な上、複雑でややこしいルールとなっていて混乱を招きそうな今回のネット選挙解禁。公選法の改正の意義について「選挙運動期間における候補者に関する情報の充実、有権者の政治参加の促進等を図るため」とされていますが、有権者に対してあまりにも分かりにくい現状では投票率上昇など目に見える結果につながるのは望み薄なのではないでしょうか。
総務省|インターネット選挙運動の解禁に関する情報
http://www.soumu.go.jp/senkyo/senkyo_s/naruhodo/naruhodo10.html [リンク]
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