今回はうさみのりやさんのブログ『旧うさみのりやのブログGT ~移転しました~』からご寄稿いただきました。
※この記事は2013年05月19日に書かれたものです。
※すべての画像が表示されない場合は、http://getnews.jp/archives/349307をごらんください。
■シリアがヤバいことになってる ~ちらつくトルコの野望~
<<本日の記事は5/20の7:30発行予定のメルマガからの抜粋記事で、シリア内戦特集です。途中までの掲載ですがご参照ください。>>
さる5月13日に衝撃的なビデオがyoutoubeに投稿され、世界中を震撼させました。動画の内容はシリア政府軍の兵士が反体制派の兵士の心臓を切り出して口に入れるというおぞましいものでした。(一応関係リンクを張っておきますが、ガチでグロいです。)
「シリア蜂起勢力の食人鬼、敵兵の心臓を食べる(ビデオ)」 『The Voice of Russia』
http://japanese.ruvr.ru/2013_05_14/113275211/
2011年から続いているシリア内戦ですが、徐々に拡大し周辺国を巻き込み始め、ここ数ヶ月で問題が深刻化しています。まずは関係国の整理ですが、シリアの周辺国である、レバノン、イラン、イラク、トルコ、ヨルダン、イスラエル辺りは当然、その後ろでロシアとアメリカがつばぜり合いをしている状況です。
(画像が見られない方は下記URLからご覧ください)
http://getnews.jp/img/archives/2013/05/syrian01.jpg
そもそもシリア内戦とはなんなのか、ということなのですが、その本質はイスラム教内部の宗派争いに名を借りた権力争いといったところです。イスラム教にはスンナ派とシーア派という2大派閥があります。イスラム教人口はだいたい15億人程度と言われていますが、その中の7~8割がスンナ派、1~2割シーア派、その他諸宗派の信者が1割に満たない程度と言われています。
スンナ派がイスラム教徒の大多数を占めるエジプトなどではいわゆる「アラプの春」の原動力ともなった政治組織「ムスリム同胞団」が政治的に大きな力を持っているのに対して、シーア派はイラン・イラク・レバノンあたりの政治的に不安定な資源国に固まっています。そんな中でシリアの立ち位置は非常に複雑で、国民の7割以上がスンナ派を支持しているにもかかわらずシーア派の一分派であるアラウィ派が実権を握っている状況です。
当然国内のスンナ派の不満は昔から高かったのですが、軍事独裁政権であるアサド政権が国内の不満を武力で抑え込んできました。しかしチュニジアやエジプトやリビアでの「アラブの春」による独裁政権打破の流れで、反体制派を抑えきれなくなり武装蜂起が起き内戦化したというわけです。しかしこれが長期化するうちに各国政府が介入して、国際的な権力闘争の色合いをましてきています。
(画像が見られない方は下記URLからご覧ください)
http://getnews.jp/img/archives/2013/05/syrian02.jpg
まず隣国トルコですがシリアの反体制派を受け入れ、物心両面でシリアの反政府軍を暗に支援しています。シリア政府軍はこれに耐えかね、最近国境付近のトルコ領にミサイルを撃ち込むなどの反撃に出ています。5月11日にトルコ国内で起きた爆弾テロはシリア政府が背景にいると言われています。トルコは一時期EU の加入を希望していたのですが、近年のEUの体たらくを見て、方針を変えイスラム民主勢力の雄としてエジプトや周辺諸国を取り込みアジア方面に進出しようとするいわゆる「look east戦略」を掲げておりシリアへの対応にもその野望がちらつきます。
他方で政府側を支える勢力としては、イラン政府やイラク・レバノンで活動するシーア派武装組織ヒスボラといったいわゆる「反米勢力」があります。ヒスボラは数千人規模の部隊をシリアに送り込んでおり、イランもミサイルを提供するなど軍事面で多大な協力をしている模様です。とはいえシリア政府は徐々に追いつめられており、行動が暴走してきており、戦場で化学兵器を使用した疑いがもたれています。ちなみにその化学兵器とはあの悪名高い「サリン」です。嫌なものを思い起こさせますね。
(画像が見られない方は下記URLからご覧ください)
http://getnews.jp/img/archives/2013/05/syrian03.jpg
中東の資源利権を握りイスラエルという保護国をもつアメリカは、積極介入しないまでもシリアの反政府軍を裏で支えてきました。本音のところではシェールガスという自国の資源が見つかった今中東問題に深入りしたくないところでしょうが、サリンの使用、という国際法違反の疑惑を前にして、漸く重い腰を上げて事態の収拾に乗り出そうとしています。すでにCIAが反政府軍に情報協力を始めています。しびれを切らしてシリアに対して度々空爆を仕掛けていたイスラエルもこの流れを歓迎していますが、それを許さぬ存在があります。それはロシアです。
ロシアは長らくアサド政権と良好な関係を築いておりシリア国内に基地も有しています。
かつて同盟関係にあったリビアのカダフィ政権が倒れた今ロシアに取ってシリアは中東に影響力を持ちつづける為の捨てきれないカードの一つです。アサド政権がしぶとく粘っているのは、ロシア製の最先端の防空設備によるところが・・・・・
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ではでは今日はこの辺で。
執筆: この記事はうさみのりやさんのブログ『旧うさみのりやのブログGT ~移転しました~』からご寄稿いただきました。
寄稿いただいた記事は2013年05月29日時点のものです。
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