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多様性とはスケールの問題に過ぎない

2013/05/10 14:04 投稿

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多様性とはスケールの問題に過ぎない

今回はメカAGさんのブログからご寄稿いただきました。

■多様性とはスケールの問題に過ぎない

「夏野さんの多様性議論」 2013年05月02日 『デフレ派監視ブログ』

http://dehurekannsi.blogspot.jp/2013/05/blog-post_2.html

こんな議論があったらしい。もとの夏野剛の発言やその経緯を読んでないのでよくわからんが、基本的にこの手のテーマの本質は「多様性か否か」ではなく「どういう多様性」を「どう確保するか」であって、多様性が良いか悪いかなんて議論しても不毛。

で、多様性とはなにか?というと表題に書いたとおりスケール。同じものでも見るスケールによって、多様性があったりなかったりする。予め断っておくと、以下は上記の記事とは直接は関係ない話。

   *   *   *

たとえば赤と青のジェリービーンズ(お菓子ね)がたくさん入った入れ物があるとする。個人的にはジェリービーンズってあんまり美味しいと思わないのだが、どうでもいい。

その入れ物の中からスプーン一杯分のジェリービーンズをすくって、食べるとする。この時スプーンの大きさが多様性。ビーンズが1粒しか入らない小さなスプーンですくうなら、「赤」と「青」の2種類の味しかないことになる。

少し大きくて2粒入るスプーンなら、「赤赤」「赤青」「青赤」「青青」の4種類の味が楽しめる。実際には「赤青」と「青赤」は同じ味だろうから3種類かな。多様性が2つから3つに増えたわけだ。

3粒入るスプーンなら、「赤赤赤」「赤赤青」…ともっと味の種類が増える(めんどくさいから全部は書かないけどw)。

   *   *   *

でもものすごく大きいスプーン、1杯に100粒とか入るスプーンだとどうか?たぶん大半の場合、だいたい赤が50粒、青が50粒で、みんな同じ味になってしまうのではなかろうか?つまり逆に多様性が減ってしまった。少なくとも一見そう見える。

ようするに実態は変わらないのに、仕切りのサイズ(スケール)を変えると、多様性が増えたり減ったりする(ように見える)。

この仕切が実は重要で、仕切りで区切られた中と外では、相互作用の量が違う。1学年が数クラスに分かれているとすると、同じクラス同士の人間と他のクラスの人間ではコミュニケーションの量が違う。帰属意識も違う。なにかとクラス単位で行動することが多いからね。

学校が違えば、異なる学校の人間とはもっとコミュニケーション(相互作用)の量が違う。違う市町村、違う国ならさらに。

   *   *   *

仕切り(言ってみれば細胞膜みたいなものだろうか)が、中と外を隔て、構造を作り出しているわけだ。細胞膜がなければ細胞の中身がデロンと全部入り交じってしまって、生物として機能しなくなる。

膜(仕切り)こそが大事。そして膜は何重にもなっている。どのスケールで見るかで、多様性の姿は変わる。日本という国が全体的に同調圧力が高く均質化の方向に進みがちだとする。でもそういう日本という国を外から見た場合、非常にユニークな存在に見える。つまり内部は均質だけど外部から見ると多様性に貢献しているわけだ。

多様性というのは仕切り(膜)が作り出すもの。その膜の大きさが重要で、やたら個人主義の人は、上で例えに出したビーンズが1粒しか入らない小さなスプーンこそが、多様性だと勘違いしていることが少なくない。

   *   *   *

たぶん100粒入るようなスプーンを反面教師として、スプーンは小さな方が多様性が生まれるのだと思い込んでいるのだろう。でも1粒しか入らないスプーンよりは、2粒入るスプーンの方が、スプーン1杯分の多様性としては高いはず。結局はどういう構造を作り出すか(どうビーンズの間に仕切りを作るか)だ。

昨今の情報化社会で、いかに情報を流通させるかが人類の進むべき道、みたいに考えられているけれど、実は逆で、いかに個人と個人、組織と組織の間に「仕切り」を作るか、すなわち情報の流通に制限を加えるかが、重要。

いままでは通信網が発達してなかったから、わざわざ制限しなくても情報の流通は物理的な距離で隔たっていた。それが通信網の発達で解消されたため、今度は逆に意図して情報を遮断しなければ、構造が維持できなくなってきている。

   *   *   *

細胞膜が壊れて、中身がぐちゃぐちゃに一緒くたになってしまう状態。そんな状態では細胞ごとに役割分化が進んだ高等生物は存在できない。皮肉なものだけど、これからは情報の流通をいかに制限するか、が大事になってくる。まあSNSとかも、情報の流通に制限を加えるための手段だよね。

人間もその体を構成しているのは没個性的な細胞だ。つまりこれからは、多様性をもつ組織を没個性的な組織人間が構成することになる。求められているのは人間個人の多様性ではなく、組織としての多様性。社員はみな生気のない死んだ魚の目をして言われたことだけをひたすら機械的に処理する人間。でも会社としては次々とクリエイティブなイノベーションを起こしていく…いずれ世界はそういう姿になるような気がする。

この結論はあまり自分では気に入らないのだが、誰か俺に反論して、「お前の考えは間違いだ」と俺を叩きのめしてチョ。でも情報化社会になって、みんな妙にいい子ぶった聞き分けの良い人が増えたよね。

執筆: この記事はメカAGさんのブログからご寄稿いただきました。

寄稿いただいた記事は2013年05月07日時点のものです。

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