4月14日、俳優の三國連太郎さんが心不全のため都内の病院で亡くなった。享年90歳、60年を超える役者人生だった。
若い読者の方には『釣りバカ日誌』シリーズや『皇潤』のCMで見せていた好々爺、枯れたイメージが強いと思うが、デビュー以来三國さんが築いてきたイメージは、むしろギラギラした悪人、猟奇的な異常者など、ずいぶんこってりとしたものだった。また三國さんは周囲の共演者も恐れるほどの役者バカで、いったん役に入り込むと常軌を逸した行動におよぶことがあった。以下に本人や関係者の語った代表的なエピソードを挙げる。
「10歳以上年の離れた田中絹代と夫婦役を演じるため、歯を十本以上抜いてきた」(本人談)
「アドリブで緒形拳の顔に唾をかけて喧嘩になった」(今村昌平談)
「通常、ふりだけで表現する暴力シーンを本気でおこない、西田敏行を杖で殴って半殺しにした」(武田鉄矢談)
「男ばかりでなく女優(有馬稲子)も本気で殴って失神させた」(本人談)
いずれも利害や人間関係を度外視した、並の感覚ではなしえない奇行といってよいだろう。しかし、そうしたずば抜けた集中力や表現力があったからこそ、古今の名監督から重宝され、200作近い映画に出演し、ブルーリボン賞、日本アカデミー賞主演男優賞、出演紫綬褒章など数々の栄誉に浴することができたのだ。
ともあれ日本はまた一人、貴重な名優を失ってしまった。故人のご冥福をお祈りしたい。
※画像は『AMAZON』(ひかりごけ[VHS])から引用しました
※この記事はガジェ通ウェブライターの「中将タカノリ」が執筆しました。あなたもウェブライターになって一緒に執筆しませんか?
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