今回はtnakashi25さんのブログ『埼玉こそ最強』からご寄稿いただきました。
■電力会社社員が語る『物理屋が語る『電気屋が語る「電気は足りてません」の呟き』は足りてません』は足りてません
タイトル釣りです。別に電力会社の中の人ではないです。たぶん。
元ネタ
「電気屋が語る「電気は足りていません」の呟き」 『togetter』
http://togetter.com/li/466577
「物理屋が語る『電気屋が語る「電気は足りてません」の呟き』は足りてません」 2013年03月08日 『シートン俗物記』
http://d.hatena.ne.jp/Dr-Seton/20130308/1362745879
1 俺は元電気工事屋だったから多少送電システムとかの知識がある。 その上でだ「電気が今足りてるから原発いらね」な人に言いたい。 俺も原発は無い方が良いとは思っているが、全体の30%程度の電力源 である原発を即止めるのは無理。
もう、初っ端からダメダメ。原子力はそもそも30%程度の電力源、などではなかった。「オール電化住宅」促進やら低迷する稼働率を上げるなどして、無理矢理押し上げて「3割をまかなう」と主張していただけ。現在、原発を稼働させなくても賄える程の供給能力があるのは、原発の巨大な発電量が失われる事態に備えて設備があったからである。もともと原子力自体が電力運用を非効率にしている根本なのである。原発一基が止まれば(小さいものなら約40万kW、大きいものなら120万kWの)発電能力が足りなくなる。火発や水力ではそれほどの発電能力が一気に失われることはない。停止に備えて稼働準備しておかなくてはならない、という点では、原子力が一番問題なのだ。
双方いろいろ言われてますが、昨年の夏の結果から言えば『関西以外は原発なくても需給は足りた。』という事実だけだと思います。関西で大飯が必要だったかどうかは分かりません。それと物理屋の方が言われる規模の話ですが、火力でも舞鶴の90万Kwを筆頭に数十万クラスは珍しくありませんので条件としては同じです。むしろ新設をしていく過程で古い設備を潰すか予備として残すかという経営判断の結果で今の予備率になっているのだと思います
2 現在、火力発電所全力運転で辻褄合わせてます。1979年以降、石油火力発電所は原則建設が禁止された。そんな老朽化した設備もカムバックして動いていたりする。当然、効率も悪い。その他、石炭火力 コンバインドサイクル等いろいろな火力発電所がある。
なんで、旧式の老朽化した石油火力がカムバックしたか、といえば、原子力を促進させるため新型機にリプレイスが進まなかったから。新型のGTCC(ガスタービンコンバインドサイクル)式の発電所は、発電効率が高く、原子力よりはるかに設置費用が安く、しかも工期が早い。効率向上競争も盛んだしね。GEなどは原子力から撤退して、ガスタービンに注力している。
議論が噛み合ってないような気がします。物理屋さんが老朽火力が残っているのは原発を進めたせいだといわれてますが、電気屋さんが言いたかったのは、原発が止まったことで老朽予備機までも稼働しているという事実指摘だけではないでしょうか。効率の話は次のエントリーで*1
*1:「前回の補足」 2013年03月09日 『埼玉こそ最強』
http://d.hatena.ne.jp/tnakashi25/20130309/1362830465
3 火発は超臨界ボイラーを使用していたりするため壊れやすい。年に数回は止まったりする火力発電所ってそう言うものだ。
もう、全然判ってない。今時、「超臨界」ぐらいじゃ話にならないよ。火発の主力、ガスタービン式では超臨界ボイラーどころか、超々臨界式になっているし(超々臨界、で検索してみましょう)。材料工学の点で、今時超臨界ボイラーを使っているから壊れやすい、なんて過去の話に過ぎない。ちなみに、火発のボイラーは定常運転しておくのが一番故障も少なく長持ち。ダメージを受けやすいのが、動かしたり止めたり、回転を変化させること。自動車のエンジンを考えてみれば判る。つまり、原子力の補助、とされる方が、火発ボイラーにはダメージなのだ。
電気屋さんのは私もツッコミたかったのですが、まあ過酷な条件な例えなんだろうなと理解しました。むしろ物理屋さんのガスタービン式で超々臨界というのは見たことないです。もしかしてGTCCとBTGの違いを理解されてないのかと。
ちなみに肝心の実際のトラブル停止の方ですが、各電力のプレスリリースを見ていただけるとわかりますが、顕著に老朽予備が多いというわけでなく、常用機でのトラブル停止も発生しております。申し訳ない話ですが。
4 確かに、今現在発電量は足りてる。でも余裕は無い。定期点検の時期を延ばしたり 人間で言えば70歳を越えた老職人が出張ってきて頑張って、発電量を確保している状態だ 老職人が倒れたら、後に続く若い者が居ない状態なんだぜ。だから、「電気は足りてる」と言う認識に違和感と反発を覚えるんだ
何言ってんだろ。稼働率を上げるため、定期点検の時期を延ばしたり、(人材不足のために)専門でも無い人材が駆り出されたりしたのが、原子力なのに。そちらは問題にしないのね。もし、原発再稼働させれば、稼働条件やメンテ期間、人材確保は大問題なのだが。そちらを手当する期間があれば、火発の問題はより手早く解決する。
これも議論が噛み合ってない気がします。よって事実指摘のみに留めます。老朽火力もずっと動かしているわけではなく、春秋の需要の端境期等を利用して停止しています(元々発電コスト高いのですから)ので、簡易的な点検は可能です。それと原子力であれ、火力であれ法で定められたインターバルで定期点検を義務つけられます。原子力は1年、火力は2年。その昔、原子力を2年に延長する議論もありましたが、原発不祥事が相次いだ時期であったこともあり、立ち消えになりました。
5 発電プラントの技術屋が機械の手入れをして騙し騙し動かしている現状を全然判っていない。それに、日本の製造業の比率は大きい、企業は成長して儲けを出す物、電力不足が生産拡大の足かせにもなりかねない。原油高、電力料金値上げCO2排出量の増大。原油輸入だけでも大変な赤字だ。
まだこんな戯言吐いているよ。以前から説明しているように、日本企業は「自分たちがエネルギー利用効率で優れている」と思いこんでいるが、すでに他国の企業に引けを取っている。それを見直すだけで、電力使用量は減らせる。実際、企業設備が非効率、というのはよく見掛けるのだが、設備投資費用が高額、という理由でやらないケースが多かった。だが、電力料金が上がれば、設備投資も見合うようになるし、それに対して融資する、というのも金融の新たな投資先になる。ついでにいえば、企業の電力使用削減はすでにビジネスとして大きなウェイトを占めている
どちらも電気料金があがるという認識ではあるようです。電気屋さんはこれを日本経済の危機ととらえ、物理屋さんは省エネ推進並びに新たなビジネスフィールド拡大のチャンスと捉えています。これは見解の相違であり、得失どちらが大きいか定量的に比べるしかありません。なかなか難しいことですが。私は電気代は安いにこしたことはないと思いますが
6 2~3年は何とかなるだろう。発電所も機械だ。メンテナンスしながら動かさなければならない。電子レンジだって、1日回しっ放しにすればさすがに壊れるだろう。そんなもんだ。発電量は現在は確かに足りているが、総発電能力、余裕率は全然足りてない。
つうか、発電所設備を電子レンジと比較する、ってどんだけ…。普通、自動車のエンジンあたりと比較するんじゃないの?仕掛けも似ているし。で、2~3年あれば、新型機、しかも、高効率タイプに 更新出来るわけで。
原発なしで電力を安定的に供給を行う体制になかったことは事実でしょう。だからといって老朽予備機を全面リプレースするかどうかは原発の動向がはっきりしないと判断できないと思われます。ただ東京電力だけは福島分は穴埋めしなければならないので、新規電源の設置を決めました。それでも当然ながらIPPで競争入札となりますので、運転開始は5~8年後です
7 80年代みたいにTVは1台、電子レンジ無し、石油ストーブ1台、パソコン無し、湯たんぽ その時代程度まで 生活レベルを落とせるならそれも良いが、人間、一度贅沢を覚えると大変だよ?
バカ丸出し。以前にも書いたが、日本の電力需要は日本中がイケイケ(だったらしい?)90年代前半でも現在の6割程度。TVは1台ばかりじゃないし、電子レンジも使っていた。パソコンもあったし。むしろ、どれも現在よりも効率の低い代物だったので、現在なら同条件で遙かに電力使用を抑えられる。問題は、なぜかつてより景気も悪く、生活に青息吐息の人々が増え、人口も大して増えてもおらずむしろ少子化が問題視され、電気製品や設備は効率が向上しているのに、電力需要が増えているのか、という事じゃないかな。
贅沢を覚えたから、というところでしょうか。テレビも冷蔵庫も大きくなりましたからね。
9 帳簿に載ったボイラーや水車の発電量足し算していって足りるという単純な話ではない。あと、自然エネルギー特に、太陽や風力はあまり当てにならない。なぜか、自然任せで肝心な時、動かないで、余計なときに動いたりするからだ。比率が少ないうちは良い。他のネットワークで吸収できるからだ。
いい加減、「ならし効果」くらいは調べようや。局所的には不安定でも、広範囲で多数発電すれば平準化されて、不安定さはある程度解消される。スペインの事例も知らないみたいだし。
結局はやってみないとわからないと思います。ちなみにヨーロッパの場合はヨーロッパ全体でバランスを取れるので、日本のような島国(しかも東西で周波数が違う)ので、ヨーロッパでできることがすべてできるわけではないはずです。そもそも再生可能エネルギーの固定買取制度はCO2削減、つまり火力の化石燃料削減が目的であったはずなのですが
10 あと、電気は使う方の需要量と送る側の発電量のバランスを取らなきゃならない。そんな名人芸 電力会社はやって居るんだ。水道と同じで、供給量が多くて、消費量がすくなきゃホースが破裂するよな そう言うこと
別に、このバランスを取るのは、原子力とは関係が無いのだが。むしろ、原子力は出力制御が出来ない分、バランスを取り難い。他の発電設備に負担を押し付けているのだけどね。ちなみに、現在は水力と火発が出力変動のツケを被っている。
特にコメントありません。疲れてきました。
11 とにかくだ電気屋から言わせれば「電気は足りていない」余裕が全然無いからだ。 「足りてる」と思っている奴は、発電所の技術屋に感謝するこった。 震災直後の計画停電であれだけの混乱が起きたんだ。 供給量ギリギリで、どっかのでかいボイラー故障したら、突発停電になる危険もはらんでいる
さて、この理屈だと、突発停電になる可能性が高いのは、原子力発電のボイラーが故障した場合、という事になる。火発の出力じゃこれほど一気に足りなくはならないから。つまり、こいつの理屈では、原発が突然停止する可能性、は排除されているのだ。なーんの反省も無い訳ね。
出力規模の話は上の方で書きました。手抜きではありません。
12 停電になれていない日本のシステムはかなり脆弱。ATMは動かない。コンビニのPOS動くのか? 非常用電源は非常用全てのシステムに供給できるほどの設備のあるところは少ないし、最低限度の 量で、持っても数時間だ。
とりあえず、「電力使用制限令」くらい知っていないで、ドヤ顔されてもなぁ。
電気屋さんは停電時のバックアップの話で、物理屋さんはブラックアウトを避ける為の手段の話ですね。今日の晩御飯はカレーのようです。
13 ちなみに、家庭での節電高価が一番高い製品それはテレビだ。テレビほどの電気食いもない。 だから、TVのワイドショーで節電しましょうなんて語っているのは、実にマスゴミらしい偽善的コメントだろ。ラジオなんか実に良いよ。NHKが聴取料取りに来ることなんか無いし。
どういうテレビを使うか、によるね。情報を得るため、に14Vくらいの液晶テレビなら、消費電力も大した事無い。
物理屋さんは世の中の人達は14Vくらいの液晶テレビを使うべきと言いたいのでしょうか?
追伸3:でだ、「電気足りてる」と仰る方々にその根拠を尋ねたい。停電が起きないから?バカ言ってはいけないよ、停電が起きないように電力プラントの人が頑張って帳尻を合わせて居るんだ。電気会社の上層部は軽蔑しても構わないが、現場の技術屋にはリスペクトをお願いしたい。
むしろ逆だって。今まで、原子力に過度に注力した結果、火発関係は冷遇されてきた。補助用の電源という扱いどう思うのか、って事。
役割が違うだけで冷遇も何もないのですが。上原投手の言葉を借りれば、中継ぎを馬鹿にするな、です。電気屋さんの言う電気が足りてるという根拠は?と言われれば、節電協力もあり大規模停電もなく夏を乗り切れたから、としか言えないと思います。ちなみになぜ原発がベースで火力が調整用なのかは以前のエントリーでかきましたので参照ください*2。
*2:「原発はベース電源という幻」 2011年04月02日 『埼玉こそ最強』
http://d.hatena.ne.jp/tnakashi25/20110402/1301725521
追伸4:いい加減しつこいな。勘弁して欲しい。原子力発電の総発電量の割合は約3割それを現在まるまる失っている。家計に置き換えてみよう年間収入400万円そのうち3割120万円が消滅。やりくりどうするよ。 へそくりで2年や3年誤魔化せても続かないだろ。だから新火発を東電が作ろうとしてる
全然違う。例えがおかしいし。もともと、どのプラントも発電能力を失った場合を前提で、設備設置している。つまり、原発不稼働状態も想定して(複数は想定していないが)いるのだ。だからこそ、過剰な設備になるのであって、火発ならそれほど多くの予備電源を備える必要はない。むしろ、原発がリスク、なのだ。
電気屋さんの例えが悪いので、電力コストの話をしているのか、発電能力の話をしているのかが分かりにくいですね。電力コストのことは、ここに書くには書ききれないです。よって論点がよくわかりません。
追伸5:でも原子力が使えるカードがないと相手も足元を見るから、輸入に頼る火力発電の燃料も高上がりになるな。ますます国力が落ちる。さて、「電力足りてる」と言っている方は、電気料金値上げには反対できないよ。原発が動かせないから高い化石燃料焚いて居るんだ。反対したらただのだだっ子だよ。
何ぶっこいてんだろ。沖縄電力は原発を備えていないが、電力料金は高くない。原子力に傾倒した結果の問題が露呈したのが現状であって、それを無視して原発を動かせ、ってバカすぎる。電力料金値上げ、別に問題なし。上で説明したが、その場合「企業が出て行く」「国力が落ちる」みたいな馬鹿げた事は起きない。起きるのは、省電力設備・事業の活況、そして、設備の効率化である。
今、やたら中国から飛んでくるとかいうPM2.5 が騒ぎになっているけど、もともと日本でも大気汚染が問題になっていた事を覚えている世代は少ないのだろうか?大気汚染対策は市民運動が中心となって法制化が進んだが、それを「企業の生産活動が制約される」「対策設備に金がかかる」だのいう理屈で行政や経済界は反対していた。で、結果として大気汚染対策ってダメなんですか?
実際、中国では経済発展を優先し、企業に対する「規制緩和」した結果として大気汚染が進んだのだから、中国の大気汚染が問題だとすれば、比較されるのは、日本における原発問題、ということになるだろう。
値上げ影響については前に述べました。それと沖縄電力は料金表比較してくださればわかりますが高いです。あと大気汚染との比較ですが、健康被害の点では大気汚染は顕在化したものであり、原発の場合は潜在的なリスクあり比較対象としてふさわしいとは思えません。中国の大気汚染が問題だとすれば、比較するのは日本の大気状態並びに大気汚染防止法遵守状況だと思います。
追伸7:電気にも質という物がある。電源電圧の安定度、周波数の安定度、制限は刑の形、ノイズ混入の少なさ。日本の電気の質は世界一だ だから逆潮流(いわゆる売電)にはなかなか厳しい、品質の悪い電気混ぜたくない気持ちも分かる。だから接続機器が高価になってしまうんだな。
くだらん。家庭でも企業設備でも現在の電力使用はほとんどがインバーターを噛まして利用している。電力の質、なんてバッファーとインバーターを設置すれば問われないのだ。海外に出て行く、という企業が、停電頻発の国でどう生産活動を行っているのか考えないのだろうか。
正直この分野はよくわかりません
追伸10:自然エネルギーが物にならないので、結局問題の多い原子力を使ってきたわけで、事故が起きたからいきなり変えられるわけがない。出来るならとっくにやっているツーの。世の中目ざとい商売人が多いんだから。
全然逆。日本は原子力黎明期から、その導入理由さえ変えつつ強力に推進してきている。再生可能エネルギーがものにならない、というのがデマなのは、こちらを見てもらえば判る。
結局一長一短なのでベストミックスという、ある意味、無難な道を進んできたわけです。安全性・環境・コスト・品質面、再生可能エネルギーと原発の優劣はこの4点のどこにプライオリティを置くかで見方は変わります。そして、それは人それぞれ。だからこそ議論が分かれるところなのですが
追伸12:もうさ、何か書いてるか良く分かんないけど、どの発電方法にもデメリットはある訳よ。電気というメリットを享受している以上、デメリットも受け入れる必要はある。どこまで受け入れ可能かだが。きれい事だけではどうにもなりませんね。「電気の供給余力は不足してます」おわり。
えー、福島の状況を見たうえで、こういうドヤ顔するクズ野郎にはどういう顔したらいいか判らないの。たぶん、目の前にいたらぶん殴るだろうな。
ティオフィナーレ(物理)
執筆: この記事はtnakashi25さんのブログ『埼玉こそ最強』からご寄稿いただきました。
寄稿いただいた記事は2013年03月15日時点のものです。
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