2月21日、新宿バルト9にて文化庁若手アニメーター育成プロジェクト『アニメミライ2013』完成披露試写会が行われた。国内のアニメ制作プロダクションからオリジナルアニメーションの企画を公募し、選考の結果選ばれた4社が、未来を担うアニメーターを育てながら、約25分の短編アニメを制作するプロジェクトだ。今回の完成披露試写会では、文化庁文化部部長の大木高仁さんによる挨拶にはじまり、一般社団法人日本アニメーター・演出協会代表理事の井上俊之さんの挨拶、上映する4社のプロダクションそれぞれの監督、アニメミライ広報大使である西川貴教さんによる挨拶も行われた。
●アニメ業界の革新なるか!? アニメーター育成プロジェクト『アニメミライ』
文化庁文化部部長の大木高仁さんは、「日本のアニメは、世界からは質の高い日本ブランドとして見られている業界だと思う。是非、業界全体としても日本のアニメーションの質を高めるために人をつくるという観点からどういうことができるのかを考えたい」とこのプロジェクトへの意気込みを語った。
続いて、一般社団法人日本アニメーター・演出協会代表理事の井上俊之さんは「このプロジェクトには隠れた意義があると思っています。新人教育において、自分ではわかっていたはずのことを相手に教える際に言葉にできないということに気づくことがよくあります。実は、アニメ業界は技術を言葉にして伝えることを怠ってきた業界なんです。言葉にしづらい技術的なものを、少しずつでも言葉にしていく機運が広がっていけばと思います」と業界の技術的な問題点を指摘し、プロジェクトの展望を語った。
今回で2年目となるアニメミライ広報大使に任命された西川貴教さんは声優として『龍-RYO-』に出演もしている。また、日本のポップカルチャーが世界に注目されている点や、これからはサービスやカルチャーの発信が重要になるだろうと指摘。上映後には「楽しかったです。時代モノから魔法モノまで、色々な切り口がある中で非常に短い期間で本当によく表現していくというハードルを越えていくのをまざまざと見せつけられる感じでした」とコメントした。
●若手の本気! 上映4作品を紹介
今回の試写会で披露された作品はゴンゾによる『龍-RYO-』、ZEXCSによる『アルヴ・レズル』、マッドハウスによる『デス・ビリヤード』、トリガーによる『リトルウィッチアカデミア』の4作品。どの作品も、若手アニメーター主体でここまでできるのか、と思わずスクリーンに見入ってしまう出来栄えであった。
■ゴンゾ 『龍-RYO-』
監督:千明孝一 プロデューサー:石川真一郎
慶応2年(1866年)尊皇攘夷、倒幕、佐幕さまざまな思想・主義に日本が揺れていた時代。恩人である坂本龍馬と中岡慎太郎を護れなかった事を強く悔やむ少年・RYOは、嵐の蝦夷・江差沖にて座礁した五稜郭政府旗艦・開陽の傾く甲板で土方歳三と対峙する。
石川プロデューサーコメント
「今回の事業で良かったことが2つあります。作品では普段はビジネス優先でやらなければいけないので、原作ものが中心となってしまったり、オリジナルでも売れるものをと考えてしまうのですが、今回我々は時代劇モノをストレートにやるというのを実現できました。2つ目は、新人アニメーターが中心となって劇場型のアニメを作るという機会ができたことです。別のアニメに入っていたスタッフが約4か月間の『アニメミライ』を経て別人のように成長したという成果がありました」
■ZEXCS 『アルヴ・レズル』
監督:吉原達矢(吉の字は下棒が長い) プロデューサー:川崎とも子
西暦二〇二二年。神経細胞を模した極微細無線通信装置「ナーヴセラー・リンカー・ナノマシン(NLN)」が完成。NLNにより、意識とネットワークをシームレスにリンクさせることを可能にした。 だが、人と機械の垣根を崩すその技術は、数万もの人の意識をネットワークの彼方へと喪わせる災厄「アーリー・ラプチャー」を引き起こし――。
川崎プロデューサーコメント
「今回の『アニメミライ』に参加したスタッフは、これがはじまりになると思います。作品をご覧に時にまだまだ未熟なところはあると思いますが、この若手クリエイターの過去でも未来でもない現在すべての力を出し切った『アルヴ・レズル』を温かい目で見て頂ければ幸いです」
■マッドハウス 『デス・ビリヤード』
監督:立川譲 プロデューサー:角木卓哉
「ここがどこなのか、という問いにはお答えできません」「これよりお二人にはゲームをして頂きます」
「ゲームは命をかけて行なって頂きます」
「そして、ゲームが終わるまで当店から出ることはできません」
強制的にルールを課せられた男二人。
やがて剥き出しになっていく人間の本性。
デスゲームの果てに待ち受けるものは?
角木プロデューサーコメント
「原作ものが多い昨今、こうしてオリジナルの作品を作らせてもらうことで会社・監督・プロデューサーとしてもいい経験になりました。今回、若手がほぼ全員新人という状態でやりました。作画監督・中堅原画の皆さまには、レイアウトってどう描くんですか? というレベルから教えてもらい、感謝しております。この作品はコンテの段階から意識せずと“マッドハウスっぽいね”と言われる作品となりました。見た後になにか思うところを持っていただけたらと思います」
■トリガー 『リトルウィッチアカデミア』
監督:吉成曜 プロデューサー:堤尚子
幼い頃に見た魔法ショーで魔法の魅力に取り憑かれ、ヨーロッパの魔女育成名門校「ルーナノヴァ魔法学校」に入学したアッコ。大きな期待とは裏腹に日々の授業は意外と退屈。保守的な魔法界の雰囲気を打ち破り、魔法に夢を取り戻そうと張り切るアッコだが、周囲の目は冷ややかで授業でも空回りの連続。唯一の味方はルームメイトで親友のロッテとスーシィの2人だけ。 そんなある日、学校でとんでもないハプニングが発生。思いがけず事件解決の鍵を握ってしまったアッコは、ロッテ、スーシィ達と共に学校崩壊の危機に立ち向かう!
堤プロデューサーコメント
「自信を持って世に出せるものをいまの若い子たちだけで作れたと思います。制作に関わっていただいたスタッフの皆さまありがとうございました。この作品をこのまま続けていけるように会社としてもやって行きたいと思っておりますので、その上で楽しんで頂ければと思います」
『アニメミライ2013』は、3月2日(土)新宿バルト9ほかにて全国ロードショー。
アニメミライ公式サイト
http://animemirai.jp/
アニメミライTwitterアカウント
https://twitter.com/AM_Pub
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