今回は岡崎良徳@Lococomさんのブログ『ドウデモイイコト。』からご寄稿いただきました。
■現役ヤクザが解説する「プロは死体をアスファルト合材に混ぜて焼き尽くす」はデマっぽいよ
こんな記事を読みました。
「現役ヤクザが解説「死体処理、ドラム缶詰めは素人の仕事」」 2013年02月02日 『日刊SPA!』
http://nikkan-spa.jp/370446
殺しのプロである現役のヤクザ屋さんのお話だそうで、プロは死体処理にドラム缶なんて使わないそうです。ではプロはどんな処理方法をしているのか、以下に引用。
道路に敷くアスファルト合材。これは、砂利とガラとコールタールとを約3000℃の熱処理で混ぜて仕上げるのだが、業者と懇意になって、処理プラントに遺棄するのだという。高温のため、肉から骨まで全部溶けてしまう。
こわっ。
もしかしたら、私たちが毎日歩いている道路にも死体が混ぜ込まれているかもしれないんですね。踏みつけられた被害者が片っ端から歩行者を祟ったら、とんでもないことが起きそうです。おちおち散歩もしていられません。
これが本当の話なら、ですが。
というわけでGoogle先生に尋ねてみました。アスファルトって何度くらいで作るのっと。
「アスファルト」 『Wikipedia』
http://ja.wikipedia.org/wiki/アスファルト#道路舗装の施工法による分類
アスファルト溶解温度:140-150℃骨材加熱温度:13-190
混合時間:45-60
混合物の温度:145-175
おやおや? 最も温度の高い骨材加熱温度というものでも190℃ですね。
Wikipediaだけでは怪しいのでもういっちょ。
・「アスファルト合材製造所におけるエポキシアスファルト合材の製造方法」 『ekouhou.net』
http://www.ekouhou.net/アスファルト合材製造所におけるエポキシアスファルト合材の製造方法/disp-A,2012-229298.html
一般合材製造温度(160℃)
裏が取れました。アスファルト合材の製造過程では、200℃にも達することはなさそうです。
これでは死体が煮込まれることはあっても、骨まで焼き尽くされるにはほど遠い温度です。
ついでに遺体が骨まで焼き尽くされる温度も調べてみました。
・「火葬した時、骨が焼けないのはどうしてですか?」 『Yahoo!知恵袋』
http://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q1119406891
骨の59~60%を占めている無機成分は、リン酸カルシウム85%、炭酸カルシウム10%、リン酸マグネシウム1.5%が主で、火葬後に残る白色の骨は、殆どリン酸カルシウムが占めています。リン酸カルシウムの融点は、1670℃で、この温度以下では燃焼しません。
ソースが知恵袋なのがアレですけれども、人骨の成分やリン酸カルシウムの融点を調べても同じことが書いてあったので間違いなさそうです。
というわけで結論。
Q. 殺しのプロは死体をどうやって処理しているの?A. 少なくともアスファルト合材には混ぜない。200℃程度では死体はぜんぜんなくならないから。
記事中には「ペットの移動火葬車を使うこともある」とありますが、人間よりも骨の細いペット用の装置で“90分間燃やすと骨までキレイになくなる”なんてことはちょっと考えにくいですね。
なんにせよ、SPA!の記事を真面目に受け止めたらいけない、という教訓で締めたいと思います。
執筆: この記事は岡崎良徳@Lococomさんのブログ『ドウデモイイコト。』からご寄稿いただきました。
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