最近TVや雑誌で「町中華」というワードを見かけませんか?
中華じゃなくて、町中華。
その定義は、町中華探検隊の北尾トロ、下関マグロ、竜超らオーバー50による食べ歩きエッセイ集『町中華とはなんだ 昭和の味を食べに行こう』(立東舎)にまとめられていますが、町中華は決して、男性のものだけではありません!
昭和の古きよき食文化を記録するため、女たちも立ち上がった!
ざっくり説明すると、高齢化の荒波にさらされて滅亡の危機にある個人経営の大衆的中華料理店を食べ歩いて記録するーーことを使命として結成されたのが、町中華探検隊。昭和の古きよき食文化を記録するため、男たちが立ち上がった! わけですが、2015年、女性隊員3名による「町中華探検隊オトメ部」も結成されました。
女だからこそ町中華を異文化として楽しめる
この女性隊員の皆さんは、先日もテレビ朝日『グッド!モーニング』でフィーチャーされていましたので、ご存知の方もいらっしゃるのでは? 月刊『散歩の達人』にて『町中華探検隊がゆく!』を連載中の、オトメ部部長・増山かおりさんにお話を聞いていきましょう!
———「町中華探検隊オトメ部のメンバーを教えてください。」
イラストレーターのあきやまみみこ(中央)、カメラマンの濱津和貴(はまつ・わき 左)、ライターの増山かおり(右)の3名です。全員、オトメというには苦しい年代にさしかかっているうえに、全員サブカル寄りで「オトメ」にはほど遠いのですが、「町中華を訪れたときに感じるときめきって、オトメ心だよね」という会話から、このネーミングになりました。
———「町中華探検隊の活動って、半チャンラーメン発祥の店に行ってみたり、早稲田・神保町など中華料理店密集地帯でハシゴしてみたり、化学調味料に思いを馳せてみたり、と聞いていました。オトメ部ならではの楽しみ方ってあるのでしょうか?」
オトメ部では、メンバー3人で集まって製麺の会を開いたり、
女性が楽しめる店の発掘を行っています。
町中華探検隊本隊の男性陣も、文化系の繊細な方が多く、味のある食品サンプルやレトロな椅子など、ときめくポイントには意外と男女差が少ないんです。
そんな中、男性陣とオトメ部の明確な違いのひとつは、こうした昭和レトロな雰囲気に加えて、男の世界を異文化として楽しんでいる点ではないでしょうか。男性にとっては日常の一部である町中華ですが、女性にとっては異文化。工事現場のお兄さんや、昼から飲みに興じるおじさまの日常を壊さないように、そっと客席の一部をお借りするスリルは、女性隊員にしか味わえないものだと思います。
そんな男達を長年見つめ続けてきた店主の、男の生き様を目の当たりにできるのも魅力のひとつです。例えば、伝統工業の職の経験を店づくりに活かしているとか、船を漕いで上京してきた、戦後の配給で料理を作った、鍋底のタレをなめて料理の味を学んだ……といった話など、オシャレなカフェなどでは決して聞くことのできない力強い歴史が、それぞれのご主人の顔に刻まれています。
三種の神器のひとつは、ダンディな町中華オヤジ
———「北尾トロさんは、町中華の三種の神器に、カツ丼・カレー・オムライスをあげています。オトメ部があげるとしたらなんでしょうか?」
オトメ部が考える三種の神器は、料理ではなく、「個性ある食器」「工夫された卓上」「ダンディな町中華オヤジ」です。
店内の照明器具や食品サンプル、椅子などに昭和の香りが感じられるのは、三種の神器以前に町中華の大前提なのですが、出てくる料理ごとに食器のデザインが違ったり、お皿に入った店名が手書きだったりすると、評価が急上昇します。
あとは、テーブルに置かれたつまようじ入れや調味料入れも要チェックです。つまようじ入れのデザインが、卓によって異なる動物の形になっていたり、醤油とほかの調味料を間違えないようにオヤジさんの手描き文字が入っていたりと、店主の思いやりが強く表れるのがこの部分ですね。
あとは、先ほどお話したような、素敵な店主の存在が大きいです。店主だけでなく、常連の男性客ももはや町中華の景色の一部になっている場合があるのですが、そういうお店にはより強く異世界の魅力を感じ、オトメ部一同惹かれてしまいます。
町中華は女子会にもオススメ!
———「町中華って美味しいけどハイカロリーですよね? 女性は気にする人も多いと思うのですが…」
大丈夫です! 実は、町中華探検隊に入隊してから、かえって痩せたり健康になった人って少なくないんですよ。
中華料理には肉も野菜もふんだんに使われているし、ラーメン専門店のとんこつラーメンと違って油脂はそんなに多くないので、小さなおにぎりと野菜サラダのランチよりも、実は栄養バランスがいいんです。
町中華探検のために普段は胃袋を空けておくようにしていますし、探検のときは1時間近く街歩きをするので、意外と健康的な活動です。安心してみなさんも町中華道にいそしんでください! イタリアンやカフェでのランチにはない刺激があって、女子会にもオススメですよ。
———「最後に、オトメ部増山さんがオススメする、町中華のお店とメニューを教えてください!」
『町中華とはなんだ 昭和の味を食べに行こう』の著者のおひとり、下関マグロ隊員に教えてもらったお店なのですが、根津の「オトメ」です! ご主人がダンディで、あたたかな接客が素晴らしいお店です。
キラキラ照明が輝く、純喫茶みたいな雰囲気で、卓上にはいつも生花が飾られています。
目玉焼きが乗った具だくさんの中華丼は、マストです! 1日30品目も夢じゃないくらい具だくさんの五目カタ焼きそばもおすすめ。クリーム色がかった手作りの杏仁豆腐は、3人とも満腹なのにお代わりしそうな勢いで食べてしまいました!
ご主人のお兄さんが営む、国分寺の「オトメ」の中華丼と比べてみるのも面白いですよ。みなさんもぜひ町中華探検隊支部を結成して、素敵なお店のことを全国に報告してくださいね。
撮影:濱津和貴、町中華オトメ部
イラスト:あきやまみみこ
『町中華とはなんだ 昭和の味を食べに行こう』(立東舎)
著者:町中華探検隊(北尾トロ、下関マグロ、竜超)
定価:(本体1,500円+税)
発売:2016.8.19
ISBN 9784845628230
Amazon.co.jpで購入する《著者プロフィール》
町中華探検隊(北尾トロ、下関マグロ、竜超)
超高齢化の荒波にさらされて滅亡の危機にある町中華(個人経営の大衆的中華料理店)の研究・記録を行なうグループ。これまでのメンバーは隊長・北尾トロ周辺の出版業界人が多かったが、本書刊行を機に全国津々浦々の同志が名乗りを上げてくれることに期待している。最終目標は「1億総町中華探検隊」である。―― 見たことのないものを見に行こう 『ガジェット通信』
(執筆者: Rの広報ガール) ※あなたもガジェット通信で文章を執筆してみませんか
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