今回は武田邦彦さんのブログ『武田邦彦(中部大学)』からご寄稿いただきました。
■普通のことを普通にする(2) 健康(中部大学教授 武田邦彦)
最近、私は「タバコを吸うのは問題がない」という内容の本を竹書房から出して好評ですが、ここでも私は「当たり前のこと」を言っているだけです。
タバコを過度に吸うと閉塞性肺疾患(COPD)になることがあります。これはお酒を過度に飲むと肝硬変になるのと同じで、嗜好品にはやや毒性がある場合が多いので、適量が存在するからです。
日本人は自分の好みに合わせて嗜好品を楽しむ事ぐらいはできるはずですし、それが他人の迷惑にならなければ禁止はできないと思うからです。お酒を飲んで人に絡んだり、暴力を振るったり、セクハラ、酒酔い運転などは社会的に認められません。
でも、アメリカで大失敗した禁酒法のように「道徳的に酒を飲んではダメ」というのはヒットラーとかスターリンの政策で、よほど人をいじめたいということでしょう。
(たき火の煙と同じ副流煙の毒性はほとんど無いと私は考えていますが、百歩譲ってもタバコの煙で他人を不快な思いにさせなければOKでしょう)
ある程度の広報や教育を行うのは良いけれど、「お前は健康のために***しなければならない」などと言う政策は実に野蛮です。自分の健康は自分で管理するべきで、「そんな生活をすると健康を害するから、健康保険を使いすぎる」などというのは完全に言いがかりの部類です。
長寿になれば健康保険も高額になりますし、年金も必要になります。むしろ短命の方が社会的負荷は減りますが、そんな考えも不適切で、「できるだけ元気で長生きしましょう」ぐらいが適当です。
私はごく普通に生活をしています。毎日、朝起きて自分なりの健康に気をつけ、仕事をして、ストレスをためないようにし、お酒も自分なりに適度に飲み、時には運動をします。自分は甘いものやケーキは好きでは無いので、1週間に1回ぐらいはなにか甘いものを食べることがあるという程度です。
なにか問題なのでしょうか? そして私のような生活ではなくても、お酒を飲まない、ケーキを食べてやや太り気味になったり虫歯になる、タバコが好き、危険な山登りが趣味・・・みんな良いじゃないですか。
それを「国民健康法」などを作り、山のような天下り団体や「健康増進団体」を作って税金をばらまき、タバコの排斥運動をして肺がんを増やし(常識と逆なので注意)、自殺を増やし・・・いったい、何をしているのでしょうか?
メタボ騒動の時、男性の腹回りが85センチ以上では1週間に何回か「指導員」からメールか電話を受けて半年以内に85センチを切らないと、その人の所属する健康保険組合にペナルティーが加わるという制度は国が正式に始め、今でもこの野蛮な政策は残っているのです。
また、過度に食塩を減らし、血圧の上限を下げ、血圧降下剤を大量に売り、薬品会社の宣伝費のためにマスコミはこのことを報道できず、若い人は血圧が低くなりすぎてOD(朝起きることができない病気)になるという人の健康を金で壊すことも起こっています。
普通のことを普通にして健康に注意すれば良いと私は思います。国はすることが無く、人員を減らしたくないので、お節介ばかりしています。
執筆: この記事は武田邦彦さんのブログ『武田邦彦(中部大学)』からご寄稿いただきました。
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