1851年に第1回大会が開催され、世界最古の国際スポーツトロフィーを競い合うヨットレース“アメリカズカップ”。2017年6月に開催される第35回アメリカズカップ決勝戦に向けた予選大会『ルイ・ヴィトン・アメリカズカップ・ワールドシリーズ』の福岡大会が11月19日から20日にかけて開催されました。レース前日の11月18日、アメリカズカップ3連覇を狙う“オラクル・チーム・USA”と、オフィシャルテクニカルパートナーを務めるヤンマーがトークイベントを開催。両者の信頼関係を語りました。
アメリカズカップで使用されるヨットは、2013年から水中翼を備えた双胴艇になり、最高速度は30ノット(時速約55km)以上に高速化。これにより、レース艇と併走してサポートを行う“伴走艇”と呼ばれるボートに、重要な役割とパフォーマンスが求められるようになりました。ヤンマーは、オラクルチームUSAが使用する伴走艇“YANMAR1”に、同社製のエンジンを提供しています。
オラクル・チーム・USAで船長兼操舵手を務めるジミー・スピットヒル氏によると、伴走艇のクルーはエンジニアチームとしてヨットのデータ収集をするだけでなく、転倒やクラッシュ時に駆けつけるセーフティチームとしての役割も果たしているとのこと。時には40ノット以上の最高速度になるヨットと同じ速度を保てる伴走艇として、ヤンマーのエンジンを採用しているとし、「横にいてくれることで安心して走行できる」と、その実力を評価しました。
オラクル・チーム・USAのCEOであるラッセル・クーツ氏は「ヤンマーとの長いパートナーシップに誇りを持っている。大事な友人だ」と語り、ヤンマー製の伴走艇エンジンについて「信頼性は素晴らしいものがある」と評価。
ヤンマー執行役員の荒木健氏は、「船の上ではエンジンにトラブルがあったり止まると命にかかわる問題になる」と、信頼性と耐久性が重要な要素であるとして、「世界の海で使っていただいているお客様に教えていただき、叱っていただいたことで海のプロフェッショナルになれた」と、エンジンの信頼性を築いてきた背景について語りました。
日本では農機メーカーのイメージが強いですが、世界的にはヨット、漁船から大型船までエンジンを提供しているメーカーであるヤンマー。『ルイ・ヴィトン・アメリカズカップ・ワールドシリーズ福岡大会』ではオフィシャルトップマリンパートナーを務め、「日本大会を通して多くの若い人に“ヨットかっこいい”“マリンスポーツ面白い”というイメージを浸透させたい」(荒木氏)と、大会への期待を語りました。
トークイベントに先立って開催されたプレスカンファレンスにはジミー・スピットヒル氏が登壇し、「我々は勝つためにここに来た。ヤンマーのいる日本で勝ちたい」と、その抱負を語っていたオラクル・チーム・USA。福岡大会では3位となり70ポイントを獲得、ワールドシリーズ全9戦の通算は493ポイントで総合2位に。2017年6月にはイギリス領バミューダ諸島で開催される決勝に臨みます。
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