今回は『にいがた青年ユニオン』からご寄稿いただきました。
※この記事は2013年02月01日に書かれたものです。
■「生活保護が恵まれている」と思う方へのお手紙
にいがた青年ユニオンは1月31日、生活保護やそれと連動して引き下がる公的扶助を利用している当事者らで記者会見を行いました。
総理大臣宛の抗議書はこちら*1。
*1:「総理大臣宛の手紙「生活保護基準切り下げの政府予算案に対する抗議声明」」 2013年01月31日 『にいがた青年ユニオン』
http://ameblo.jp/union4u/entry-11460818853.html
昨日の夕方のニュース、今朝の新聞記事に掲載されています。
その中でも、いま最も注目されてしまっているのは就学援助への影響です。
本当は、それだけではないのですが。。。
ひとまず、生活保護と就学援助に注目です。
新潟市では小中学生の4人に1人が利用しています。
その枠が下がるのですから、すさまじいことになります。
下村文科大臣は「影響が出ないように」と言いましたが、ウソです。
100%ウソです。
8月に下がり始めるものを、先延ばしは可能だとしても、あくまで先延ばし。
来年度には下げるのですから。
それに、生活保護世帯以外で就学援助を受けている世帯に対しては、基準も費目も支給額も自治体が決め、お金も自治体持ち。国は手出しできません。
だから100%ウソだと断言するのです。
さて、そんな中でも、「うちはもっと大変だ」というお問い合わせがあります。
実は、すでに想定済みなので、まだ来ていない質問もあるかもしれませんが、それについても答えたいと思います。
どんどんご質問はもちろん、「バッシング」のたぐいも寄せてください。連絡先は、最後に。
なお、ニュースや記事というのは、1時間以上の会見を15秒や3段落の範囲にまとめます。
たぶん、後日特集でも組まれれば状況は理解できると思いますが、その場合は、家族をすべて巻き込みますので、慎重に判断をすることとなります。
Q: 夫婦と子ども3人の5人世帯で、月収と生活保護費があわせて26万円は高すぎではないか。自分はもっと大変だ。
A:
たぶん、あなたも所得だけ見れば生活保護受給基準を満たしているものと思われます。
ただし、生活保護を受給するには要件を満たさなければなりません。そのなかでも一番大きな要件が「貯蓄がゼロ」というものです。
たいがいの人は、大きな買い物-たとえば壊れた家電の買い換えや車検、タイヤの購入-を貯蓄でやりくりします。その月の収入だけでやりくりできる人は、まずいないはずです。
しかし、生活保護を受けている人は、特別な場合を除き、半月の生活費以上の貯蓄ができない状況になります。その状態でも、壊れた家電の買い換えはしなくてはなりません。なお、自家用車の使用について制限されていることはご承知の通りです。
また、積立型の生命保険も制限されます。不動産の所有も制限があります。年金もかけることはできません。つまり、保障という保障がないのです。
・・・国が保障してくれる? だとしたら、民間の保険会社はいらないはずです(笑) 民間の保険会社が必要だというのは、公的保険が貧弱だということを示しています。
これらの制限が嫌だから、生活保護を我慢するという人もいます。現にこのことは会見の際に、受給者が以前の私がそうだったと話をしています。なお、それについて引き下げがきまったことについてどう考えるかと問われ、その当事者は「我慢するかどうかは、その人の考え次第」とだけ答えています。
Q: 手取りで13万の給料(ボーナスなし)しかないのに、生活保護が高すぎる。
A:
夫婦そろって手取りで13万だとします。手取りで月の収入は26万円です。
これで最低条件だというのなら、これで子どもを2人育てられることを保障することが政治の責任です。
その夫婦が何人の子どもを授かるのかは、その夫婦が決めることですが、ならして考えたときにそれを保障できるというのが政治なのです。
でなければ、人口が減少しますからね。
社長さん、「うちの会社はそんなもの」というのなら、松下幸之助さんの言葉を思い出してください。
あなたは従業員の家族の顔も見えていますか。
Q: 働いている母子家庭です。でも生活保護を受けずに働いています。ダブルワークもすればいい。すごく大変なのは母子家庭です。医者にも行けません。
A:
たぶん、その状況だとすると、あなたも、生活保護を受けられるはずです。
あなたが苦しむのは、それはあなたの人生ですから、どうするかは選択してください。
しかし、あなたの子どもが苦しんでいる声は、あなたには絶対に聞こえません。
なぜなら、子どもはお母さんに「苦しい」とは言えないからです。
苦しいと言えば、あなたが苦しむから、子どもは死んでも苦しいとは言いません。
また、記事のお母さんも、あなたと同じ事を考えていました。
どうしても生活保護を受ける気にならなかったのです。
でも、最後の最後、どうしようもならず、子どもを見たときに、受ける決心をしたのです。
お母さん、
あなた一人の人生がどうなるかは、それはご自身で決めてください。
ただ、お子さんの人生を振り回す権利は、親であろうと誰であろうとありません。
子どもの貧困は、解消しなくてはならないのです。
その子の能力の芽を摘むわけにはいきません。
Q: 生活保護を受けている家庭の収支についてアドバイスしてはどうか。
A:
すでに実施しています。
ホームページにも概要を掲載していますが、ポイントは減点法の家計簿とすることです。
Q: それでも高い。
A:
まず、それぞれの家族には、それぞれの事情があることを考えてみてください。
こういうことを想像してみてください。
1.あなたの家族に、介護の必要なおばあちゃんを増やしてください。お金以外にも、家族の負担が増えます。
時間的余裕が減りました。
段差で転んだり、最近は認知症が進んできたようです。
これからどうしようかと考えます。
さて、自分の仕事はどうなりますか。
2.あなたの家族に保育園に通っている子どもを増やしてください。
朝は決められた時間以上に早くには子どもを送ってやることはできません。
帰りも決められた時間通りでなければなりません。
保育園ですから。
なお、保育料はあなたの所得に応じて決まります。生活保護が基準となって。
それにしても雪が降ると大変です。
遠方の職場に通うとなったら、それはそれは。
子どもが熱を出したときは、昼間に職場に電話が来ます。
「子どもさんが熱が出たので、すぐに迎えに来てください。」
そのことをちょっと怖いあの上司に何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も頼んでみてください。
3.妻が精神疾患を抱えました。
妻が精神疾患を抱え、1ヶ月に1回は通院が必要です。
送り迎えをしてやらなくてはなりません。
精神科は予約が必要で、非常に待つ時間が長いです。
もちろん、平日です。
自分がいないとき、妻は自殺を図ったこともあります。
職場にいても、家で何かあったらと気が気でなりません。
4.高校生の子どもが万引きをしてしまいました。
ある日、電話が来ました。
「子どもさんが万引きしたので、引き取りに来てください。」
職場を急いで帰り、相手のお店に謝り、警察に謝り、高校にも連絡をします。
担任の先生が「いつお邪魔しましょうか?」 家庭訪問してきます。
「自宅謹慎になりましたので、1日1回反省文を書かせて、それにコメントを付けてください。」
子どものことです。大変です。ここでしっかりと悪いことは悪いと教えなければなりません。
ですが、みんな仕事があります。
あなたが休まなければなりません。
これから上司に電話してください。
「1週間休ませてください。」
「なんで1週間も?」
「・・・」
5.親戚と仲違いしてしまいました。
お金の貸し借りの関係で、親戚と仲違いになりました。
会社から異動命令が出ます。
引っ越しが必要です。
引っ越し先が決まりそうなとき、「連帯保証人を」。
連帯保証人となってくれるような人がいません。
さて。
そろそろ、あなたも疑問がわいてきたかもしれません。
それと生活保護の何の関係があるのか?
「ホームレスになる3法則」を紹介します。
・ 貯蓄がない
・ 頼りになる身内がいない
・ 何らかのトラブルが起きる
この3つが同時に成立するとホームレスになります。
もちろん、ホームレスになる直前に、生活保護を申請すればよいのですが。
あなたの身近にも、このようなトラブルの種は落ちています。
芽生えるかどうかは、あなたの運次第です。
執筆: この記事はブログ『にいがた青年ユニオン』からご寄稿いただきました。
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