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人間とは格付けし合う生き物だ。貧富、地位、美醜、そして、男女の間にもバトルは起こる……欲望渦巻く高級マンションを舞台に描いた傑作ミステリー『ハイ・ライズ』が8月6日(土)よりヒューマントラストシネマ渋谷他にて全国順次公開となります。

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『マイティ・ソー』シリーズのロキ役で大ブレイクし、現在“ポスト ジェームズ・ボンド”の最有力候補として世界中から熱い視線を集めるイケメン俳優トム・ヒドルストン他、世界的人気を誇る英国俳優たちが勢揃いし、SF小説の巨匠、J・G・バラードの原作を完全映画化した本作。

ヒドルストンをはじめ、英国俳優が誇るいぶし銀ジェレミー・アイアンズ、『ホビット』シリーズなどのルーク・エヴァンスといったイケメン俳優への注目が先行し、女子向きのキャストムービーと思ってしまっている男子諸君もいるかもしれませんが、本作の魅力はそれだけではありません。

本作の舞台は1975年、ロンドン郊外に新たに建設された40階建てタワーマンション(=ハイ・ライズ)。ラグジュアリーな内装や抜群の眺望のみならず、ジムやスーパーマーケット等ありとあらゆる設備が整い、人々の生活の夢を具現化したかのような理想の住居空間で、住人達は一見パーティ三昧の贅沢な毎日を過ごしているセレブ揃い。しかし、上階に行くにつれ住民が富裕層になっていく露骨な“タワマン格差”が存在するほか、性別、職業身分など現代に通じる様々な格差を痛烈に描いています。

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カオスな階級闘争が次第に過激になる中で、厳しい立場に立たされるのは腕力で劣る女性。しかし、主人公のラング(トム・ヒドルストン)のことを「このタワーマンションで最高の備品」と見なすパーティ狂の美女シャーロット(シエナ・ミラー)、

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情緒不安定で酒とタバコに浸る環境主義者の妊婦ヘレン(エリザベス・モス)、衝撃的に不愛想なスーパーのレジ嬢フェイ(ステイシー・マーティン)、

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自分を知らないと分かると途端に機嫌が悪くなる撮られたがるTV女優ジェーン(シエナ・ギルロイ)など、マウンティング戦争に励む男性陣に負けじと女性陣もクセモノ揃いだ。そして、階級闘争の果てに待つ結末には、女性達の存在が大きく関わってくるので彼女たちの言動にもぜひ注目を。

シエナ・ミラーは本作について「ハイ・ライズが象徴しているのは秩序が崩壊した時に変化する人々の様子。表向きだけは完ぺきでも、社会が壊れた時に人間は本性を現してイカれていくのよ」とコメント。

監督は、75年に発表された原作を「映画化するには今が絶好の時期だと思った。小説というより新聞を読むように毎日のように何かが起きる物語だ。バラードはかなり正確に未来の状況を予測していたんだ」と分析しており、この映画で描かれるのは、40年以上が舞台でありながら、人間の排他性や理性の崩壊、ひとつの概念の終わりなど、ブラックユーモアとも取れるまさに現代社会への痛烈な皮肉となっているのです。

本作、筆者も一足お先に観ておりますが、音楽や映像がゾクっとするほどミステリアスでクール。名優達の演技合戦に酔いしれて。

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