デンマークの補聴器メーカー、オーティコン補聴器は7月5日、新製品『オーティコン オープン(Oticon Opn)』を発表、同日から販売を開始しました。
従来の補聴器は、聞き取る音に指向性があり、ユーザーの正面の音のみを伝えて側面や背後の音は抑えられてしまうという特徴がありました。『オーティコン オープン』は、ユーザーの周囲360°の音を伝え、ノイズなど不快な音を抑えることにより、騒がしい環境でも自然に聞こえるのが特徴です。
発表会では騒がしい環境として、多くの人でテーブルを囲み、楽器が演奏される会食の場面が例示されましたが、会場ではVRヘッドセットとヘッドホンでその違いを体感できる展示も。従来の補聴器を想定した映像では、顔を向けた方向にいる人が話す内容しか聞き取れないのに対して、『オーティコン オープン』の利用をイメージした映像では横や離れた場所にいる人の話も聞くことができました。同社は、両者の違いが理解できるコンセプト動画を公開しています。
オーティコンオープン_コンセプト動画(YouTube)
https://youtu.be/p1X5XnFUMlQ
従来の指向性のある補聴器では音を聞き取り理解しようとする際、脳に負荷がかかっていたのに対して、『オーティコン オープン』はこの負荷を軽減。従来製品と比較して疲れやすさが20%低減する、会話の覚えやすさが20%向上する、会話の理解が30%向上するという効果が見られたとのこと。
複雑な課題を処理する場合に、人間の瞳孔は交感神経の変化に反応して大きくなることから、同社は補聴器を装着して音声を聞き取る際の瞳孔の大きさを計測するテストを実施。『オーティコン オープン』では、従来製品と比べて瞳孔の大きさが縮小することが確認できたそうです。
『オーティコン オープン』には、従来製品と比べて音声処理能力を50倍に高める新チップ『Velox』を搭載。これにより、周囲の音環境を1秒間に100回以上分析し、人の声を大きくするなど音源のレベルバランスを調整したり、選択的にノイズを除去可能にしています。また、両耳で使用する際には左右の補聴器が通信して、音がどこから来るのかを正確に認識することが可能。
両耳間の通信に加えて、2.4GHz帯のBluetooth Low Energyで外部機器と接続する機能も搭載。『iPhone』では“Made for iPhone”の認証済みで、専用のiOSアプリを補聴器のリモコンとして利用が可能なほか、別売りのテレビアダプターからテレビの音声を補聴器にストリーミング再生する連携を実現しています。
アプリを介したインターネットへの接続により、たとえば補聴器の電池残量が低下したときに家族に通知したり、起床時に補聴器の電源を入れると家の電灯をつける、などの応用を検討しているとのこと。ウェブサービス間の連携を可能にする『IFTTT』にも参画しており、ユーザーが作成したシナリオによる連携も実現していく考え。
『オーティコン オープン』は全国のオーティコン補聴器取り扱い専門店、眼鏡店、百貨店で販売し、価格はオープン。推定価格は両耳セットで100万円とのこと。
補聴器というとお年寄りが使うもの、というイメージですが、突発性難聴は40~60代に多いそうです。耳鳴りや変調を感じたら早めに医師の診断を受けることはもちろんですが、将来に備えて補聴器のことも知っておくとよいのでは。
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ガジェット通信編集部
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