カメラマン:鏡田伸幸 ※写真は初日(公開稽古)から
早くも第七幕を迎えた『ハンサム落語』。今回は、磯貝龍虎、加藤良輔、碕 理人、土屋シオン、西山丈也、林 明寛、平野 良、前山剛久、宮下雄也という9人の若手俳優を迎えて行われた。
見たことのない方のために、簡単にハンサム落語のあらましを説明しておこう。通常、落語は一人で複数の登場人物をすべて演じるが、ハンサム落語は二人一組のかけあいで演じられる。1回の公演には上記の9人のうち4人が登場し、4つの演目と大喜利を行って1つのパッケージとなる。俳優の組み合わせによっては演じる役柄が異なることもあるので、上演される演目のバリエーションは数限りない。上演するのはすべて古典落語で、今回は「千両みかん」「看板のピン」「お直し」「笠と赤い風車」の4つの演目が選ばれた。
筆者が見に行った回の出演者は、磯貝龍虎、土屋シオン、平野 良、宮下雄也の4人。脚色・演出を手がける、なるせゆうせい(舞台『ヒストリーズ・ジャパン』脚本・演出ほか)によると、第七幕は「新たな参加メンバーと、古株怪優メンバー」が揃ったということだが、この回は「古株怪優メンバー」がやや多めということだろうか(失礼!)。
最初は、磯貝龍虎と平野 良による「千両みかん」。番頭役をなぜかナルシスティックに演じる平野が笑いをさらっていく。大旦那、若旦那、八百屋などを演じ分ける磯貝の巧さも印象に残った。
続いて、土屋シオンと宮下雄也による「看板のピン」。イキがよくてピチピチした、ろくでなしの若者を『ハンサム落語』初登場の土屋が快演。そんな土屋を『ハンサム落語』に推薦した宮下は、親分とその他のガヤまで小ネタを挟みまくって安定の怪演。ちなみに宮下は磯貝に励ましの置き手紙を残したりするなど、ネタ以外の部分でも盛り上げた。
カメラマン:鏡田伸幸 ※写真は初日(公開稽古)から
カメラマン:鏡田伸幸 ※写真は初日(公開稽古)から
三番目の演目は、磯貝・平野コンビの「お直し」。なにより磯貝による年増の花魁が見事。どっしり構えた女の強さと、好きな男のために場末で体を売る決心をする愛情、客の男についつい惹かれてしまう心の揺らぎなどを大熱演。頭の弱いろくでなしの客引きを演じた平野とのバカップルぶりも、愚かしく愛らしい。とはいえ湿っぽいばかりではなく、最後は磯貝のアドリブで場内は爆笑だった。
最後は土屋・宮下コンビの母親にまつわる人情噺「笠と赤い風車」。宮下が愛情あふれる薄幸の母親と入れ墨だらけの悪女を演じ分ける一方、土屋はグレてしまって母親を裏切る(早漏の)息子を熱演。血はつながらずとも、子を思う親の気持ちはどこまでも深いという一篇。せつないラストの余韻が残る。
どの演目にも、ろくでもない若者や何事もうまくいかない男と女が登場して、トラブルを抱えたり、他人を困らせたりする。万事めでたく解決するわけでもなく、噺によってはポーンと突き放したりもするのだが、そんな連中を笑いながらも優しい眼差しを注ぐのが落語というジャンルの特徴でもある。いつもは二枚目を演じている若手俳優たちが、のびのびと落語ならではのダメ人間を演じる姿を見るのも『ハンサム落語』の一つの醍醐味かもしれない。
『ハンサム落語 第七幕』
【大阪公演】テイジンホール 2月19日(金)~21日(日)
【東京凱旋公演】CBGKシブゲキ!! 2月24日(水)~28日(日)
料金:5,500円(全席指定・税込)
『ハンサム落語 第七幕』公式サイト:http://www.clie.asia/hr7/
【NEWS①】
DVD発売決定!
公演会場と通販サイトCLIE‐TOWN(http://www.clie.asia/clie-town/)にて予約受付中。
【NEWS②】
ルッキュにて舞台配信決定!
収録日:2月7日(日)17:00公演
配信期間:2月28日(日)18:00~4月30日(土)23:59まで
視聴販売期限:3月31日(木)23:59まで
視聴期限:48時間
販売料金:1,600円
☆会場では、手ぬぐい付き視聴チケットを販売中!
販売料金:2,300円 ※手ぬぐいのデザインはA・Bの2パターンから選べます
ルッキュ公式サイトhttps://lukyou.com/
TEXT:大山くまお
(c)ハンサム落語製作委員会
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