2016年1月、舞台「おん・すてーじ『真夜中の弥次さん喜多さん』」上演された。原作は、映画化もされたしりあがり寿のマンガ『真夜中の弥次さん喜多さん』および『弥次喜多inDEEP』。夢と現実、生と死を行き来するという奇抜な物語は、どのように舞台で表現されたのだろうか。
主人公は、「誰かが暗闇のなかでおいらをじっと見ている」「痛みで何もわからない」という“ヤク中”の喜多さんと、その恋人の弥次さん。喜多さんを立ち直らせるために、行けば何でも願いが叶うというお伊勢参りに向かうのだが、道中では奇妙な出来事や出会いが待ち構えていて……。
観客の目の前で繰り広げられる舞台というナマの表現であることを踏まえて大胆にストーリーやキャラクターはアレンジされ、オリジナルキャラクターも追加されている。たとえばメタフィクション的な視点を象徴するような「添乗員」のセリフでは、決まった筋書きがあることが強調されるし、会場であるシアターGロッソで普段はヒーローショーが開催されていることも踏まえて、Gロッソマンが登場! とくにGロッソマングリーンは、キーアイテムである「ふりだしマット」を持って現れたりと、ストーリーにも大きく関わってくる重要人物だ。さらには、この芝居の世界をぶち壊そうと何度も現れるジャンヌ・ダルクも入り交ざって、弥次喜多の旅は混迷を極めていき……。
もちろん、ほかのどの登場人物もアクが強く、インパクト大。セットやプロジェクション・マッピングを活用して、何でもありな世界観が視覚的にも表現されていて見応え満点だ。
シュールなギャグを多く含むコメディタッチの作品ということで、笑いどころばかりだが、そのぶん稽古も大変だったという。
「ぜんぶが計算された間で、それを計算機のように再現することを、約1ヶ月の稽古でやってきました。そのなかで、『弥次さん喜多さん』の間がいつの間にか自分たちの間に変わってきたんだなと、ようやく掴みつつあるのかなと思っています。最初は、本当に怖くて、すごく不安だったんですけど、お客様にドーンとぶつけたいと思っています」(弥次さん役・唐橋充)
と、初日の手応え通り、公演ではその想いを全身でぶつけた。もう一人の主役、喜多さん役の藤原祐規も次のように意気込みを語っていた。
「(共演者を見渡して)知っている方も多くて、みんな大好きなメンバーで、稽古がものすごく楽しくて、あっという間に終わってしまいました。今日はみんなも楽しんで演じていたと思うのですが、明日からはもっと楽しむという気持ちで臨みたいと思います」気が弱く繊細な役どころを体当たりで挑んでいた。
笑いあり、涙あり、人間の表も裏もカッコいいところもカッコ悪いところも詰め込まれた本作に、原作をご存知の方はもちろん、初見でも引きずり込まれることは間違いないだろう。
(C)しりあがり寿/2015 おんすて弥次喜多
【NEWS①】
舞台「おん・すてーじ『真夜中の弥次さん喜多さん』」DVD発売決定!
通販サイトCLIE TOWNでご予約いただくと、CLIE先行予約特典として大千秋楽全編引き映像DVD付! *商品の発送は2016年5月末を予定しております。製造状況によっては、多少変動する場合がございます。
◎本編DVD:7,020円(税込) ◎メイキングDVD:3,996円(税抜)
【NEWS②】
ルッキュ、ニコ生舞台配信決定!!
舞台映像を、ルッキュ、ニコ生にて配信中。
サイト内でシリアルチケットを購入し視聴ができます。
視聴期間:1月20日(土)~3月31日(木)まで
ネットチケット販売期間:1月10日(日)~2月29日(月)まで
▽ルッキュ配信…1,600円【17日(日)16:30(東京千秋楽)】
視聴可能時間:見始めてから48時間以内
▽ニコ生配信…1,600円【13日(木)14:00/19:00 公演(東京公演)】
視聴可能時間:見始めてから24時間以内
TEXT:藤村秀二
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