友人や家族ではなく、その道の"プロ"に相談がしたい――。
そんな働く女性のお悩みに答える連載「お悩みキャリア相談室」では、株式会社Waris(ワリス)共同代表、キャリアカウンセラー、ライターでもある田中美和さんが、読者のみなさんのお悩みに答えます。
第22回目のお悩みは......
この春に管理職になったばかりの37歳です。今までずっと営業畑で、ガツガツ仕事をしてきました。自分で動いて仕事や数字を動かしていくことに楽しさとやりがいを感じていたのですが、今は部下やチームの数字やタスク管理をはじめ、クライアントとの付き合い、上司や別の部署との仕事の動かし方など、マネジメント業務が増えてきました。
自分で動けないもどかしさを感じる場面も多くありますが、負けず嫌いな性格ということもあり、管理職として早期に結果を出したいと考えています。
そこでマネジメントや心理学など、仕事に役立つ書籍を教えていただけないでしょうか? よろしくお願いします。【37歳、Fさん、東京都在住、管理職】
部下と自分との違いを認めた上で、
力に変えていけるような考え方を学んでみて
管理職としての仕事に意欲的に取り組まれていて、素晴らしいですね! これまで様々な経営者の方からお話を伺う中で、「おすすめの書籍」について教えていただいたことも少なくありません。実際に私が読んだものの中で、分かりやすかったものを3冊選んでお伝えします。ぜひ参考にしてみてくださいね。
ピーター・F・ドラッカー著『マネジメント(エッセンシャル版)-基本と原則』(ダイヤモンド社)
世界的に有名な経営学者・ドラッカーの著書です。マネジメントについて書かれた教科書的な1冊ですので、管理職になられたのならぜひ1度読まれてみることをおすすめします。
数年前にベストセラーになった、『もし高校野球のマネージャーがドラッカーの「マネジメント」を読んだら』(岩崎夏海著)は、まさにこの『マネジメント』を女子高生が手にするところから始まる物語でした。「もしドラ」を読まれてから、ドラッカーの『マネジメント』を読まれるとより分かりやすいかもしれません。
鈴木秀子著『9つの性格 エニアグラムで見つかる「本当の自分」と最良の人間関係』(PHP研究所)
"エニアグラム"とは性格的特徴から人を9パターンに分けて、自己理解と他者理解をすすめるための方法論です。この考え方を、採用や組織運営に生かしている経営者や管理職の方もいます。
管理職になると、様々なタイプの部下と接していくことになります。「どうして?」「なぜ?」と疑問を抱くような部下の言動に接することもしばしばだと思います。様々な言動を見るにつけ、「私だったら、そんなことをしないわ」と考えてしまいがちですが、自分と他者はあくまで違う存在。「エニアグラム」の考え方に触れると、1人1人の特性をとらえた上で、その組み合わせで力を生むことの大切さが理解できます。
コーチ・エィ著 鈴木義幸監修『この1冊ですべてわかるコーチングの基本』(日本実業出版社)
コーチングについての基本的な考え方から実践例までを豊富に盛り込んだ1冊です。コーチングはクライアントの目標達成を導く対話的な手法の1つですが、もちろん、管理職が部下を指導する際にも大いに役立つ方法で、学んでおいて損はないと思います。
部下が真に欲していることは何で、そのためにどうしたらいいのか――そんな建設的なアプローチで接することができたら、部下との関係も前向きなものになりますよね。「コーチ」の資格を取得するかどうかは別として、その方法論のエッセンスを学べるような講座は様々な団体で多数開催されているので、実際に参加されてみることをおすすめします。
photo by Thinkstock/Getty Images
(文/田中美和)
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