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大人になった今だからこそわかる懐かしい絵本の哲学的なメッセージ。展覧会『レオ・レオニ 絵本のしごと』

2013/07/01 13:30 投稿

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小学校の国語の教科書で読んだ絵本『スイミー』。小さくて黒い魚のスイミーが、仲間と知恵を出して危機を乗り越えるストーリーでした。作者はレオ・レオニ。彼の作品を集めた展覧会「レオ・レオニ 絵本のしごと」が渋谷の「Bunkamura ザ・ミュージアム」で開催中です。


絵本作家のイメージが強いレオ・レオニですが、グラフィック・デザイナーとしてのキャリアも長く、初めて絵本を出したのは49歳のとき。それが孫のために作った『あおくんときいろちゃん』です。以後、40冊近くの絵本を発表。この展覧会では、絵本の原画約100点、油彩や版画、彫刻や資料など約30点が出展されています。


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「フレデリック」 1967年 Frederick (c)1967, renewed 1995 by Leo Lionni / Pantheon 


さっそく会場に行ってみましたが、大人が行っても十分に楽しい構成です。


たとえば、展覧会のメインビジュアルにもなっている、ねずみの絵本『フレデリック』。かわいいキャラクターとしてのイメージはあったのですが、あらためてストーリーを読んでみると、実に深くて哲学的


冬に備えて仲間のねずみがせっせと食べ物を集めて働く間、ボーッと空を眺めたり物思いにふけって過ごすフレデリック。そして冬になり......とそこまで読むとまるで「アリとキリギリス」の話のようですが、その後のストーリーが実にステキ! 想像力やことばの力が人を幸せにする、というメッセージは、大人にこそ大切なものかもしれません。


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「マシューのゆめ」 1991年 Matthew's Dream (c)1991 by Leo Lionni / Knopf  


絵がかわいらしく、洗練されているので、ついそこにばかり目が行きがちですが、どの作品にも強いメッセージが込められています。


みんなと違う自分を認める大切さや、知恵を勇気があれば困難に立ち向かえること、ことばの持つ力の大きさ、など、大人が読んでもハッとさせられる。きっと気になる1冊が見つかると思います。


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「アレクサンダとぜんまいねずみ」 1969年 Alexander and the Wind-up Mouse (c)1969, renewed 1997 by Leo Lionni / Pantheon 


原画からは、水彩やコラージュなど、作品に合わせた表現方法を選んでいたのがうかがえます。ネズミのキャラクターは柔らかさを出すためにあえて「手ちぎり」という方法にこだわり、ネズミの形にちぎった紙をたくさん用意していたのだとか。修正するために原画に紙を切ったり貼ったりした跡も見えるのが、デジタル時代のいまから見ると、とても新鮮です。


会場のあちらこちらに、展示作品に合わせた絵本も置いてあるので、子連れでもゆっくり楽しめそう。『スイミー』の原画はなかったのですが、ちょっとした仕掛けで、スイミーや魚たちと遊べます。


上記作品すべて Works by Leo Lionni, On Loan By The Lionni Family


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「レオ・レオニ 絵本のしごと」公式サイト

会期:8月4日(日)まで
会場:Bunkamura ザ・ミュージアム
開館時間:10:00-19:00 (金・土は21:00まで/最終入場は閉館の30分前まで) 会期中無休
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(文/ミヤモトヒロミ)

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