子どもを望む女性なら、誰もが1度は考えるのではないでしょうか。自分は、いつまで出産できるのだろうか?――と。
私は33歳・独身です。出産に向けて今から何かできることはないのか? と考え、軽い気持ちで受けた「AMH検査」。その結果、思いがけず出産のリミットに直面することになったのです。
■実年齢より低すぎる結果に衝撃
卵子の数が年齢とともに減少するのは、すでに周知の通りです。AMH(アンチミューラリアン・ホルモン)測定検査とは、卵巣内にどれだけの卵子が残っているかを調べる、比較的新しい検査です。不妊治療の一環として行っている病院がほとんどで、単体で受診できる病院はまだそう多くはありません。検査内容は腕からの採血のみ。費用は保険適用外で、10,500円でした。
何の躊躇もなく検査を受けた私でしたが、1週間後に届いた検査結果を見て、大きな衝撃を受けました。数値は「0.48ng/mL」。私は目を疑いました。
「何ですか? この、限りなく0に近い数値は!」
私の年齢だと「6未満~4以上」が年相応のようですが、それよりも大幅に低い1以下、「42歳以下程度」でした。つまり、私の卵子はもう残りわずかだということ。それは、33歳にして「もうすぐ閉経しますよ」と宣告されたようなものでした。
■私はもう、妊娠できないの?
私は混乱しました。この結果をどう受け止めればいいのだろう、と焦りました。
しかし、勘違いしてはならないのは、数値が1以下でも、「いま、妊娠できる可能性はゼロではない」ということです。なぜなら、卵子の「数」と「質」はまったく別の問題だからです。質の良い卵子が1つでもあれば、妊娠は可能です。
AMH検査はあくまでも「数」だけを調べる検査です。さまざまな要素が複合的に合わさって初めて達成する「妊娠」の、1つの要素に過ぎません。
それなのに、なぜ最近この検査が重要視されているかと言うと、残念ながらこの数値が治療や生活習慣で改善されることはないからです。限界はありますが、卵子さえ残っていれば、質を高めるための治療をすることもできます。しかし、失ってしまった卵子は、もう2度と戻ることはありません。
結果を正確に受け止めると、「もう妊娠できない」ではなく、「妊娠できるリミットがごく間近に迫っている」ということでした。
■結果を受けて、いま、できることは
実際に受けてみて、私はこの検査を手放しで他の女性に勧めたいとは思いません。
自分の努力だけではどうすることもできない妊娠・出産は、子どもを望む女性にとって非常にデリケートな問題です。出産のリミットと向き合うのはとてもつらいこと。できれば自分はいつまでも出産できる、と信じていたいものです。それを敢えて、現実を突きつけられることが、本当にいいことなのか。この結果による焦りやストレスが、逆に妊娠を遠ざけてしまうことにもなりかねません。
ただし、検査結果を踏まえて、次の行動を起こすことはできます。
数値が低ければ、妊娠を最優先にしたり、早めに病院を受診してみたりという選択もできます。出産のリミットが近いということは、治療ができる残り時間も短いということです。
もし私のように独身だったり、事情があってすぐに妊娠できる環境にない人は、まず婦人科で子宮筋腫、子宮内膜症、卵巣嚢腫など、妊娠を遠ざける病気の検査をしておきます。そして、毎日基礎体温を記録し、できるだけ規則正しい生活を心がけ、生理周期を整えます。
結果を知らずにこれらの行動を起こさなければ、後で大きな違いが現れるかもしれません。このように、AMH検査を受けるメリットはもちろんあります。
だから、AMH検査とは何の検査なのか、正しい知識をもち、何のために受けるのかを自分の中で整理してから受けてほしい、と私は思います。結果が良かった場合、悪かった場合、それぞれどうするのか。結果を見て、ただ安心したり、ショックを受けたりするだけでは意味がありません。
進化している医療の力をどう使うかは自分次第。妊娠を望む女性の皆さんが、どうか悔いのない選択ができるようにと願います。
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(文/尾越まり恵)