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1度見たら忘れられない。ストイックな「線」の追求から生み出された「町田久美新作展」

2013/05/28 21:06 投稿

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「二夜」 "Futa-yo" 2013 雲肌麻紙に青墨、茶墨、顔料、岩絵具、鉛筆 72.7×91cm


瞳がふたつある人物の顔や、部屋の片隅に立つ奇妙な人影。現代画家、町田久美の不思議な世界に触れられる新作展が、日本橋の「西村画廊」で開かれています。


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「白い部屋」 "a white room" 2013 雲肌麻紙に鉛筆、色鉛筆、グラファイトクレヨン 194×113.7cm


町田久美は、和紙(主に雲肌麻紙)や墨、胡粉、岩絵具など、伝統的な「日本画」の素材・技法を用いてどこかオリエンタルなモチーフを描きながらも、今までにない新しい表現を創り上げてきた作家です。


クリーム色の和紙の余白を切り裂くように伸びる漆黒の墨線は、実は細い線を何度も何度も重ねるという緻密な作業が生み出したもの。筆圧の強さから歯を食いしばってしまうため、マウスピースを着用して制作しているといいます。


悪意とユーモア、不気味さと可愛らしさ、大人と子ども、男と女――様々な要素が入り混じり、1度見たら夢に出てきそうな強烈さ。瞳や口元には日本画的なグラデーションが施され、青墨・茶墨の繊細なニュアンスが画面に深みを与えています。


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「寓話」 "a white room" 2013 雲肌麻紙に鉛筆、色鉛筆、グラファイトクレヨン 194×113.7cm


1970年に群馬県高崎市に生まれ、多摩美術大学の日本画専攻を卒業した町田久美はその後、線による絵のスタイルを追求。これまで西村画廊、ドイツのケストナーゲゼルシャフト、高崎市タワー美術館と国内外で展示を重ねてきました。この春夏は高崎市美術館「ジパング展」、三重県立美術館「アジアの女性アーティスト展」、河口湖美術館「ワンダフル・マイ・アート展」にも彼女の絵画が出品されています。


町田久美の作品には、自意識の葛藤や社会に対する違和感、他者とのコミュニケーションに潜む不安など、現代を生きる私たちが経験する捉えどころのない感覚が暗示されています。2人の人物がメビウスの輪のように繋がる130号2枚組の大作を中心に、新作ペインティングとドローイングを見ることができる今回の新作展。会場は日本橋高島屋のすぐ近くですので、日本橋から銀座方面にお出かけの際に足を延ばしてみてはいかがでしょう。


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町田久美 新作展公式サイト
6月15日(土)まで。
場所:西村画廊(東京都中央区日本橋 2-10-8 日本橋日光ビル 9F)
Tel:03-5203-2800
開館時間:10:30〜18:30
休廊日:日、月、祝



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(文/田邉愛理)

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