待ちに待った桜の季節が到来ですね。悲しい別れに涙したり、新たな出会いの予感にワクワクしたりと、悲喜こもごものこの時季、桜は常に日本人の身近に寄り添ってくれていました。
ところで、日本には一体何種類の桜があるのかご存知でしょうか? 桜の季節を待ち焦がれる割には、その生態や種類、歴史については案外知らないものですよね。そこでぜひ、桜が満開になる前に桜についてお勉強してみてはいかがでしょうか。
「お勉強」というと堅苦しい印象ですが、以下ご紹介する本はどれも肩の力を抜いて楽しめる本ばかりです。お花見の席での話題作りにも役に立つかもしれませんよ。
『おもしろくてためになる 桜の雑学事典』(著/井筒清次)
まず最初にご紹介するのは『おもしろくてためになる 桜の雑学事典』(日本実業出版社)です。
先に挙げた「日本には何種類の桜があるのか」という疑問を解決してくれるほか、桜が登場する和歌や俳句、文学の紹介や意外と知られていない「樺細工」などの桜の利用法、「サクラ」の語源に迫るなど読み応えのある1冊です。
読んだら誰かに話したくなる雑学がたくさん詰まっていて、酒宴でうんちくを披露したくなること必至ですよ。
『桜の文学史』(著/小川和佑)
次にご紹介するのは『桜の文学史』(文藝春秋)です。内容は一部、上記の『おもしろくてためになる 桜の雑学事典』と重複しますが、桜と深い関わりのある文学について、飛鳥・奈良時代から現代に至るまで全ての時代を詳細に分析、解説しています。
書籍カバーの見開きにもあるように「桜の文学絵巻」といっても過言ではない1冊。誰もが1度は耳にしたことがある「桜の樹の下には屍体が埋まってゐる」という梶井基次郎の一行にも深く迫ります。
『桜さくら Picture Book of Cherry Blossoms』(青幻舎)
最後は、文字を読むのは苦手という方にお勧めする1冊『桜さくら Picture Book of Cherry Blossoms』(青幻舎)です。
桜が登場する名画や伝統工芸品、意匠などを集めた文庫サイズの桜の画集です。江戸時代の貴重な桜花写生図や「桜守」先代佐野藤右衛門が作成した昭和の桜花図譜、また浮世絵に見る桜など、この1冊で桜の展覧会が楽しめます。バーチャルお花見気分でどうぞ。
ご紹介した中には中古でしか手に入らない本もありますが、どれも読んで損はありません。大好きな桜についての知識を深められますので、皆さんも気になった1冊をお手に取ってみてくださいね。桜がより身近になること間違いなしですよ。
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(文/六島京)
六島京秋田県出身、京都在住。臨床検査技師免許を持ち、某法医学教室にて解剖補助の経歴を持つ。推理小説、京都、B'zをこよなく愛し、推理作家を目指して奮闘中。尊敬する推理作家は横溝正史、江戸川乱歩、有栖川有栖、綾辻行人。