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2月22日は猫の日。黒猫があなたの後ろに忍び寄る傑作ミステリ3選

2013/02/21 22:02 投稿

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photo by Thinkstock/Getty Images


2月22日は猫の日です


猫の中でも黒猫はとりわけ神秘的な存在。魔女の相棒として描かれたり「前を横切ると不吉」という迷信などもあり、黒猫に関する言い伝えは尽きません。そんな黒猫は、ミステリにも欠かせない存在。今回は、黒猫が登場する傑作ミステリをご紹介します。


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『黒猫亭事件』(横溝正史)

まずは横溝正史の『黒猫亭事件』(角川書店/『本陣殺人事件』内に収録)です。


探偵小説家のY氏は疎開先の岡山県で、探偵の金田一耕助より手紙を受け取ります。その内容は驚くべきもので、金田一自身が遭遇した「顔のない屍体」事件の全貌でした。


戦後の暗い影がいまだつきまとう昭和22年、東京近郊のG町銀座と呼ばれる繁華街の裏通りに「黒猫」というカフェーがあり、経営者は他人に店舗を譲り渡していずこかへ引っ越し、店は休業中でした。ある日、無人であるはずの「黒猫」の庭で、蓮華院の僧・日兆が何かを掘り出しているのを巡回中の巡査が発見します。それは何と女の腐乱死体でした。そしてその傍らからは黒猫の遺骸も掘り起こされます


日兆はなぜ遺体を掘り起こしていたのか? 遺体の正体は? そして黒猫が殺害された理由とは? 二転三転する展開に一気に読み進んでしまいます。


本陣殺人事件 - Amazon


 
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『黒猫館の殺人』(綾辻行人)

続いては綾辻行人の『黒猫館の殺人』(講談社)。探偵にして推理小説作家でもある島田潔が、建築家・中村青司が立てた異形の館に出会い、その館で起こる陰惨な事件に巻き込まれていくという「館シリーズ」の第6作目です。


推理作家・鹿谷門実(島田潔のペンネーム)の元に「差し迫ったお願いがあり、是非ともお会いしたい」と鮎田冬馬なる老人から手紙が届きます。鮎田は記憶喪失で「自分が何者なのかを調べて欲しい」と鹿田に訴えるのです。手掛かりとなるのは鮎田の手記とされるノートで、その内容は「黒猫館」という風変わりな館で起きた殺人事件の全貌が綴られていました。


本当にその惨劇は起きていたのか? 果たして鮎田冬馬は本人なのか? 過去と現在が交互に進行し、真相解明に鹿谷が挑みます。気を抜いて読むことなかれ。筆者の仕掛けにまんまとはまりますよ。


黒猫館の殺人 - Amazon


 
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『黒猫』(エドガー・アラン・ポー)


最後はエドガー・アラン・ポーの『黒猫』(新潮社/『黒猫・アッシャー家の崩壊―ポー短編集〈1〉ゴシック編』内に収録)。この作品が「黒猫=不吉、恐怖の存在」というイメージを決定付けたといっても過言ではないでしょう。


物語は短編ですが、インパクトは大。幼少時に読んだ方は必ずといっていい程、トラウマになります。


物語は、アルコールに溺れたために悪鬼となった男が、飼い猫・プルートーに与えた惨い仕打ちが引き金となり、やがて破滅へと向かって行くというもの。その転落の過程が恐ろしく、ラストは猫好きの方でも縮み上がること間違いなしです


黒猫・アッシャー家の崩壊―ポー短編集〈1〉ゴシック編 - Amazon


 
しかしながら、「黒猫が不吉」というのは全くもって誤解ですので、見かけたらうんとかわいがってあげてくださいね。あなたにとってのラッキーキャットになってくれるかも知れませんよ。


黒猫が登場する3遍のミステリ。是非とも猫の日に読んでみてくださいね。あなたの後ろに黒猫がそっと忍び寄るかも......。


(文/六島京)

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