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【特撮】鏡には歪んだ自分の姿が映っている ~壱~

2018/03/31 23:04 投稿

  • タグ:
  • 特撮
  • 仮面ライダー
  • 仮面ライダービルド

はじめに


 いわゆる「暴走フォーム」「闇堕ち形態」と呼ばれる姿がある。主人公が圧倒的な力を得る代償に我を失ったり、心を闇に染めてしまったりする姿である。

 昨今のウルトラマンや仮面ライダー諸作品において主人公がこれに類する姿に変貌する展開はかなり多くみられるのだが、一転、いわゆる昭和時代の作品においてはこういった展開はあまり見られない。

 なぜヒーロー達はこのような姿に変貌するのか、そこにはどんな意味があるのかをいくつかの作品の類型を通して考えていきたい。


科学がもたらすのは平和か戦争か

(仮面ライダービルドハザードフォーム)


※現在放送中の番組「仮面ライダービルド」の展開について若干のネタバレ要素がありますのでご注意ください。


 仮面ライダー最新作、仮面ライダービルドにおいても暴走フォームが存在する。悪魔の科学者と呼ばれた葛城巧が創り上げた「ハザードトリガー」を用いて変身するハザードフォームだ。ビルド作中では登場キャラの強さをハザードレベルという概念で数値化しているが、ハザードトリガーはこれを大幅に上昇させる代償に、連続使用で自我を失う副作用が発生して暴走するという危険なアイテムだ。

 仮面ライダービルドは戦争がコンセプトの一つになっている。日本がいわば内乱状態となり、主人公・桐生戦兎らもそのうちの一派に属して戦う羽目になるわけだが、そもそもその発端となった科学の発明には戦兎自身が深くかかわっている。戦争そのものが自ら引き起こしたマッチポンプになってしまっていることに彼は深く思い悩む。

 そこへ追い打ちをかけるように登場するのが件のハザードトリガーである。友を救うためこの禁断の兵器に手を出す戦兎だったが、その力に飲み込まれ取り返しのつかない事件を引き起こしてしまう。彼の中で、科学者としての自らの存在意義、そして科学そのものの価値すら揺らぎ始め、一時は戦うことを止めてしまいもした。周囲の流れに押されるように再び戦いの渦中へ駆り出された彼は、またもハザードトリガーを使わざるを得ない状況へ追い込まれてしまう。自決覚悟で力を行使する彼を救ったのは万丈龍河をはじめとする彼の仲間達だった…。

 仲間の支援によって正気を取り戻す、という展開はこういった暴走系の話においては王道である。類似のものとしては仮面ライダーオーズのプトティラコンボがあるだろうか。幾度となく変身しては暴走というくだりを繰り返しながら、仲間たちの呼びかけで次第に力を制御できるようになっていく、という点も共通している。

 重要なのは、「自分一人ではどうにもならないことでも、誰かに助けてもらえば克服できうる」ということ、そして「自分を助けてくれる人は自分が助けた人である」ことが多いということである。自分を見失いそうになった時に自分を肯定してくれる存在がいるかどうか、それはひとえにそれまでの自分の行いや態度が周囲の人々にどう影響を与えてきたかにかかっている、ということを教えてくれるのだ。

 再び立ち直った桐生戦兎は、自らの科学に対する考えを貫き、あくまでも理想を掲げる道を選んだ。その覚悟の表れとして、悪魔の科学者が作ったハザードトリガーを制御するラビットラビットフォーム・タンクタンクフォームを、桐生戦兎自身の手で創り出したのである。科学が生み出すのは戦争や悲劇じゃなく、愛と平和なんだと、自身の力で証明するために。


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