「インバウンド広告」は、日本を訪れる外国人をターゲットとした広告、そして「シネアド」は、映画館で映画上映前に流れる「企業CM」のことです。
今回のセールス開始に先立ち、星野リゾート協力のもと、「星野リゾート ネコマ マウンテン」のブランディングCMを台北市内の「VIE SHOW CINEMAS」3劇場にてシネアドとして上映。
コロナ禍以降、日本への渡航が急回復している台湾で、観光誘致を目的として上映しました。台湾国内でも人気の高い日本のアニメ映画などの上映前に展開。上映素材は日本らしさを演出するため、日本語のテロップを用いた素材にし、繁体字幕付けで制作しています。
旅行の計画を立てる訪日前のタイミングに日本の情報を提供できるだけでなく、日本へ訪れたいと思っている見込み客に向けて訴求できるインバウンド広告として、今後は、すでに台湾から多く訪れる日本の主要都市だけでなく、まだ台湾国内であまり知られていない日本の地方自治体や観光スポットへの集客に向けたセールスを行っていくとしています。
コロナ禍以前の台湾人の訪日者数は右肩上がりで推移しており、2019年には過去最高記録の約489万人に到達しました。アフターコロナ元年となった2023年の訪日者数は約420万人まで回復してきています。また、訪日外国人の旅行消費額においては、2023年には台湾がトップの7,786億円を記録し、依然として台湾からの日本人気は高まっています。
台湾の映画市場は興行収入、動員数ともに年々堅調に推移しています。中でも日本映画の人気が高く、2023年に台湾国内で公開された映画作品数は日本作品が第1位(※1)、国別公開作品の興行収入はアメリカに次いで日本が第2位となりました。また、2023年の年間興収ランキングでは、日本のアニメ『THE FIRST SLAM DUNK』が第1位を記録。その他、『すずめの戸締まり』『君たちはどう生きるか』もTOP10入りする大ヒットとなりました。
国内でのインバウンド向けの施策も活況ですが、さらに攻めの姿勢で訪日前のインバウンド見込み客へのアプローチが登場しました。映画の上映にあわせてのシネアド展開は、聖地巡礼という訪日の目的も広がる中、日本滞在中に体験してみたいことを具体化してくれます。
映画館という場所の選定により、作品のファンに向けての訪日メニューを明確に提示することで、インバウンド誘致をより高確度なものへとする今後の展開にも注目したい施策がありました。
※1:2023年度に公開された作品、年度をまたいで公開された作品、再公開された作品を含み、映画祭作品は除外したデータ(出典:文化部発行「電影市場動態」)