菊地成孔(著者) のコメント

菊地成孔 菊地成孔
(著者)

>>9

 これは内気功とも外気功とも直接関係はありませんが、コロンボにはキャラクター造形の一環として、かなり演舞的な、大きなムーヴを持ちます。これは流石に英語圏でも指摘がないですけど、一番近いのはミッキーマウスです(そういう意味では、「うちのカミさん」がミニー・マウスになるわけですが笑、このミニーは姿を現しません)。

 「ファンタジア」がすんなり成立したのは、「ミッキーの蒸気船」から幾星霜、ミッキーマウスの動作が、そのまま魔法使いの弟子としてはめ込みが可能、とウォルト・ディズニーの天才が直感したからだと思いますが、コロンボをフェアリー扱いする研究はいっぱいあるけれども、ミッキーマウスとコロンボが、具体的にかなり似た全身の動きで(あと、これも重要ですが、どちらも目が動きません)魔法をかける、という相同性があるのは、それこそあらゆる宗教に結印的な「動作」があること、これが歌舞伎の見栄のような「所作」に移動するのが、むしろ秘密=ドグマの保持であること、と結びついている事を示していると思います。コロンボには所作がありませんが、動作があり、ドナルド・トランプは所作だらけですね笑。

 また、全69話中、解決時刻が夜であることの方が少なく(かなり図式的にゴシックを表現してしまうので)、また「とうとう夜が明ける」話が、特別編の1話しかなく、意外と昼景が多いんですけど、「策謀の結末」は、オーシャンビューの大ウインドゥだという点=デブリンが睥睨している「世界」に、コロンボが間を割って入ってきて、陽光を背に受ける形になっているのは重要だと思います。

 僕はヴィギランティスムは、医療法も薬事法も介さない精神分析治療も包摂する観念だと思います。国家=警察=憲法を使わず、法を執行する、という感覚は、コロンボがロス市警の警部補でありながら、私立探偵と同じ意味を持たされている(フィクスされた上司や部下がいない)、という点で、ご指摘のとおりではないかと思います。

No.10 10ヶ月前

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