ビュロ菊だより

<菊地成孔の一週間/2018年2月第4週>

2018/03/06 10:00 投稿

  • タグ:
  • NEWSBLOG

2月20日火曜


 写真はロシア大使館近くの「サウンドシティ」というスタジオで、東京でも老舗に類する。私が使用するのも随分と久しぶりだ。


 あらゆるジャンルで、宅録とも卓録とも書かれる、所謂ミ二マルなデスクトップミュージックの驚異的な発達によって、昔日にはクリシェだった「どこそこのスタジオの音が素晴らしい」「このアルバムはどこそこで録音されているから偉い」的な、まあ、アビーロードだとかハンザウォールだとかロスのキャピタルだとか何とか、ああいう話は、現在ほとんど口にされない。


 限定的に、生楽器による演奏に関してのみこのクリシェは健在で、まあそれはおかしな事でも何でも無い。むしろ、初期のヒップホップやテクノやエレクトロを「有名なスタジオで録音していた」としていた、という事実の方が、黎明期の混乱、牧歌的な時代の遺物として語り継がれるだろう。


 ここで、市川愛氏の、バンドを使った最終レコーディングが行われた。フライングで書くが、アコースティックピアノが林正樹、アコースティックベースがトオイダイスケ、そしてアコースティックギターが今堀恒雄である。演奏は完璧で、中でも今堀のギターは圧倒的に凄い。彼と仕事をするのは何年ぶりだろう?互いに少しずつだが、確実に老けた。

 

ここから先は有料になります

ニコニコポイントで購入する

チャンネルに入会して購読する

  • この記事は過去記事の為、今入会しても読めません。ニコニコポイントでご購入下さい。

コメント

コメント不可の記事です。

いまブロマガで人気の記事

継続入会すると1ヶ月分が無料です。 条件を読む

ビュロー菊地チャンネル

ビュロー菊地チャンネル

月額
¥880  (税込)
このチャンネルの詳細