菊地成孔の一週間~1人称も「自分」で落ち着いて来て安定して来たものの、コレ良くありがちな話ですけどね、安定したらしたで「良いのかな、こんな代り映えのしない毎日を記していて。もっとエッセイに力を入れるべきでは?それより三輪君のPVはどのタイミングで製作に入るべきか?」等と思い始めながらも、ストラビンスキーの「118の質問に答える」(1960)にヤラレっぱなしのまま、アベノミクスってやっぱり黒木香に対する檀蜜ぐらいのもんでしょうな。の2月第二週~
2月4日(月曜)
ペン大理論科高等の最終授業。「スノーバウンド」の分析を終わらせる。7分に及ぶ曲なので、間奏(これも凄い――シンプルかつスカスカに聴こえるのだが、設計図が複雑――のだが)だけは手つかずでタイムアウトになった。お疲れさまでした。彼らは「ペン大学院修士課程/マスターペンギン」へと進学する。
マスターでは先に進むのではなく、敢えて逆行し、アフリカを中心とした民族音楽と、ヨーロッパの「バッハ以前からバッハへ」つまり「ブルースの二大原料」と目されるファクターを、今一度振り返る「ポップスの18世紀以前」という形にした。これを1年間やってからジャズ総研とグルーヴ総研という博士過程(ペンギンドクター)に進む。
と、ご覧の通り、結局最終形はカラード&ミクスチュア・ミュージック学校に成った。まだ「オデッサの階段」を観ていないので(カッチョ良過ぎて怖い予感により・笑)、使われたかどうか不明だが(とにかく、ほとんどが捨てられている筈なので)「カルチャーを混ぜて楽しいですか?」という質問があり「あのう、純血っていうのは全部幻想ですよね。混血が現実な訳です。エントロピー的にも。勿論、幻想を守るのは素晴らしい事ですが、基本的にはストイシズムですよね。苦しい前提なわけ。私はそういう意味ではリアリストです。放っておけば全員混血する。その事に乗っているだけで、リラックスしてスムースに闘う訳ですよ。セックスがどんどん減っているというのは、混血を阻もうという無意識的な動きもあると思います」とか何とか答えた。こうして書き出すに、絶対に使われていないと思うが(笑)。
と、話を戻すが、大学院を設立(名前とカリキュラムを変えてるだけ・笑)する一方で、昨年は取らなかった新入生(ゼロスタートの、ピカピカの1年生)を今年は取る事にし、告知を出したのだが(前回および号外参照)、ちゃんとアドレスをアップしたら、掲示5時間で100人を超えた(*後注。そのまま増え続けている。定員締め切りが迫ったら告知します)。やはり短期の「コードを学ぼう」は掲示したアドレスが単に(以下、余りにガックシなので略)。とはいえ100名はあくまで要項の希望者であって、現在のところ、入学決定者は20名に満たない。
明日はブルックリンパーラーで3時間DJなので、選曲準備のため、食事はロイホへ(「酒を飲まない為」に。ロイホでは基本的に飲酒はしないで、漁に出かけている。大漁だったら祝いに飲むし、シケだったら飲まないが、何れにせよ漁の最中には飲まない。これでは本当に漁師である)。中程度のが一匹釣れたが、これは料理してからラジオで出す。
自分が喰ったのはクラブハウスサンド&ドリンクバー。クラブハウスサンドなんてロイホでしか喰わないが今回も超旨い。最近ロイホ東新宿はシェフを変えた筈である。あらゆるメニューの水準が上がった。そして、ドリンクバーで最も重要な、製氷機のシステムがレベルアップ!!(感涙を拭いながら)ドリンクバーカクテルのバーテン達――地球上で、自分を含め数名――の、長年の悲願であった「微妙な大きさのアイスキューブの手積みから、オートメーションのクラッシュアイス供給機へ」という歴史的なパラダイムシフトが起こった。13年は記念すべき年であると歴史は伝えるであろう。
2月5日(火曜)
先ずは週刊新潮のインタビュー「最近のマイブームは?」といった、おっとりした企画で「ポートワイン(を含む、甘口の食後酒)」と答えた。食事の締めに菓子とコーヒーではなく、菓子と甘口の酒で締める習慣がもっと定着しても良い、菓子と甘い酒なんて、と思うだろうが、試しにやってみると良い。そっちのが締まるから。という話をちょっとして、最後に1963年のポート(中村君に誕生日祝いに貰った)を抱えてポーズ。パシャリ。といった感じ。
その後、ブルックリンパーラーへ。シネコン的には「バルト9」が入っている、ラーメンマニア的には「青葉」が入っている、寿司の食い放題マニア(自分とか)には「築地雛寿司」が入っている丸井の地下にある読書カフェで、家から車なら3~4分、徒歩でも10分はかからない。ここでレギュラーのDJをやっているのである。DJと言っても、高台にある卓からフロアに向けて大音量でプレイし、アゲまくるといったものではなく、飲食を楽しむ人々のBGMを3時間に渡って流し続ける、という基本ラインである。
とはいえ企業イベント仕事みたいな、完全パーティーBGM担当(ごくごくたまにあるのだが、やっても攻めまくって、結局踊らせてしまう)ではなく、かといってがっつりライブでもない。という、良く言えばリラックスした貴重な時間、悪く言えば中途半端である。勿論、毎度おなじみ、良くしか考えないが。
3時間というのはガッツリしていて楽しい。その気になれば1時間の曲を3曲。という事も出来る(自分はCDしか使わない、文字通りのCD-Jで、CDが記録出来る上限は約70分)。今回は30分の楽曲ベースに、最初から最後までミックス。というロングプレイをやった(スティーブコールマンとジョージラッセル)。これは我ながら良かったので、「粋な夜電波」で9分のラジオエディット(というか、TBSのスタジオでリプレイ)を収録したので、これを読む頃には耳にされている方もいると思う。
前に「第三インター通信」(公式ブログ)にも書いたが、DJはクラウド(この場合、飲食の客だが)との直接接触が基本的にはフリーであって、お客様とのスキンシップという意味では最適で、ストーカー対応のセキュリティという意味では若干デンジャラスという事に成るが、まあ全然、基本的にストーカーな方は例外であって(まあ、いきなりバーンと現れたりするが・笑)、皆さん非常にマナーが良くスマートな方々で、握手を30回位、写真を40枚位撮ったが、とてもヴァイブス良かった。<日本の観客の安全性/礼儀の水準>は年々高まっていると思う。上昇を牽引しているのは間違いなくアイドル界の充実に寄るものだ。
とはいえ愛すべきKYみたいな人は必ず居る訳で(笑)、トラックとトラックを繋ぐぞという、集中の一瞬、その直前に「いつもラジオ聞いてます」とか言いにくる方がいて(クレームではないです・笑)、顔ではニコニコ対応しながら、内心が凄いシリアス顔に成っていたりする。これはナチュラルボーン水商売だからこそ可能な技である。真面目なDJさんだったら「ちょっと今すみません」と、怖いor困った顔で言わざるを得ないだろう。
中には擦っている最中(自分のDJ観た事も聞いた事も無い人も多いと思うが、ポリリズムを導入したエクスキューショナースタイルの擦り屋である。マニアックなことを言うと、ヘッドフォンとフェーダーという擦り屋の神器は使わない。こういう話をインタビューされたいのだが、誰もしてくれない)に話しかけてくる豪の者もいる。場合に寄っては殴っても構わないこの与太郎に対して自分がどう対応するか想像出来るだろうか?そう、擦りながらニコニコ話すのである(笑・これが出来るDJは世界で自分だけだと思う)。
終わってから、ベーア、タワレコジャズの押塚氏(元生徒。かなり昔にほんのちょっとだが)、モーションブルーのブッカー/店長の岡島氏と一緒にブリッコラへ。勿論、自分のDJを聴きに来ていた訳ではない。両者とも言ってみれば「ものんくる」のシンパであって、レーベルのA&Rとプロデューサーが招待して、ごくごく簡単なプロモーションのプランニングを行うという訳だ(この日は顔合わせ程度だったが)。
ベーア、押塚氏、岡島氏ともに、物凄い飲むので(岡島氏はその上大変なグルメでもある)スムリエの村上さんに良さそうなのをばんばん抜いて貰う(料理と銘柄はフォトレポートにて)。例によってかなり旨い訳だが、この日ばかりはタワレコジャズのトップ、モーションブルーの店長、エアプレーンレーベルのチーフA&R、と菊地成孔氏、が揃った訳で、ジャズ話がノンストップハイになり、味が解らない位に盛り上がった。勿論、一文字も書けない(悪口とかではなく、総てが業界内の話なので)。
11時から始めて4時に終え、フラフラになって帰宅、エヴィアンを2リットル飲んで部屋の回転が止まるのを待ち、シャワー、整体、ストラビンスキーで寝る。だんだんまた生活サイクルがも戻って来てしまったが、まあしょうがない。
というか、明日は大雪警報が出ている。酔った勢いで言うが、アホか(笑)。自分や野良犬やカラスのがよっぽど正確に天気が読める。勿論、ファック気象庁とかではない。気象庁がのんびり屋の与太郎でなく、キレキレのやり手だったら日本人はやっていられないだろう。気象庁は癒しである。
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