村上裕一の(仮)

めるまがbonet[ 第12号 ]

2013/04/04 21:00 投稿

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◆╋◆      めるまがbonet -2nd season-
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◆           第12号              13.04.04
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フレッシュマンのみんなもベテランのみなさんもこんにちはー!
いよいよ新年度がはじまりましたね。ぼんちゃんも、ういういしさ
12割増しで『めるまがbonet』12号をお届けしますよ★
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┌─────────────────────────────
├○ 今【1】「ノベルゲームの思想」講義レポート [第2回]
│  回
├○ の【2】梵天レビューシリーズ        [第2回]
│  目
├○ 次【3】編集後記(ぼんちゃんのお部屋)
└─────────────────────────────

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 【1】「ノベルゲームの思想」講義レポート   [第2回]
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現在ゲンロンスクールにて開講中の、村上裕一による連続講義「ノ
ベルゲームの思想」。単著『ゴーストの条件』(講談社)でも11
6ページにも渡り論じられた「ノベルゲーム」を、2013年現在
の視点から「思想」の問題としてあらためて振り返る集大成的講義
だ。
『めるまがbonet』では、全3回に渡る本講義シリーズのまと
めを掲載する。今回お届けするのは、2013年3月15日に行わ
れた第2回講義のレポート。シミュレーション(ゲーム)と物語
(ノベル)をめぐるノベルゲーム史が、ここに紐解かれてゆく――。
4月19日の第3回講義へ向けた予習としても活用してほしい。


■ノベルゲームの文学性

ノベルゲームの思想とは何か。
本講義のタイトルでもあるこのテーマをめぐり、村上はノベルゲー
ムが歴史的に抱え込んできた「毒」に注目する。ではその「毒」と
は何なのだろうか。PC文化がアンダーグラウンドなものであった
がゆえのエロティック/オカルティックな表現――前回の講義で触
れられたこの「毒」は、こうしたノベルゲームのメディア的側面で
あった。対して今回の講義では、コンテンツという角度からこの問
題が再考される。

はじめに取り上げられるのはLeafとKeyの事実上の第1作――
『雫』(Leaf、96年)と『MOON.』(Tactics、
97年)だ。90年代後半、ノベルゲーム界でこれらの作品が一世
を風靡したのはなぜだったのか。
『MOON.』には「心に届くAVG」というキャッチコピーがつ
けられていた。これは象徴的である。なぜならこの文句は、このゲー
ムがこれまでのAVGとは異なり、プレイヤーの「心に届く=文学
のような」機能を備えているということを意味するからだ。
ここでキーワードとなるのは「交換不可能性」である。前回言及し
たそれ以前のAVG――『弟切草』(チュンソフト、92年)や
『かまいたちの夜』(チュンソフト、94年)などは、登場人物の
顔が見えず、そのことによって感情移入に限界があったと村上は指
摘する。それゆえに、登場キャラたちは交換可能な存在となってい
たというのだ。現に『弟切草』においては、キャラの名前を任意に
変更することすら可能となっていた。
それに対して『同級生』(elf、92年)は、恋愛を主題として
扱うことによって、ヒロインを交換不可能な存在とした。『同級生』
はナンパゲームであり、ヒロインは14人にも及ぶ。とはいえ、1
回1回の恋愛=物語は真剣であるがゆえに、それぞれのヒロインは
交換不可能な存在となっているのだ。これが第1段階である「私に
とって」の交換不可能性。
続く第2段階として問われるのが、「世界にとって」の交換不可能
性である。
これは個人的な物語が、さらに世界の核心にまで迫るような物語形
式のことを指す。90年代後半という、『新世紀エヴァンゲリオン』
のブームが継続するなかで現れ出た、俗にいう「セカイ系」という
文学的な想像力がこれにあたる。つまり97年の『MOON.』に
おける「心に届くAVG」というキャッチコピーもまた、本作がノ
ベルゲームであるにもかかわらず、セカイ系の流れのなかに位置づ
けられるということを意味しているのである。

■カルト的想像力――『MOON.』

『MOON.』は、謎の死を遂げた母の真相を探るため、新興宗教
団に潜入するという筋書きのサスペンスである。この物語展開に関
して村上が注目するのは、「トラウマからの回復」と「家族のサイ 

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