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第三章 第十八話 「最終話」 3/3

2014/03/31 19:00 投稿

コメント:20

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「最終話」 3/3

浦野さんの提案は、
午前中のうちに『静雅女子高校再編合同会議』と名づけられ、
先生はもちろん、生徒、同窓会、そして学校近隣の一般の方
(まずは区長さんとか、就職先企業の方とかみたい。)
にも参加していただいて
これからの学校をどう運営していくか、考えていくことになった。



浦野さんの熱意に生徒の意見はすぐに固まったので、
その場で教頭先生をはじめ、
心ある先生方が中心になって迅速な手はずを整えてくれたのだ。
先生達の中にも、
学校を変えていきたいと思う方が何人もいたことには驚いたけど、
とても嬉しかった。

午後からまずは少人数で準備会議を行い、
これからの課題などを自由に出し合うらしい。
その会議の生徒代表は、会長の浦野さんはもちろん、
生徒会の一大行事の代表である文化祭運営委員長えっちゃん、
それに各学年ルーム長の代表者と
運動系、文化系のクラブ代表者の九名で構成されることになった。
文化系クラブの代表には、
文化祭で注目を集めた書道部正副部長の、
ナナとみらいが抜擢された。

「すっごい、緊張する!
 でも責任を果たすよ!
 書道部だけじゃなく、
 一生懸命活動してきた全てのクラブ員全員のために!」

「私、クラブの制約がおかしいとか、
 色々なクラブがもっと協力できることとか、

 言うことはきちんと言って、頑張るからね!
 でかミクさんは、せいたか先生をお願いね!」


「うん!」

「ぐーちゃん、多田さん、頑張ってね!!」

「うん!」 「ありがと、ちびミクちゃん!」

ナナも、みらいも、武者震いというものをしてるみたいだった。
握り合った手に、その緊張と熱い思いが伝わってきた。



******************************

学校のことは、今日はナナとみらいに任せ、
私は午後はちびミクと、
病院に向かう前に、せいたかさんの家に寄って行くことにしていた。



昨日、病室を出がけに……。

「でかミクさん、
 大家のじいさんに頼むから、ホントにいいんだよ?」

「いえ、ちびミクも一緒だし、私にやらせてください!」

「せいたかさんは、大人しくしてればいいんだよ。」

「いや、だって女の子に、そんな。」

「せいたか先生、いいからいいから!
 でかミクに甘えちゃえば?」

「そうですよ! せいたか先生は安静第一に!」

「うう~ん。
 じゃあ、着替えはともかく、
 下着なんて絶対持って来ないでいいからね! 売店で買うから!
 保険証だけでいいからね。」



……なんてね。
せいたかさんの慌て具合が可愛かった。

せいたかさんから預かった鍵で、玄関を開ける。
一度、来ているのに、すごくドキドキするな。



下着は……正直なところ、それは私も恥ずかしいので
予め教えてもらったタンスの引き出しから、
着替えの服だけをとりだした。
それをちびミクが引きずるように紙袋に入れていこうとする。
でも……結構、す、凄い力、出せるんだな。
ずるずる引っ張ってくだけだけど、
案外、苦もなく袋に入れていくのには驚いちゃった。



そして肝心の保険証……。
一番上の引き出しよね。

あった。

……せいたか先生の本名、今頃だけど、わかっちゃった♪



あれ?

……私は引き出しの奥にあった、古い小箱に気がついた。
 
なんだろう?
かわいい小箱だな。



何気なくあけてしまって、私は息をのんだ。

指輪……。
それも、これって、結婚指輪……よね?

サイズはせいたかさんのものじゃない。
いけない、と思いつつ
私はリングの裏に刻印されている文字を見てしまった。

『from Y to Y』

せいたか先生の名前と、
もう一つは、この指輪をはめるべき人の名前……。



どうして、ここに? Yって誰……?
胸がぎゅっと締め付けられる。

はっとして振り返ると、私をちびミクが見上げていた。
ちびミクは寂しそうに笑うと、静かに話し始めた。

「せいたかさん、ソレ、はめて上げられなかったんだね。
 そっか。
 指輪ができるまで、間に合わなかったんだ。」



「ちびミク!
 ごめんなさい! いけないとわかってるのに、私……。」

触れてはいけないところに
軽々しく足を踏み込んでしまったと感じて、
私はうろたえてしまった。



「うううん。
 でかミクさんこそ、ビックリしちゃったでしょ?」

「う……、うん。
 ちびミクは、……知ってたの?」

ちびミクは、コクンと小さく頷いた。


「うん、つい最近。」

「もしかして、あの刑事さんが言っていた、
 せいたかさんが昔、助けた女性って……。」


「そうなの。 
 せいたかさんには悪いけど、
 私、でかミクさんには話しちゃうね♪」

ちびミクの話しは、
私の知らないせいたかさんの、過去の物語だった。

**************************
 



「……そうだったんだ。」

ちびミクの話しを聞き終えた私は、
静かに大切な指輪を、元の場所へと戻した。

「せいたかさん、私にお話ししてくれたことで、
 本当に今は、過去じゃなくて
 未来を見ようとしてると思うョ。」

ちびミクはやさしいね。
せいたかさんにも。
私にも。
いつも。
……ありがと。




「でかミクさん、やっぱりビックリしちゃったよね。」

「ええ。……すごく。でも。」

「でも?」

「せいたかさん、目が覚めた時、
 ちびミクと二人でセットだったけど
 『ミク』って呼んでくれたじゃない?
 それが私、すごく嬉しかったから。
 それに……。」

「それに?」

「あとで!」

「あとで?」

「うん。決めた。
 ちびミク、私がコレ、見つけちゃったことはナイショだよ♪」



「うん♪」

せいたかさんに初めて会った時から
せいたかさんの中には、既にちびミクがいて、
そして『先生』がいた。
そんなせいたかさんに、私は魅かれたんだもの……。
だから……。

****************************

病室に行くと、そこにせいたかさんの姿はなかった。
看護師さんが憮然として愚痴?を私にこぼした。

「まったくもー! 
 でっかい怪我しといて大人しく寝てられない人ねー!
 また抜け出したりなんかして!

 入れ替わり立ち代り、色んな人が見舞いに来てるんだから
 
部屋にいなさいっちゅーのに。
 きっと病院裏の公園じゃないかしら?

 大人しくしてないと、夕飯ないよって怒っといてくれる?」

「は……はい。」




看護師さんに教えていただいたとおり、
せいたかさんは公園にいた。
ホントは大きな人なのに、
隅で小さくしゃがんでる後姿が可愛かった。

「花……かな。何してるのかな?」

「写真、撮りたいんだよ、きっと。構図見てんだね♪」

「あ、そっか。」

平日の街中の公園だからか、他の人の姿もなく
私はちびミクと小声で話しながら、せいたかさんに近づいた。



「せいたかさん!」

「おおお。
 ビックリしたあ!

花に夢中だったせいたかさんは、
私達に驚いたように振り向いたけど、
すぐ笑顔を向けてくれた。

「せいたかさん。
 着替えは病室においてきました。
 保険証は看護師さんに預かってもらってます。
 あの……。
 せいたかさんが抜け出したって、すごく怒ってましたよ?」


「あ。
 ありがとう、でかミクさん。 ホントに悪かったね。」


「いいえ、どういたしまして。
 それより、歩き回ってて平気なんですか?」




「うん。
 寝たきりになるほどじゃないからね。
 暇で仕方ないし。

 それより今日、学校、大変だったんじゃないの?」

「はい。
 でも、皆、とても前向きです。
 学校を立て直すって、生徒会長の浦野さんの意見に
 生徒はもちろん、大半の先生方も賛同して下って。
 今までみたいに、理事会のいいなりじゃなく、
 私達生徒、先生、同窓会や近所の方の意見を集めて、
 学校を立て直していくことになりました。
 今ごろ、
 先生と生徒の代表で最初の再編合同会議っていうのが
 発足されてるはずです。
 ナナとみらいも、今そっちに参加してます。
 私も朝は、気が重かったんですけど、
 今は、二度とない経験だなって、
 文化祭は終わったのに
 もっと大きなことに向かってワクワクしてる感じです!」



「へえ~いいね、そういうの!
 そうかぁ、それは良かった。
 外部の人の意見も聞こう、なんて、
 静雅女子高校も大きく変わりそうだね。」

「はい!」

久しぶりにせいたかさんと話す気がした。
ならんでベンチに腰掛けた。
間にちびミクを挟んで。
あ、こんな光景も、久しぶりな気がするな……。

せいたかさんが静かに話しだした。

「この一ヶ月近く、でかミクさん、
 災難の方が多かっただろうし、大変だったねぇ。」

「そうですねぇ。
 でも、揉まれました!」

「そう言えちゃうとこが凄いな。
 だけど、でかミクさん、今日はそんな大変な話の割りに
 なんだか、ホントに元気良さそうで、安心したよ。」



「はい!
 あの、せいたかさん?」

「なに? でかミクさん。」

「担任の先生から伺ったのですが、
 せいたかさんの前に、書道部の顧問をされていた先生、
 退院されたそうで。
 近々復帰されるそうなんです……。」

「そう……、それはいいことだよ。」

心なしか、せいたかさんの声のトーンが落ちた気がした。
せいたかさんも寂しいと感じてくれていたなら、嬉しいな。


「そうですよ、ね。
 それでもせいたかさんとちびミクには、会えますもんね。」

「うん……それなんだけどね、でかミクさん。」



「え? なんですか?」

「顧問交代っていう時に、なんなんだけど……。
 仕事の都合でちょっと、県外に引っ越そうかと思っててね。
 さっきまで、勤め先の社長が来ててさ。」

「いきなり……ですね。」

顧問を降りることは分かっていたけど、
さらに引っ越しちゃうなんて……。
突然のことで、寂しいというより、
驚いてしまって言葉が続かなかった。

「ごめんね。
 僕は、実は仕事先の町工場で、
 そこの本業じゃないんだけど、人工衛星、作ってるんだ。」



「はい。」

「あれ、驚いたり、笑ったりしないんだね。
 嬉しいな……。
 
たわいもない夢からはじめたことなんだけど。
 その開発にあたって、大学とか、種子島のほうにも
 顔出していかなきゃならないことが、多くなりそうでね。
 まあ、出向ってやつさ。
 しばらくしたら、また帰ってくるけど。」


「ちびミクは……?」

「せいたかさんが、自分のためにすることなら、賛成だよ♪」

「ありがと。もちろん、ちびミクも連れて行くことになる。」

「うん♪」

「……そうなんですか。」

そうよね。
さっきちびミクから聞いた『先生』とのこと……。
それを思えば、せいたかさんが自分のためにしようとすることなら
私も心から応援したい。
ちびミクと同じだよ。



「僕は、ぐーちゃんから代理顧問を引き受けるまで、
 ちびミクが人に見つかったらどうなるだろうって、

 不安でしかたなかったんだ。
 それでバカみたいに、
 人と関わることを避けるようになっていた。

 でも、でかミクさんや、ぐーちゃん、多田さんと出会って
 ちびミクにとっても良かったと思ってるし、
 僕自身も、やっぱり色々と勉強になったよ。
 一人で背負い込まないようにも、ね。
 でかミクさんに叱られて、僕なりに目が覚めたんだ。
 ほんとに、ありがとね。」

「そんな。」

叱った、だなんて、
失礼なことをしちゃったかもしれないけど……。
せいたかさんが、私の言葉で変わろうとしてくれたことは
とても嬉しかった。

「私もでかミクさんと、でかミクさんのおばあちゃんと、
 少しの間だけど、一緒に暮らして
 とっても勉強になったし、ほんとに楽しかったョ♪」

ちびミクも笑って言ってくれた。

「それは、こちらこそ。
 ちびミクはもう一人の私、くらいに私は思ってるからね!」

「ありがと♪ 私もだよ♪」

「寂しくなるけど、せいたかさんの夢、素敵ですね!
 いろいろありがとうございました。
 でも、これからもよろしくお願いしますね!
 私、手紙書きます。

 メールもします。
 電話も、するかも知れません。
 会いに行っちゃうかも知れないし。」


「あ、え? うん。
 でも大して何もしてないよ、僕は。」

「何言ってるんですか!
 早く、よくなってくださいね!」



「うん。」

「せいたかさん?」

「なに? でかミクさん。」

私は、言おうと決めていたことを口にした。


「結婚してください!」



「・・・・・・・・・・・・・・・」

せいたかさんが固まったけど、私は構わず続けた。

「私、本気です!!」

「・・・・・・・・・・・・・・・」

「もちろん、今じゃなくて!
 私、もっともっと、いろんな人からたくさん学んで、
 自分の世界を広めていきたいって思ってます。
 一月前の私は、本当に狭い世界の中に閉じこもっていました。
 でも、ちびミクや、せいたかさんと出会えたおかげで
 ナナにも、みらいにも、他の素敵な仲間とも出会えました。
 とても感謝しています。
 その仲間と、今は学校を良くしていけるように頑張ります。
 今はそれに夢中になれそうです。
 それに仮名も、教えて頂いた和歌も。
 もっともっと勉強しておきます!

 そして、
 ちょっとは成長したら、また改めてプロポーズしますから!!」



「でかミクさん♪
 せいたかさん、
 おじいちゃんになっちゃうまでにはそうしてね♪」

ちびミクが、また笑って応援してくれた。

「その時は私もおばあちゃんだから♪
 でもそうなってしまう前に、きっと! 必ず!」

「なに? 二人とも、え?」

せいたかさんだけ、一人でおろおろさせちゃった。

「そういうことみたいだよ? せいたかさん♪
 なんか言ってよ!」

「……考えとく。」




「はい!!」




また、新しい目標ができた!









   『僕とちっちゃいミクの物語 第三章』 

                        おわり

****************************


【 出 演 】 

 [オリジナルキャラクター:『初音ミク』『KAITO』
              (c)Crypton Future Media Inc,]

 ミク・ロンドライン
  (RLmiku ver.1.240改変モデル→オリジナルモデル:ろんどらいん様)

 ぐーちゃん(ごうりき七葉)
 (七葉1052式(仮)G型 ver.1.10改変モデル→オリジナルモデル:gouriki様)

 
 多田さん(多田みらい)

 (Tda式ミク・オリジナルモデル:Tda氏
  Tda式改変ミクJKStyle改変モデル モデル制作:YaMa*(山本)様)

 ちっちゃいミク
  (DIVA風ミクver1.05改ちび:ままま様  DIVAオリジナル: (c)SEGA )

 せいたか
  (KAITO_ruto_jacket:ruto(ると)様)

 担任の先生、教頭、他の先生達
 (モブ親父セットより:モノゾフ様→ベースモデル:mato様

 生徒会長:浦野さん 
  (ula式初音ミク改変モデル→オリジナルモデル:ula様)

 
 
 生徒
  (ブレザーさんv0.9:mato様)

 看護師
 (ナースっぽい人:ガンガゼ様)

  
 
 

【舞台・アクセサリー】

 誠凛高校風体育館ステージ Ver1.0(仮):九零様

 黒鞄:制作者不明

 小キッチン・小居間付き個室病室・廊下:まお(はばねら)様

 新民家ver3.2:ポンポコP様

 ガラス戸:ペパクラP様

 カフェ・アルファ背景お試し版より、青空x:ねこま様

 紙袋茶色無地:tansoku102cm様

 指輪ケース&結婚指輪:義経様

 あの公園:しおにゃ様

 ゼラニウムぽい花:yosshy様


 
【使用ソフト】

 MMD:樋口M様

 MME:舞力介入P様

 PMXエディタ:極北P様

 Adobe Photoshop CS6


***************************


コメント

せいたか (著者)
No.18 (2014/04/03 23:03)
>>17
kazu2さん、コメありがとうございます。

教育にお金をかけようとしない国とすれば(残念ですが事実です)、現場で頑張ろうとする人間は必死だろうと思います。
静雅女子高の理事会も、最初から悪い人たちじゃなかったのか知れないですが
学校を存続させねば、知名度を上げねば……→そのために奔走してきてるのだから、これくらいの見返りは当然、
みたいに段々と踏み外していったのかも知れません。そんな背景も一応考えてはいました。
強いリーダーは必要だと思いますが、第三章では上からじゃなく、下から変えてく、みたいな流れを表したいと思ってました。

>実は、良くない噂は流れてたのかなと思いました。
そうですね。せいたか入院時に現れた刑事さんのセリフでも、そんなニュアンスを出しています。... 全文表示
piyopiyo
No.19 (2014/05/05 20:19)
この物語を知ったのは先週でした。最初の回から最終話まで一気に読んで、一回読むだけでは勿体無くて、今日、再び読み返しました。登場人物の表情が、生き生きしていて、素晴らしいと思いました。
でかミクさんのプロポーズに対して、せいたかさんが「考えとく」と答えたシーンでは、不覚にも涙が出ました。せいたかさんは、亡くなった『先生』と同じくらい、でかミクさんを大切に思っているのでしょう。
これから、でかミクさんたち3人とせいたかさんの関係も気になるところですが、ちびミクさんがいれば心配ないでしょう。またいつか続編が読みたいです。
最後に、でかミクさんことミク・ロンドラインさんの魅力に釣られて、自分のパソコンにRLmikuモデルをダウンロードしたことは、ここだけの秘密です。
せいたか (著者)
No.20 (2014/05/05 21:46)
>>19
piyopiyoさん、コメありがとうございます。
ブロマガ、二度も読んで頂けて光栄です。

ちびミクさんが毎日、日常の中で私と一緒にいてくれてる感じで、普段は静画に取り組んでます。
そのちびミクさんに、私以外の「人との関わり」の中でも何かしら経験していって欲しいな、なんて考えて
第三章を描いていました。
でかミクさん、ぐーちゃん、多田さんはもちろん、
嫌われ役であった『氷の貴公子』、
そして今スピンオフで主役にしてる流川先生、
目立たないけど素敵な担任の先生、頼りになるでかミクさんのおばあちゃん、
三人娘の良き仲間、浦野さん、えっちゃん、他にもチョイ役だった何人ものミクさん達、
みんな、一人ひとりに思い入れのある登場人物です。
そんな彼らの表情が、生き生きとしていた、... 全文表示
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