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第三章 第九話 「先生たち」①

2013/12/16 19:00 投稿

コメント:18

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「先生たち」① 
 ~氷の貴公子・その1~


『目の前の人間が、何を考えてるかわかるか?』……か。

あれは私に、
『自分のことを、もっと良く理解してくれ』ということ、だな?
周りに流されることも無く、
なおかつ自分の価値は決して下げていない。
だからそんな自分を、しっかり見てくれ、ということだな?

ああ、私の考えていた以上に、
彼女は孤高の地位を、確固たるものにしていたのだ!
彼女はそれを、美しいまでの自信を持って、私に訴えたのだ!
なんと素晴らしい!!



そのロンドラインが……。
私を嫌いだ、と言っていたロンドラインが、
『私をしっかり見てくれ』と言うのなら……。
……私は、それに応えなければならないはずだ。

「あんなに失礼な言葉を吐かれて、
 よく、平然としていられますね?」



不意に、背後から声をかけられた。
ビックリした。
なんだ、この女。
いつから、何処から見ていたんだ?
相変わらず気配を感じさせない現れ方だな。

「別に大した失礼は、なかったよ。
 それより出題ミスをした先生に、注意しておかなければ。」

「まあ?
 同僚には厳しく、あの生徒には寛大ですこと。
 それはあの子が、お気に入りだから?」

「ふ、それはなんとも下世話な物言いだね。
 彼女は誰もが認める優秀な生徒だ。
 それが部外者から理不尽な扱いを受けて怪我をしたなら、
 心配して当然だろう?」

「だから、あの臨時顧問の責任追及にも、熱が入ったわけね?」

「……何が言いたいんだ?」

「いえ、別に。
 そんなにご心配なら、籠にでも入れておけば如何?」



「何を馬鹿な。
 生き物にそんな負荷を与えたら、性質が変わってしまうよ。
 君はわざわざ、そんなつまらないことを言うために、
 こっちの校舎まで来たのかい?」

「いいえ、成績処理ですよ。
 三年生のテストの、素点入力をお願いに。

 先生の担当講座、テストは初日でしたし、
 いつものように、もうとっくに採点はお済みなんでしょう?
 USBメモリー、持ってきたんです。
 ご自分の研究室のパソコンで作業されるのは構いませんけど、
 学校のネットワークにLAN接続したら如何ですの?」

「ああ、それは失礼。
 支給されたパソコンでは、処理が遅くてね。
 自前の物を、ちゃんと許可を得て使ってる。
 それに、インターネットは別として、
 むやみに他の先生とファイルを共有したくない。
 年配の先生の中には、大切なファイルを壊してしまうような、
 時代について来れない困った人も、まだ大勢いるからね。
 ……いや、わざわざ足を運ばせて、すまなかった。
 では、行こうか。」

「お茶くらい、入れていただけるかしら?
 わ・ざ・わ・ざ、来たんですから。」

「……仕方ないね。」




:::::::::::::::::::::::::::::

「紅茶しか、ないが。」

研究室には、
湯沸しと、幾つかの食器の入った戸棚が備え付けられている。
私は自分の研究室に人を招き入れるなんて、したこともない。
今日は初めて、その食器棚から
この女のためにカップを一個、取り出した。

紅茶を入れる道具だけは、自前だ。

「うふふ♪ ありがとうございます。」



紅茶はいい。香りが落ち着く。
なのに、この女のきつい香水に、
紅茶の香りが負けてしまうのは、残念でならないな。
あああ!
そんな臭いを振りまきながら、
カップを持って研究室内を歩き回るのはやめてくれ。
いや……。
USBメモリーを持って来させた分、今日は黙っていてやるか。

「あ、失礼。どうぞ♪」

ほう。
ずけずけとしているようでも、パスワード入力の時に、
デスク前から離れる気遣いがあるところは、常識人だな。
職員室では、その辺のマナーというか、
セキュリティ意識の低い連中が多いから困る。
だから普段は旧校舎理科教室隣の、この研究室にいるわけだが。
それに、こっちのほうが一人でいられるだけ、落ち着くからな。
やはり、一人が一番いい。

ん……なんだ、この女。
化粧直しか?
どうして女って生き物は、
暇さえあれば、自分の顔を鏡で見るのが好きなのだろう?
一日のうちに、そんなに何度も変わるモノでもないだろうに。



「はい。立ち上げたよ。
 USBメモリー、貸してもらおうか。
 すぐ、コピーするから。」

「はい。コレ。」



女は、小さなUSBメモリーを差し出した。

::::::::::::::::::::::::::

「先生たち」① 
 ~氷の貴公子・その2~


やっと出て行ってくれたか。あの女。

しかし、あの女が出て行った途端、
さっきのロンドラインとの会話を思い出した。
……私も現金なものだな。

そう。
触れてはならない、汚してはならないと、
そう思っていたロンドラインの方から、
私に意識を向けてきてくれたのだ。
『自分を良く見ろ』と。

彼女が私にそれを求めるなら、応えたい。
だが、同時に私には、しなければならないことがある。
やはり、あの男が邪魔なことに代わりはないのだ。
ロンドラインを傷つけるような奴は!



一昨日……本当に筋の通った全うな理由で奴の責任を訴えた。
試験直前に、学校に関係ない私的な作業で、
生徒に怪我をさせたことを、だ。
それで、あいつを締め出せると安心したのだがな。
それなのに校長も理事会も、簡単に掌を返すとは!
いや……それを私が言う資格はないか。
互いに利用しあっているだけの間柄だからな。

しかし、なぜそんな、校長や理事会にまで
影響力を持つような人間達を引っ張りこめたんだ?
あいつは?!

どうやら、もっと、
奴のことを知っておかなければならないな。

**************************

事務室から、あの男の書類を手に入れてきた。
簡単にコピーが取れてしまう事務室にも呆れるが、好都合だった。
あいつの書類なんて、本当は見るだけでもムカついてくるが、
ここはロンドラインのために、我慢だ。

なんだこの証明写真?
ピントが合ってないじゃないか。
こんな書類を受理するなんて、この学校も杜撰だな。

さて。
年齢は、私と同じ……それなのにあの態度か、舐めやがって!
住所は、この町の郊外。借家。一人暮らし。……ふん。
経歴は、地元高校卒、そして……はッは!大学は三流じゃないか。
さぞや就職は大変だっただろうなあ!
……やはりな。
大学は出たものの、数年間の空白、か。
いいよ、書かなくても。いや、書けないか。これは失礼。ははは!



そして今の勤務先は……と。
んん? 聞いたことがない会社だな?
ふん、その割りにHPはあるのか。
どれどれ……ネット検索……あ、あった。これだ。
なになに?
社員数……六人?!
中小企業、それも小さな町工場じゃないか。
どおりで聞いたことがないわけだ。
ん、なんだと?
『町工場の技術で人工衛星を!』だと?
おいおい、会社の本業とは全然関係ないじゃないか!
趣味でやってるのか?
いい大人達が、夢みたいなこと言っていてどうするんだ?
こいつらは正真正銘の馬鹿か?!
まともな社会人達とは思えないな!



まあ、怪しくはあるが、取り立てて有益な情報ではない……か。
やはり取るに足りない下らない男、馬鹿そうな男だが、
強いて言えば……利用できそうなのは、こいつの『趣味』だな。

『写真撮影』
それもモデル撮影!……か。
……誰を撮っているのかな? 女性だろうな。
  ……綺麗に撮れるのかな?
    ……気になるな…… 

いや、そうじゃない!!

あいつを陥れることを考えるのだ。
『趣味が高じて、女子高に潜り込んできた。』
そんな線で、何か破廉恥な問題を起こさせれば!
学校から追い出せるだけじゃなく、社会的にも抹殺できる!!
よし、おあつらえ向きに文化祭が近い。
そこがいいだろう、生徒達も気が緩む時だ。
時間がない、何か良い方法を考えなければ!

それにしても、写真撮影……モデル撮影か……。
  女性を……撮るのかな? きっとそうだよな。 
     いいな。綺麗に……
撮りたいな。



違う!
また私らしからぬことを考えてしまっていたじゃないか!

あ。

いつの間にか無意識に、
モニターのロンドラインの写真を眺めていた。
この、たった一枚の、ロンドラインの写真……。
つい、先日、密かに撮ってしまった写真……。

彼女が私にその意識を向けてくれたのなら、
いつか、正面から撮りたいな……。

って、ああ! まただ!!

なんだ? 
私はいったい、どうしてしまったんだ?!



ああ、喉が渇いたな。
なぜだろう、頭がボーッとする。
こんなことは初めてだ。
風邪でもひいたのかな?
フラフラ歩くなんてのも、私らしくないな。

あ。
水を飲もうと、流しに手を伸ばした時、
うっかり何かを落としてしまった。


****************************


「先生たち」① 
 ~英語講師・流川(るかわ)先生~


貴方ったら。
小さなUSBメモリーを、指先で摘むようにして手にするなんて。
受け取る時に、私の手に触れてもいいものなのに。



セクハラだ、なんて、私は貴方を訴えたりしないのに。
そんなふうに、避けるような仕草をされると、
つい余計に、気になってしまうのよね。

「紅茶、ご馳走様。また遊びに来ますわ♪」

私が研究室を出る時、
肩をすくめながら、それでも貴方はフッと笑って見せてくれた。
そうやっていつもクールを装っているけど、
ほんとのところはどうなのかしら?

私になびかなかった男なんて、いないんだから……。

ふふ♪
わざと洗いもせずに置いてきた、ティーカップ。
私のルージュの跡。

生物学者だったっていうらしいから、
マーキングされた、なんて思うのかしら?
ふふふ……そう、その通りよ。

遊んでるの、私は。
少しは『大人の女』にドキドキしてみたら?



そう。
それは、さっきのこと……。
あんなものを見てしまうとはね。

 女がコンパクトを使うのは、
 化粧する時だけだと思っているのかしら?
 ……女を知らないのね。
 気になる男を観察するのにも、便利なものなのよ。

……あのパソコンの起動パスワード。
なんなの?!




あんな小娘の名前なんか入れちゃって……。
気持ち悪い。
そんなにあの娘がお気に入りだというの?!

私には、貴方から声をかけてくれたことなんて、
一度もないのに。

私になびかなかった男なんて……。

あれが……どれほどの娘だって言うのよ?!

なによ。




:::::::::::NEXT DAY:::::::::::::


「すみません、流川先生、
 学年、違って申し訳ないのですが、急におなかの具合が……。
 ちょっと様子みたらすぐ行きますが、
 変わりに二年生の、このクラスの試験答案、
 生徒に返してもらえませんか?
 次の時間、空いてる方、流川先生だけなので。」

「あ、は~い。構いませんよ♪」



私に答案を渡すとその先生は、お腹とお尻を押さえて
とっても面白い格好をして、一目散にトイレに駆けていった。
うふふ♪
授業直前まで、あんなに私の特製コーヒー飲むからよ。
それにしても……凄く速く、よく効く便秘薬ね。
入れ過ぎちゃったかな?
しばらくトイレでゆっくりしていてね♪

そして……これが、あの娘のクラスの答案。



教師をなめるなんて、ホントにいい度胸をした娘よね。
どれほど優秀だって言うのよ?
頭いいからってだけで、世の中渡っていけるわけじゃないのよ!

お手並み拝見と、いこうじゃない。

*****************************

「あれ? 英語の先生、どうしたんですか?」

「三年生担当の流川先生だ! きれ~い!!」



ふふふ♪ いけない。
生徒達をざわつかせてしまったわ。
でも、当然ね。
せいぜい大人の綺麗な女、というものを
後学のために良~く見ておきなさい。

「担当の先生、なんだか急にお体の具合が悪くなったらしいの。
 今日は代わりに、私が皆さんの試験答案を返しますね。」



名前を読み上げ、私は生徒一人ひとりに答案を返した。
きゃーきゃー喚きながら、生徒が答案を受け取っていく。
こういう時、教師の私の顔より、
自分の答案用紙の、点数のところを見つめてるのよね、生徒って。
みんな、一喜一憂するほどの点数じゃ、ないのよ?

そして生徒集団の後半になってようやく、
お目当ての娘の名前を、私は呼んだ。

「ミク・ロンドラインさ~ん。」

「はい。」

おや?
この子は点数のところ、見ようともしてないのね。
ああ……なるほど。
見る必要もないって、自信ね?

生意気ね。

「ありがとうございます。」



へ?

答案受け取るとき、たまにお辞儀する子はいても、
「ありがとう」なんていう子、ほとんどいないから、
少し、驚いてしまったわ。
それも、私の顔をしっかり見て。
なんだ、案外かわいいところもあるのかしら?

ふふ♪
でも、まだ容赦はしないわよぉ、私は。

この娘のあと数人の答案を返して、私は白々しく授業に入った。

「はい。
 皆さん、中間テスト、よく頑張りましたね。

 では、これから正答と、問題の解説をしますから、
 赤ペン出してくださいね。
 もし採点ミスがあったら、後で言ってきてください。」







                      つづく



**************************

【 出 演 】 

 [オリジナルキャラクター:『初音ミク』『KAITO』『巡音ルカ』
              (c)Crypton Future Media Inc,]

 ミク・ロンドライン
  (RLmiku ver.1.240改変モデル→オリジナルモデル:ろんどらいん様) 

 

 氷の貴公子
  (KAITO_ruto_vest_G改変モデル→オリジナルモデル:ruto(ると)様)


 英語講師:流川(るかわ)先生
 (とる式巡音ルカ ver1.5.14:とる様)

 お腹をこわした先生
  (モブ親父セットより:モノゾフ様→ベースモデル:mato様)

 クラスメイト達
  (ブレザーさんv0.9:mato様)

  

【アクセサリー】

 整列散乱書類束:待つ様 

 iMic 27インチモデル:ログ太様

 診察室・処置室:まお(はばねら)様

 本棚:無駄に壮大な超ド級アクセサリのP様

 ティーカップ:BK3様

 化粧道具:Cloud9様


【使用ソフト】

 MMD:樋口M様

 MME:舞力介入P様

 PMXエディタ:極北P様

 Adobe Photoshop CS6


**************************








コメント

せいたか (著者)
No.16 (2013/12/17 18:44)
>>15
alstorm2000さん、コメありがとうございます。
コメ内容被らないようになんて、ご配慮恐縮です。でもそこんとこはお気になさらずに。
私もどんなところがより注目されてるのか、参考になりますので。

せいたかの大卒後、数年間の空白ですね。
これはせいたかの人生の岐路のような意味をもってますので、第三章の最後のほうで触れるつもりです。

ぐーちゃんの空手ネタでお話の展開プラン、ありがとうございます。バトルロワイヤルですね(笑)
奇遇と言えば奇遇で、今丁度第十話の展開を書いていたところです。
久し振りにぐーちゃん視点のお話しになります。
ぐーちゃんは文化祭に向けて忙しくなるので、でかミクさんや、多田さんのように恋愛テイストは多分ない(この時点でがっかりされちゃうかな?)お話しになります。
ただ氷先生がなんらかの形で絡んできて……。

とりあえず、次回第九話②も、またよろしくお願いします。



yashiro
No.17 (2013/12/18 00:00)
貴公子いい顔wwwwww

うぽつです。
ええもぅギャグ枠でいけますね貴公子。
「いいな、撮りたいな・・・」でコーラ吹きました
氷の貴公子(笑)で今後いけそうな勢いでしたわ・・・。
憎らしい貴公子がちょこっと可愛く見えました。
せいたか (著者)
No.18 (2013/12/18 07:31)
>>17
yashiroさん、コメありがとうございます。
いきなりギャグ枠ですよね。
普段の固い雰囲気と、すまし顔が余計に可笑しくさせてくれてます。
勘違い。思い込み。なんて良くある恋愛マンガのセオリーみたいですが(汗)

『モデル撮影』に、反応してますね~。
コーラ吹かせてすみません(笑)
つい写真を撮っちゃった、と言ってますが、撮りたくて撮ってるはずです。
もっと撮りたいというか、心のどこかでは、でかミクさんに向き合いたいのだと思います。

>憎らしい貴公子がちょこっと可愛く見えました。
そう感じていただけると嬉しいです(笑)

次回もよろしくお願いします。



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