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第三章 第四話 「ロンドライン」

2013/10/13 17:00 投稿

コメント:15

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「ロンドライン」

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一人帰る電車の中。
私は車窓から暮れていく景色を眺めていた。
一つひとつ、明かりの灯っていく町並みは
いつもと違って、なんだかあったかい感じがした。

色々あった一日だったなぁ。
そう……全部、たった一日の出来事だった!!
一人になったら、急に色々なことを
とりとめもなく考えだしちゃった。



みらいの話。
ちびミクに呼び止められて、話を聞いて、本当に良かった。
要約して、一くくりになんて、しちゃいけない出来事だった。
相手の立場になったら、そんなこと、やっぱり出来ないな。

みらい自身は、もちろんだけど
ちびミクやせいたかさん、ナナだって、
みらいのために頑張ってたことを知って、
自然に私も、何かしたいって思っていた。
今までなかったな。
誰かのために何かしたいなんて、こんな気持ちになったことは。
でも私も、ささやかだけど
みらいの役に立てそうだと思うと、とても嬉しい。

そして、みらいの家族がまた一つになれたことは、
本当に良かったと思う。



……家族かぁ。
羨ましさがないと言えば、嘘になるかもしれないけど。
そのことでは学校で、ちびミクに当たってしまったものね。
すごく恥ずかしい。
なのに、あんな騒ぎを起こした私を
ナナも、ちびミクも、せいたかさんも、
理由も聞かずにいてくれたのが、ありがたかった。
自分の嫌なところが見えちゃったから、なんて
説明しにくいもんね。

でも、せいたかさんは、私が暴れたのは
まだ自分のせいだと思ってるだろうな。
しそびれてしまったけど、謝りたいな。



ちびミクは
バスの中で、自分のことを色々話してくれた。
学校で最初、あんな態度を取っていた私に、
笑顔で自分をさらけ出してくれた。
なんだか、全然小人に思えなかったな。
ちびミクの考え方って……私、好きだな。

ちびミクは公園でもずっと、私のそばにいてくれた。
だから私も安心していられたんだと思う。
思わず、みんなに呼び名を提案しちゃうほど。
そう!
それで私も、今まで張っていた意地みたいなの取り払って
皆と呼び名を交わしていたら、もっとホッとできたんだ。

……友達かあ。
いいものだな。
誰かとそばにいるのって。
その人のために何かしたい、なんて気持ちになれるのって。

今まで、どこかぽっかり穴が開いていたところが
あたたかいもので、しっかり埋まった感じがした!

あれ?



そうか……今まで、寂しかったのか、私。

今更ながら、気がついて驚いちゃった。
……ホント、素直じゃなかったよね。

***************************

私にしては帰りが遅くなってしまった。
家にも明かりが灯っていた。
それはとても、優しい色に見えた。

玄関前。
今日は立ち止まって深呼吸なんて、しなかった。
学校の嫌なことを黙っている必要がない一日だったから。
だからドアを開けると、私は元気良く呼びかけた。

「ただいま!
 おばあちゃん、遅くなってごめんなさい。」

「……おかえり、ミク。
 ……何か、学校で……いいことあったの?」



おばあちゃんは少し、驚いていた。
でも私の顔を見て、静かに、優しく返事をしてくれた。

「うん!
 夕ご飯、待たせてしまったわね? すぐ着替えてくるね。」

ちょっと照れ臭かった私は、部屋への階段を駆け上がった。

**************************

「おばあちゃん、どうしたの?」

私が階段を降りてリビングにいくと、
おばあちゃんの目にうっすら涙がにじんでいた。
ちょっと慌てたように鼻をかむと
すぐ、いつもの優しい笑顔で答えてくれた。



「んん? 何でもないのよ、花粉症かしらね。
 さあ、夕ご飯にしましょうね。」

「はい。」

おばあちゃんと二人で食卓を囲む。
いつものことなのに、いつもとは違う。

何から話そうか、いざとなるとわからないな。

でも、書道部というクラブに入ったこと、
あと、友達……なんだか照れくさいけど
友達が、三人もできたことをおばあちゃんに話した。



せいたかさんのことと、ちびミクが小人ってことは
まだ言わなかったけど……。

ホントはもっと、朝のビックリした出来事から
ナナや、みらいが、どんな子かとか
みらいの家のことを、皆がなんとかしようとしたこととかも
話せればよかったんだけど。
今日という一日が、私にはあまりにも刺激がありすぎて、
気持ちばかりが先にたって、
胸がいっぱいになってしまって、
言葉が思うように出てこなかった。

自分の気持ちを素直に話すなんて、
したことなかったからかなあ。
でも、私も、だんだん話していきたいな。
みらいみたいに、ゆっくりでもいいよね。



ホントは、心のどこかでずっと望んでいたことが
叶った感じがした一日だったから
おばあちゃんにも、一緒に感じで欲しいなって、そう思った。

ちびミクが言っていたっけ。
『一緒に感じられれば、素敵だね。』
本当にそのとおりだ。

そんなに話せたわけでもなかったのに、
おばあちゃんは時々目を大きくしたり、細めたり、
にこにこしながら聞いてくれた。
でも、箸をおくと、急に、静かに泣き出してしまった。

「おばあちゃん! どうしたの?」

私はびっくりしてテーブルに身を乗り出した。



「嬉しいのよ。
 ミクが、
 初めて笑顔で『ただいま』って帰ってきてくれたことが。
 今まで、ずっと色々なことを一人で我慢してたミクが、
 友達ができたって、楽しそうに話してくれたことが。
 カイトさんやメイコが、生きていた頃のようで。
 嬉しかったのよ。
 ごめんね、急に泣いたりして。」

そう言うと、
おばあちゃんは私を見上げ、また優しく笑ってくれた。
私は、おばあちゃんの肩を抱いた。

いつもは話す内容がなかったものね。
何か聞かれても「学校、楽しいよ」って、
真っ赤な嘘を棒読みしてただけだったから。

おばあちゃんにまで、ずっと寂しい思いをさせてきて、
ごめんね。
でも、今日から違うよ、おばあちゃん。



きちんと気持ちが伝われば
嬉しさや、楽しさも、一緒に感じられるものね。

私、少しずつでも、話していくからね。

**************************

せいたかさん、お父さんに似てたな。

お風呂で私は
せいたかさんに掴まれた腕を撫でながら、
ぼーっと、昔のことを思い出していた。



お父さんは、彫刻家だった。
家にはお父さんの創った彫刻や、その道具が、
いっぱいあったっけ。
お父さんは天涯孤独な身の上で、とても無口だった。
でも、よく私の頭を撫でてくれたな。
おっきな手だった。
日本人のお母さんは、周囲の猛反対を押し切って、
暮らしの不安定なお父さんを支えて一緒になったんだって。
お母さんは、いつもいいにおいがしたな。
叱られると怖かったけど、お母さんの胸でよく泣いたっけ。
二人の出会いがどうだったのかは、聞いてなかったけど
二人はとっても仲が良かった。
甘えてよく二人の間に割って入ったな。
「かまってかまって」って。
いつも一緒だった。
だから幸せだった。

でも、私が六歳の時、
二人は突然、神様に召されてしまった。
私だけを残して。
そんなこと、神様にお願いなんてしてなかったのに。
神様は、意地悪だった。



一人ぼっちになった私を、遠い日本で引き取ってくれたのが、
お母さんのお母さん……おばあちゃんだ。
周りの人は皆、お父さんやお母さんを悪く言ったのに
おばあちゃんだけが私のことを、たった一人で守ってくれた。
泣いてばかりいた私を、毎晩毎晩、抱きしめていてくれた。
私が甘えて、言葉も良くわからなくて、ぐずったりなんかして、
おばあちゃんが親類から「そら見たことか」と
さらに悪く言われた時、子どもながらに
「この人にだけは迷惑をかけちゃいけない」
って、そう決めたんだよね。
だから英語の話せないおばあちゃんの代わりに
私はお母さんから教わってた片言の日本語を、
必死にマスターしたんだ。
テレビを見ての勉強だったけど。
取り憑かれたみたいにテレビの前から離れなかったっけ。

そして日本の学校に上がってからは
からかわれたり、いじめられたり、そんな毎日。
でもそんなつまらない出来事で、
おばあちゃんを心配させたくなかった。
だから学校でのホントのことは話さなかった。
それで、誰にも負けないように、私は一人で頑張ってきた。
勉強も、ただ、その延長だったのよね。

……意地張ってたんだな、ずっと。
ホントは寂しかったのにね。



一人じゃなくて、誰かと。
皆と頑張っていけるほうが、きっといい。

ちびミクは私にも、いつか話を聞かせてって言ってくれた。
きっと色々あったんだろうって、何か感じ取ってたのかな。
こんな話、今まで誰にもしてないけど、
でも、今なら話せるなって気持ちになれた。
もう寂しくないって思えたからかな。
ちびミクには、聞いてもらいたいな。

せいたかさんには……どうかな。
まだ、たいして何も話してないもの。
私、どう思われてるのかな?
気が強くて、きつくて、暴れん坊で……
う~ん、悲しいくらい、いいとこ一つもないよ。
でも、初めてあった時に、思い切り恥ずかしい思いしてるもの。
もう失うものはないわよね!
私もちびミクみたいに、ありのままを出していければいいな。
私もちびミクみたいに……受け止めて欲しいな。
そこは、ちびミクが、やっぱり羨ましいなぁ。

……せいたかさんも大きな手だったな。
せいたかさん、お父さんに似てたな。
あ……またこんなことばかり、今日は何回も思ってる。



あれ?
似てるって、そう思い込んでるだけなのかしら。
ホントはもう、
おぼろげな記憶になってしまっているんだものね、
お父さんのことは。
お母さんのことも。
忘れたくなかったはずなのに、朧になってきている。

これもまた、神様のいたずらなのかな。
ううん。そんなことないよね。

神様、今日は本当に、ありがとうございました。
今日という日を下さって。

ああ、嬉しくても涙って出るんだね、おばあちゃん。




***************************


お風呂から出て、勉強をして、ベッドに入って気がついた。

「あれ? 書道部って、私、何をするのかしら?」








                          つづく

*******************************

【 出 演 】 

 [オリジナルキャラクター:『初音ミク』『KAITO』
              (c)Crypton Future Media Inc,]

 ミク・ロンドライン
  (RLmiku ver.1.240改変モデル →オリジナルモデル:ろんどらいん様
  
RLmiku改変Swim&ブルマ改変モデル →りこりす(ゆかいあP)様 
                 →オリジナルモデル:ろんどらいん様 )

 おばあちゃん
  (律子_割烹着 改変モデル フォトショップによる衣装の色変更
    →『メイド服リッチャン』改造モデル:ガンプラP様
    →秋月律子_衣装・オレシュミセーラー:S2K3様)


 リビングの写真
  ミク・ロンドライン幼少期
   (RLmikuBI ver.1.240S:ろんどらいん様) 

  ミク・ロンドライン父

    (KAITO ver1.2:あにまさ様)

   ミク・ロンドライン母
   
(咲音メイコ ver1.3:キオ様)


 電車乗客

  (モブ親父セットより:モノゾフ様 →ベースモデル:mato様
   ブレザーさんv0.9、ブレザー君v1.0、学ラン君半袖v0.8a:mato様)


【アクセサリー他】

 黒鞄:制作者不明

 KQっぽい N1000_2両編成:シーサイド様
         →オリジナルモデル:頭の上のヘッドライト様

 ステージ「平田橋駅前」:ejima様

 スカイドーム03配布データ:ussy様

 ミク家セットVer1_03a:お遊戯様
 
 

 リビング(角部屋)Ver.2.0:ろっし/ビリヤードP様

 ばねコップ:ばね様

 ご馳走せっと:火魔人様

 小キッチン・小居間付き個室病室(ウォシュレット完備):まお様


【使用ソフト】

 MMD:樋口M様

 MME:舞力介入P様
  
  水面エフェクトver4:ビームマン様

 PMXエディタ:極北P様

 Adobe Photoshop CS6



コメント

せいたか (著者)
No.14 (2013/10/14 18:44)
>>13
kazu2さん、 どうもです。
そこです。
ロンドラインさん、根が素直な子なんです。そしてみらいさんに劣らず芯も強いので、裏目に出て頑なになっていたんですよね。
う~ん、こう書くと私の好きな女性のタイプなんだなあと思ってしまいますが。
あ、我が強いのと、芯が強いのは別ですよ(笑)

のぼりふくさんは私も大好きな絵師さんです。
のぼりふくさんみたいに穏やかな、優しくて、美しいでかミクさんをいつか描きたいです。
alstorm2000
No.15 (2013/10/15 05:52)
>>5
ふと思ったのですがでかミクさんはちびミクさんに対してはどう思っていくようになるんですかね?
友達なんでしょうか?恋敵なんでしょうか?それともちっちゃなお母さんとなっていくのでしょうか?

私の中では
グーちゃん:ちびミクさんを良き友人かつ良き恋敵と思っていく
でかミクさん:母親のイメージを重ねていき時々甘える
多田さん:その天然ぶりでちびミクさんを最も苦労させるw

なんて勝手に想像しています
せいたか (著者)
No.17 (2013/10/15 07:35)
>>15
おはようございます。
割とかなりシーリーズ根幹に関わる疑問ですよね。
だからまだここで詳しく書けないところもあるのですが……。

でかミクとちびミクは、ネーミングどおりの関わりとイメージして第三章は始めています。
凸凹コンビ。どちらが欠けてもダメという感じです。(まだソコまで書けてないんですが。)
「友達」以上の存在、とだけ今はお答えしておきます。
もったいぶって大変すみません。

ぐーちゃん、多田さんについては、今の感じだとちびミクは
G:せいたかの感覚に近い。守り、大切にしたい対象。
T:アイドル、憧憬。
ですかね。
これから先ですかあ。
うーん、想像して頂けるのが一番いいかなあと思いますよ(笑)
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