BF烈火のブロマガ

ボイスロイド短編劇場 青春うらら その1

2018/05/19 17:02 投稿

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キャラ会話のスランプに入ってしまい、編集が滞り中。
折角の機会なのでキャラ設定の見直しと固めなおすのに短編で小話作ってみました。

大体ゆかりんが実況始める何か月か前の設定なので、地味に互いの呼び方が違ったりしてますが、今後の動画に影響はありますん。

もしよければ動画共々こちらもマイリス&コメントよろしくお願いします。


あ、オリキャラやうちの子設定が多数存在するのでご了承ください。

__________________________________________

きんこんかんこん、と間延びしたチャイムが校舎に響く。


腹の虫がウチにだけ聞こえる声で抗議の声を上げる三限目が終わり、数学の山下先生が「あと一問、あと一問・・・やめよっか!」と暑苦しい声で無駄に黒板をチョークでたたく。

力こめて叩くな。跡が消しにいくいねんそれされると。


日直として当然の文句を胸の内で呟きながら起立の号令をかける。

やっと終わりや、とばかりに購買組はジリジリと戦闘態勢へと入っていった。


戦闘開始の号令をウチがかけ、購買組が勢いよく廊下へ飛び出したのを尻目にがり勉たちは昼食前でも関係なしに先生の元へと集い始める。

よーやるわ、と感心しつつウチはお弁当をカバンから取り出して席を離れた。


「琴葉さ~ん!こっちこっち!」


「あいあい、今いくで~」


先月入学したここ、瑠璃光学園で新しくできた友達、駿河さんに呼ばれて彼女の席へと向かう。

学食へ向かう隣の席の男子に断りを入れて席を使わせてもらうことになった。


「琴葉さん、それ妹さんが作ってくれたヤツ?」


「せやで。今日は妹の葵が弁当の当番やったからね」


「へ~。盛り付け上手いね妹さん」


「せやろ?」


ウチの妹、琴葉 葵が作った弁当へのコメントに鼻高々で胸を張る。

なんで琴葉さんが自慢げなのと苦笑いでツッコミを受けたけど、葵のお姉ちゃんとして当然の権利やからなコレは。


ウチ・・・琴葉 茜は琴葉 葵の双子のお姉ちゃん。仲良し姉妹として早くも同級生の間で話題になっとるとかなっとらんとか。まあ知らんけど。


「あ、そういえば妹さん、美化委員に入ったんだって?片栗さんとかから結構聞いたよ」


実際少しは話題になっとんのな。葵が作ったから揚げを一つ飲み込みながら少し驚く。


「せやねん。なんか同チューの友達がおったらしくてな、その子が欠席裁判で美化委員にさせられたらしくてさ、ほんならってことで葵も付き合うたらしいわ」


「えぇ、欠席裁判て・・・」


「まあ毎週二回放課後に地域清掃があるわ、昼休みに委員集会とかいう集まりせなあかんわで面倒やから押し付けられたそうやで」


「うわぁ、ひど・・・」


「二人とも結構楽しんどるらしいけどな。話し合う人多かったんやって」


「あ、じゃあいいのかな。今日も集会なの?」


「らしいで。隣のクラスやから今おるんか知らんけど」


「意外といつも一緒ってわけじゃないんだね。双子ってそういうイメージあった」


あー、それなぁ・・・とどういう顔したらええんかわからんくて笑う。

正直ウチらは一般的な双子どころか、姉妹としても結構特殊な幼少期を過ごしたわけで。


「いつも一緒どころか、小学生ん時6年丸々ウチら二人別居しとったからなぁ」


「え・・・?」


「あ、ちゃうで。そんな『地雷踏んだぁ!』みたいな顔せんとって」


「えぇ、でも・・・」


ケラケラ笑いながら手を振る。実際めっちゃアホみたいな理由なんよね。


「ウチのお父さんがさ、ウチらが5歳ん時に大阪の方で仕事せなあかんってなってな、まあどれくらい長ぁなるかわからんってことで、あっちに拠点構えてやる事なったんよ」


「はぁ」


「そんでそん時ウチはどえらいパパっ子やったから全力で駄々こねてさ、最終的に一人ででも大阪に行こうとしだしたり、お父さんの大阪行きを決めた人に直接文句の電話をし始めたりしたもんやからもう、えらいこっちゃぁ・・・ってなってさぁ」


「えぇ!」


「流石にこらあかんわってことで、お父さんにウチがついてって・・・ほんで六年。

見事こんなんになったと」


なるほどそれで、と納得してくれたみたいで眉を八の字にした駿河さんはうんうんと頷いてくれる。

よかったよかった、なんか親が不仲とか勘違いされたら嫌やもんね。

アホみたいにラブラブの夫婦やからなおのこと。


ちなみにこっちに戻ってきたんは中学に入るとき。

もうその時にはすっかりウチと葵は顔以外・・・というか、目付きすら結構違う双子の姉妹になった。

あいつはお母さんのもとでおっとりとした子に、ウチはお父さんのもとで活動的な感じになった。

趣味も性格も嗜好も全部違うのは、変に他人から逐一比べられんで済むからお互い歪まずにこれてよかったと思う。


「でもそれだけパパっ子だったってことは今もお父さんにべたべたしてるの?」


「いやいやさすがにもうそれは嫌やわ。お父さんは結構可愛くてスキやけど、もうあんときみたいにベタベタちゃうよ」


葵はウチを持って行ってしもたお父さんの事、ちょっとだけ好きじゃないらしいけどなぁ、と笑う。


「それに今ウチらの親、仕事で海外行っとるから物理的にべたべたでけへんわ」


「え?じゃあ今家に二人っきり?」


「いやあそれがさ、お母さんの伝手で寮・・・っちゅうかシェアハウスっていうか、いろんな人と一緒に暮らす家に住んどってさ、二人きりどころかめっちゃ家に人がおるで」


「へぇ、なんかいいなぁソレ。どんな人たち?」


「ん~、小説家とギタリストと公務員と占い師のお姉さん」


「まったくイメージできない辺りがむしろ琴葉さんっぽい」


「どういう意味やそれ」


唇を突き出して拗ねたフリ。ごめんごめんと謝る駿河さんの弁当からサッとプチトマトを強奪し、これで許したるわと笑った。

あぁマイディアプチトマト~とか言いながら机に突っ伏した駿河さんの弁当に、そっとウチのサラダに乗ってたプチトマトを返す。

返ってきたトマトに大げさに喜ぶ駿河さんと笑いながら昼休みを過ごした。


ふと、葵は今日放課後どうすんのか聞いてなかったなと思い出した。

今日の集会でその話になるやろうし、予鈴前後で訊きに行くか。



おっきくなったゴミ袋。サンタさんみたいに肩に担ぐと制服が汚れる時があるのはしばらく前に学んだこと。

カランカランと袋の中の瓶が音を立て、ボクのふくらはぎに意地悪をする。


だんだんと気温が高くなってきた5月の夕方。ほっぺを伝った汗を制服の肩で拭う。

えいしょ、よいしょと両手で運んでようやくたどり着いたゴミ捨て場。

ボクと同じ学校の制服の人たちが何人か集まってゴミ倉庫の中にゴミ袋を入れている。


ボクは琴葉 葵。友達と一緒に瑠璃光学園の美化委員に入ったピカピカの一年生。

委員の仕事は校内だけでなく地域の清掃も含まれているみたいで、週に二回部活動の時間に街へと掃除に繰り出すんだよね。


どんな街でもそうなんだろうけど、ごみのポイ捨てがあちこちでいつも起こっている。

サボりたいと思う事はないけれど、やってられないなぁと思う事は結構ある。

例えばごみを回収している袋の中に、「これもついでに」と勝手に入れてくるサラリーマンの人。分別してるのに缶の袋へレシート入れないでよと思う。

例えば「これ、家で出たごみを適当に捨てたやつだよね」って言いたくなるようなゴミ。恥ずかしくないのかな、それともカラスさんの仕業かな。どっちにしても生ごみって臭いんだよね。見つけたら入れなきゃって思うからほっとけない。そしたら汁が脛についてヤな感じ。


いろんな人がいて、いろんな考えがあるから仕方のないことだとは思う。

でも、印象すごく悪いよね。


と、そんなことを考えていると急にボクの顔に影が差してきた。

パッと顔を上げてもそこに顔はなく、男子の制服が見えるだけ。

もっと・・・それこそ「子供が大人の男の人の顔を見る」時くらいに見上げてやっと顔が見える、それぐらい大きな男の子がボクの前に立っていた。


「・・・ん」


「あ・・・えと、ありがとー」


「・・・・・・」


第一印象と言えば目の前の男の子。

ぶっきらぼうに手を差出して、ボクの手にあった瓶のごみ袋を片手でひょいと持ち上げた。

その手には既に空き缶とか雑多ゴミとかでぱんっぱんになったゴミ袋がいくつもあって、本当に力持ちなんだなぁ、と思わせてくれる。


彼はこの学校で初めて会った男の子。名前はまだ知らない。

2mぐらいある大きな背丈に、ボクとお姉ちゃんで横並びになっても余りそうな肩幅。

まだ調整をしていない石像のようなゴツゴツした顔に、獲物を狙う鷹のような鋭い目。

特注サイズの男子制服ですらまだ小さいと主張する筋肉は、ハルクっていうヒーローを思い浮かべさせる。

一見して悪者、じっと見ても悪者な男の子。

友達がいる様子はなく、チョッとオラついてる男の子でさえ喧嘩を売ってこない男の子。


ボクの第一印象は、怖い人。きっときっと、悪い人。


でもこの人はボク達一緒に町内清掃に参加している。

それも、美化委員ですらサボる人がいるにもかかわらずこの一か月一度も来なかったときはない。

驚くことに、彼は美化委員ですらないんだって。監督の先生が名簿見て驚いてた。


ボクから受け取ったゴミ袋をゴミ倉庫へと入れる彼を眺めながらぼぉっとしていると、中学生のころからの友達・・・ニノちゃんが駆け寄ってきた。


「大丈夫葵ちゃん。あの人葵ちゃんに何かしてたみたいだけど」


「ん~?重たい瓶のごみ袋をね、代わりに持って行ってもらってたの」


「そうなんだ・・・」


ニノちゃんは安心したように息を吐いた。

彼に怖いという印象を抱いているのはボクだけじゃないみたい。


正直のところ、ヌッと近寄ってこられるとボクもやっぱり怖いと思う。

身体が大きいし、目つきが怖い。あんまりしゃべらなくて無愛想だからどんな人か計れない。

やっぱり第一印象はすごく重いんだね。

彼が単なる恥ずかしがり屋さんだったとしても、可愛いという印象よりも怖いという感情が先に来ちゃう。


でも・・・


でも、それをゆかりお姉さん・・・最近ボクと一緒のおうちで暮らす小説家のお姉さんに相談したらこんなことを言っていた。


「第一印象はすごく大事だけど、第一印象でわかることなんてほとんどないんだよ」


「わかった気になっちゃうのは、これまで会ったことがある、似たような人に当てはめているだけだから」


「だから、結局「その人」を見たかったら「その人」と付き合うしかないよね」


「もちろん結局イメージ通りの人だっているしそういうことも多いだろうけど、少なくともそうなっちゃった背景までは付き合わないとわかんない」


「葵ちゃんは、その・・・大男さん?のことをどう思いたい?」


・・・・・・ボクは、どうしたいんだろう。


少なくともボクは、知らない人の悪口は言いたくない。

じゃああの人のことをもっと知りたいのか、と言われると・・・


そんなことを考えながらニノちゃんとおしゃべりをする。

ニノちゃんとボクは中学3年生のころからアクアリウムにハマった同志だ。

まだまだ飼い始めて間もないボク達は、飼育している魚が海水魚と淡水魚のちがいこそあれど、熱心に情報交換をしながら頑張っている。

今回もニノちゃんが新しい水槽へ加えたお魚さんの話で盛り上がった。


「やっぱり水槽は60cmから始めた方が良かったみたいだね」


「だねー!それでやっと買えた60cm水槽にお迎えしたネオンテトラがすっごく綺麗なの!」


「おー、写真見せてーニノちゃん」


「いいよいいよ。コレ!ほら、まとめて25匹セットが売られてたんだぁ」


「うわ、すっごいきれい!下のコリドラスもかわいいね」


「でしょ!この子は前々からお父さんが飼ってた子が繁殖したんだけどね・・・」


と、盛り上がっていると・・・


「はぁい。それじゃあ集合ぉ。本日もみんなお疲れ様でしたぁ」


監督の石橋先生がいつもみたいにほにゃっと笑いながらみんなを集めだした。

今日はもう終わりみたい。


十数人の参加者が集うと、先生は今日もお疲れ様でしたとチロルチョコを配り始める。

面倒さとやりきれなさが目立ちがちなこの活動において、唯一と言っていいやりがいがこれだと思う。

お気に入りのミルク味を口に含み、その甘さに思わずほっぺを押さえる。


あの男の子もボクと同じミルク味を選んだみたい。

口に放り込んだそれをもぐもぐしている。

その様子を少しの間見ていると、こっちに気付いて怪訝そうな顔をした。


「ちょっと葵ちゃん。あんまりじっと見ちゃだめだよ。こないだ生徒指導部の先生と教頭先生に連れられて歩いてたんだよ。外で喧嘩とかする不良だよきっと・・・」


「そうなのかな・・・」


心配そうな顔になったニノちゃんに引っ張られ、ボク達は教室に戻ることにした。

チラリと振り返ってみると、あの人は少し俯いていた。





「うわ、茜の腹筋マジヤバい」


熱めに設定したシャワーを浴びとったら、隣のブースから女子の声が聞こえた。

片目開けてそっちを見たら、ダンス部にして爬虫類好きという完全な類友・・・千秋がブースから身を乗り出してこちらを覗いとった。


「覗くなや」


「いーじゃん女同士だし」


「部長にも同じこと言えるならええぞ」


「マジさーせんした」


口だけで謝って覗くのはやめへん。ホンマこいつは・・・

ニシシと笑う千秋のデコをぴんと弾いてシャワーを続行する。

千秋も体を自分のブースへと戻して汗を流し始めた。


「いやでもマジで茜の腹筋凄いよね~。カッコいいわ」


「ん~、まあ鍛えとるからなぁ」


「女子高生でそこまでバッキバキに割れてるの五輪目指してるアスリートぐらいしかいないんじゃない?」


「さよか」


マジですごいって思ってんだけどなぁ、とウチの対応に千秋は不満げにこぼす。

けど、これはあくまでウチの目標に至るための下準備であってここを褒めてほしいんとちゃうんやけどなぁ。


自分の身体を洗うついでに改めて見下ろしてみる。


確かに腹筋・・・というか体幹を徹底的に鍛え上げとる自負はある。

実際にアスリートの人らがやっとるらしいトレーニングも毎日やっとるぐらいや。ここまで行ってしかるべきと自分でも思てる。

それ以外かて同じぐらいに鍛え上げとる。背中・脚・腕の筋肉は激しい動きにも姿勢の維持にも重要やし、首回りかて使うダンスは少なくない。

鍛え方を間違えたら可動域を狭くするから膨れ上がらないようにそこにも気を使って、柔軟性は昔やってたバレエ用のストレッチで保つようにしとる。

余分な脂肪はなく、脚は190度ぐらいまで開ける。逆立ちしたまま片手を浮かしてKの字をキープすることはウチの特技の一つや。


けどそれは「いい楽器屋で、良い楽器の選び方を知ってる」っちゅーことを褒められているようなもんで、ウチとしてはそこやないって思うんよな。


ダンスとは表現。自分の中にある「世界の感じ方」をどれだけ体で表せるかっていう芸術やとウチは思う。

その表現したいもののために体をチューニングすることはどこまで極めても所詮下準備であって、本当に認めてほしいところとは違うわけや。


素晴らしい楽器を持っていても「それをどう奏でたい」っていうのが無いなら意味あらへん。

ほんで、どう奏でたいがあっても「それに伴う技術」がなければ情熱の持ち腐れになる。


そう、ウチは考えるわけで。


それこそ他の人らにはわからんようなこだわりやし、ウチもじゃあどうしたいっていうのを説明できひんからどうしようもないんよなぁ。


「まあ茜がそれを自慢しないのは別にいいんだケドさ。

他にも高校生活で享受すべきものってあるんじゃね?」


「ほう、それはなんや」


「そりゃも~、恋っしょ!恋☆愛ッ!」


テンション高く千秋が吠える。

奥のシャワーブースから「鈴野うるさい!」と部長の怒声が轟いてきた。アホめ。


「うへー・・・」


「アホ。部長がシャワールームで大声出されんのキライってわかっとって大声出すからや」


「いやだって恋愛は戦争だべ?声入れて活入れるべきっしょ~」


反省する気がゼロなんはわかった。


ともあれ恋愛ねぇ。


「そういう千秋はどないやねん。ウチに言うってことはなんかええ感じの男子でも見つけたんか?」


「まあね~。結構男子情報集めたぜ~?」


「ほぉ。一か月で調べられるもんなん?」


「そりゃもう、同中とか幼馴染とか結構いるもんよ?昔からどうのっていう話はあちこちで拾えるって」


「へー」


「茜はそういうの興味ないかー」


「いや、人並みに興味はあるけどウチがその主人公になろうと思わんだけや。

で、千秋的に良いなと思うのは誰よ」


話しを振ると千秋は嬉々として男子の情報を話し始める。

基本的にその手の話にゃ興味はないけど、相槌ぐらいは打たんとめっちゃむくれるからなぁ。


そう思いながら聞き始めた男子情報やったけど、千秋はなかなかおもろい調べ方をしとった。


やれこの男子は告白すれば余計なひと言を加えて玉砕する「玉砕男子」やとか

やれあの男子は女の子が好きなのにシャイだから興味ないふりしとるだけやとか

やれ件のクールな男子は誰某が好きやからカッコつけ続けて早5年やとか

やれ噂の男子は実は女の子みたいな見た目の幼馴染の男といい感じやとか


そんな男子のトンチキな恋愛事情をつかんだらしい。


「そんで茜のクラスの委員長・・・通称『委員長』もしくは『ゆーくん』は熱中少年!好きな子に熱中しすぎてウザいつってフラれた経歴があるらしいぜ。やるねえあの丸メガネ男子!」


「千秋、お前そんなアホみたいな恋愛情報どうやって見つけんねん・・・」


「王様の耳はロバの耳。おかしな秘密はどっかでぽろっと漏らしたくなるもんよ」


要するに恋するためのあれこれを調べとるっちゅーよりは・・・


「・・・面白おかしい恋愛エピソードを聞いて廻ったわけやな千秋は。ただの話のネタのために」


「まあそういうこと」


「こいつ最悪や」


カラカラと笑う千秋は身体を拭きながらサムズアップをかます。


「誰も私が恋愛するためのリサーチとは言ってないからね!」


「・・・体拭いたんやからパンツ穿きなさい」


「茜のえっちぃ」


ぶっ飛ばしたろうかコイツ。千秋を鼻で笑いながら自分も着替える。

抗議の声を上げるアホを無視しながらロッカーから着替えを取り出していると、千秋が急に真面目な顔をしだした。


「でもさ、そんな風に面白恋愛話聞いてる中で気になったんだケド、茜はどんな恋愛したん」


「あ?」


「いやさ、いろんな人・・・それこそ茜の同中だった子にも聞いたんよ。その中で茜の友達にも話聞けてさ、茜の話になったんだよね。で、茜の恋バナも聞こうと思って聞いてみたら、なんかあやふやに誤魔化されるしさ」


「いやそれウチに気ぃ遣ってくれたんやろ。察せや」


「うんだから本人に訊こうと」


「このクズゥ」


たまらずケラケラ笑ってしもた。

まあ多分取材された友達が言いよどんだのはアレやろうなぁ・・・


「まあうん。聴いても後悔すんなよ?」


「え、割と話しにくい感じ?」


「ん~・・・んにゃ、別にウチとしてはもうどうでもよくなっとるからええんやけど、じゃあ他の人が平気で笑い話にするかっちゅーとまだ絶対無理って感じの話なんよ」


「おぅふ。話すん無理なら別にいいゾ?あくまで気になる程度だからさ」


「いやいや、かまへんかまへん。ただ単に、告って来た元彼共との破局理由がどっちも相手の浮気やったって話やから」


「なにそれへヴィなんですけどッ!」


「そーか?」


それよりブラせいブラ。乳放り投げっぱなしにすな。

ツッコミを入れられた千秋はひきつった笑顔で続きを促した。

結局気になるんやんけ。


「いやまあ、ウチって葵からもよく言われるんやけど受け身な恋愛なんよ」


「受け身っすか」


「そうそう。なんか、「好き」って言われへん限りこっちから好きになることはないっちゅーか、「イケメン男子?それよりダンスと爬虫類、虫!」って感じで」


「あぁうん納得」


「即納得も結構腹立つな・・・まあええわ。

ともかくそんなんやから、ウチから告白とかウチから好きなったとかないんよ」


へえ、とそういう恋もあるんだねと千秋は感心しているようや。

別にそんなもんは結構その辺にあると思うんやけど。


「で、そうしとったらホラ。まあ物好きが告って来るときもあるわけよ」


「茜かっこ可愛い系の美人だからね。わかる」


「せやろか。照れるわ」


「ゴメン適当。中の上くらいだと思う」


「こいつ・・・」


「で、そんなモテ系女子茜はそんな告り男子にどう対応すんの?」


「いやまあ、普通にお試しで付き合うてみる感じを友達に勧められたから、付き合うてみた」


「えぇ・・・」


ドン引きすんなや、アホ千秋。

いやでも実際、告ってきた男子とは全然付き合うつもりはなかったんやけど、周りの友達がめっちゃ勧めてきたわけで。

なんかその気になったウチはお試しで中学三年間の間に二回だけ、男子と付き合うことになった。


「で、その結果は二回とも相手の浮気で終了。一回目は割と早い段階・・・確か一か月かそこらやったなぁ。相手がウチに飽きて、別のダンス部の女子に手ぇだしとったわ。三週間で別れて復縁求められたけど」


「えぇ・・・」


「おう、そいつに対してはいくらでもドン引きしてええで。ウチもドン引きして蹴っ飛ばしたから」


あの時の悲鳴は正直もう一回聴きたい。


「ちな、初キスはそいつにはやらんかったで」


「さいですか。それで二人目・・・今の言った感じだと長く続いた系?」


「せやで。大体一年くらい?」


「ほえぇ・・・で、結局浮気?」


「全部が全部そいつが悪いってわけやない・・・と今なら思うけどな。当時はブチギレたわ。

なんせ、一年お試しとはいえガチデートしてさ、まあその・・・キス・・・したんもそいつが初めてでさ。んで、やっとウチも本気で好きになり始めたら・・・」


そいつは結局、ウチの部活動を待ってる間に時間つぶししていた図書室で、図書委員の女の子と致したそうで。

致した直後にウチが図書室入ったわけで。

臭いと見た目と遠くに落ちてたその子の下着で全部察したわけで。


「はぁ!?」


ドライヤーのスイッチを切り、千秋が思いっきり白目を剥く。


「ウチもさぁ、流石にお試しお試しで一年何となく付き合っててようやっと好きになる・・・みたいなスロースターターかましたから罪?原因?はあるんやけど、正直あれは傷ついたわぁ」


「いやもうなんか下手に掘り返してすんません」


「や、ええよ。もう中二から中三にかけての話やったからもう癒えとるし。

なんだかんだ図書委員の子とは相性良くて長続きしてるみたいやし?」


「へぇ・・・」


意外な恋愛物語ですなぁ、と千秋は頷いとる。意外とは失敬やなこいつ。

まあ正直ウチも自分がそんな恋愛したとは信じられへんけど。


「まあ、せやからウチはもう高校で恋愛とかすんのはええかなぁと。

どうせ・・・とは言わんけどウチのスロースタート両思いに付き合ってくれる男子とかおらんやろ」


「それは・・・う~ん・・・?」


はっきりと断言できない千秋は本気で困って唸り始めた。

別に結局のところ恋愛に興味ない女がさらに受け身になったってだけの話やから気にせんでええのになぁ。

千秋は普段軽い調子の癖に、真面目な話にシフトすると考えすぎるきらいがある。

結構そういうところが好きなんやけど、このタイミングではこっちが困るだけや。


「ま、せやから千秋の情報網には期待するで」


「え、なんで?」


「そらもう、うちに告って来る男子が今後もおらんとも限らんやろ?

そんな男子の面白エピソードからなんかわかるかもしれんやん。頼むで千秋」


きょとんとした千秋の返事を待つこと数秒。

にやりと笑った千秋はサムズアップをして返してきた。


そして柄にもなく地雷に踵落としをしやがった。


「大丈夫だ茜!茜おっぱいぺっっったんこだからもうこれから告って来る男子はいない!」


・・・おう殺したろかこいつ。


「・・・・・・・・・・・・・」


「・・・あれ?茜?」


「ええ事教えたるわ千秋。二人目の男が言い訳した中に、ウチの胸が小さいから云々と言う話があったんや・・・」


「あ、えと」


「そっからうちは胸の大きさの話されんのガチで嫌いやねん。マジでやめろ。千秋とは友達でいたいからさ」


「本当にごめんなさい」


それはとてもきれいな土下座であった。


ええからいい加減服を着なさい千秋・・・

肌着で土下座されたら「え・・・?」って思うやろ。

ほら、部長が何事かとドン引きしとるからやめて・・・千秋・・・


風邪ひくまでその姿勢するだけでええから、千秋・・・





暗くなりつつある放課後。夕焼けもほとんど沈みきった時間に、ボクはお姉ちゃんの席に座ってお姉ちゃんの帰りを待つ。

町内清掃が終わり、ニノちゃんに連れられたボクは1時間と少しぐらいの間教室でアクアリウムについておしゃべりをしていた。

やがてニノちゃんもおうちに帰らないといけない時間になり、そこからボクは一人きり。

とはいっても、あと少しでお姉ちゃんも帰ってくると思うけどね。


窓の外のグラウンドにはほとんど誰も残っておらず、一番遅くまで練習していた野球部の一年生たちが先輩たちに頭を下げているのが見えるだけ。

丸刈りの頭ってジョリジョリするんだろうね。ちょっと触らせてほしいかも。


他の部活の人たちはシャワールームがある部室棟のあたりにちらほら見える。

今から入る人たち、逆に出てくる人たち。

・・・あ、あの人ダンス部の人だった気がする。

少し外を眺めながら待っていると、ボクにそっくりな顔のお姉ちゃんと髪を短く切りそろえた地黒な女の子・・・千秋ちゃんが現れた。


「お姉ちゃ~ん!千秋ちゃ~ん!部活終わった~?」


窓を開けて声を上げる。両手で手を振り全力でアピール!


ボクに気付いたお姉ちゃんが手を振り返してくれた。えへへ。

千秋ちゃんもボクに気付いたみたいで、ぴょんぴょんと跳ねてリアクションをしてくれる。


「茜をお返ししまーす!!」


「お姉ちゃんレンタル料は流木一個になりまーす!」


「じゃあ今度持ってくるねー!!」


大声での応酬に、お姉ちゃんが慌てて口元に手をあてがった。

野球部の男の子たちが何事かとこっちを見てる。お姉ちゃん恥ずかしそう。

そそくさと千秋ちゃんの手を取って校舎に走ってくるお姉ちゃん可愛い。


ちょっとしたお姉ちゃんいじりをして満足したボクは、そのまま大分暗くなった校庭の観察を続けることにした。


校門までの道を見ると、運動部じゃない部活の人たちがちらほらと帰路に就いているのが見える。

その中でギターケースを担いだ男の子が、隣にいる女の子と手をつないで楽しそうにしているのが見えた。カップルなのかな。

女の子は少し恥ずかしそうに俯いてるけど、つないだ手を放そうとするそぶりはない。

男の子の方はそんな彼女が可愛いと思っているのか、少し大げさに手を振って帰っている。

男女は逆だけどなんだか少し懐かしくて、胸がきゅんと切なくなった。


転落防止の手すりにほっぺを乗せて冷たい感触に浸る。

思いをはせるのは海を越えたうんと北東。楓のマークがシンボルのカナダだ。

ボクの初めての彼氏。ボクの一番好きだった男の子。

もう多分そうそう会えない、ボクの大切な人。


距離も恋人としても別れてもう三年か。

他の女の子・・・それこそお姉ちゃんだって長くて半年しないうちにきっぱりと吹っ切れているのに、ボクはまだまだ吹っ切れられない。

結局こういうのは個人差があるんだね。誰だよ女の子は吹っ切れるのが早いって言ったの。


思わずしんみりしてしまった気持ちをぶんぶん振った頭から飛ばしてしまう。

さっき楽しそうにしてたのにいきなり落ち込んでたら、お姉ちゃんも千秋ちゃんも心配しちゃうよね。

気を取り直して他の人を観察・・・あれ?


校門までの道の途中。人があんまり通らないところに、しゃがみこんでいる人がいる。

校舎の二階から見てもわかるその大きな体は、間違いなくゴミ捨てに参加していたあの男の子だ。

お腹でも痛いのかな。それともなにかしてるのかな。


ジッとその背中を見ていると、男の子に痩せた男の人が近づいてきた。

明るい茶色のスーツに、提灯アンコウさんみたいな渋い顔。

オールバックにした白髪気味な頭が特徴的な、瑠璃光学園の教頭先生だった。

顔によく似合う渋い声と厳しくて怖い口調。通い始めて一か月目にして、生徒指導部の先生を抑えて一年生の間でぶっちぎりで不人気な先生だ。


そんな先生はあの男の子に近づくと、同じ場所にしゃがみ込んで何かをしだした。

二人が何を話しているのかはわからないけど、仲は悪くなさそう?

初めてみるような笑顔を、教頭先生は男の子に向けていた。

バシバシと男の子の大きな背中を叩きつつ、教頭先生はご機嫌さん。

男の子もそれが嬉しいのか、こちらも初めてみた笑顔。


へぇ、あんなふうに笑うんだ・・・と、思っていると教頭先生は腕時計を確認した。

残念そうに男の子に手を振ると、宿直室のある方へと歩いていく。

男の子はもう少しだけその場に用事があるのか、また黙々と何かの作業を始めた。


何をしているんだろう、気になってもう少し観察してみようと思った時だ。


「葵、お待たせ」


「葵ちゃんおっす~」


「あ、お帰り二人とも」


ポンと肩を叩きながらお姉ちゃんが顔を覗いてきた。その後ろには千秋ちゃん。

ふんわりと石鹸の匂いを漂わせた二人は・・・あれ?


「千秋ちゃん、なんでお姉ちゃんの肩をもんでるの?」


「いやいや、別になんでもないよ~」


「せやで。こいつがどうしてもって言うからさせとるだけや」


「ふぅん。じゃあボクは千秋ちゃんのマッサージする~」


「おふん。これは何とも心地よい力・・・」


何しとんねん、と呆れたお姉ちゃんは苦笑いで自分のカバンを拾い上げる。


「ほな帰ろか」


「はーい」


ボクも足元に置いていたカバンを手に取り、万歳のポーズ。

ちらりとさっきの場所を確認すると、男の子が校門の方へと歩いているのが見えた。

んー・・・・・・


「ね、お姉ちゃん千秋ちゃん。ちょっとだけ途中で寄りたい場所があるんだけどいい?」


「ん?寄り道してどっか行くってこと?」


「んーん。えっとね、あそこ。何があるのかなって」


「どこや?」


窓の外を覗く二人に指さして教える。

その先の場所を見て千秋ちゃんは首をかしげた。


「え、花壇がどうしたの?」


「んっとね、ちょっと気になるの」


「はえ~」


不思議そうな二人を連れて、さっそくさっきの男の子がいた場所へと向かう。

そこは千秋ちゃんが言った通りの花壇で、特にこれと言った花が咲いてなくて土だけが盛られていた。


「ここ、入学した時は荒れ放題だったよね。去年の冬に園芸部が潰れちゃってから誰も何もしなかったみたいでさ」


「そうなんだ」


「葵は見てへんかったん?雑草が生えとるわ、野球部が遠慮なしにボール捕りに来るわで滅茶苦茶やったで」


「え、そうなの?」


うんうん、と二人は頷く。でもボク達の足元にあるのはきれいに整理された花壇だ。

だとすれば・・・


「・・・誰かがお手入れしたのかな」


「せやろな。確か園芸部の顧問は教頭とか誰か言ってへんかった?」


「あぁそうそう。今年教頭が不機嫌気味なのは、園芸部が無くなったこともあって花壇が滅茶苦茶にされつつあったかららしいね」


「せやせや。『誰も手入れしてねージャン』て坂田も言うとったわ。あいつ確か教頭の目の前でサッカーボール花壇にぶち込んどったらしいな」


「うわー、馬鹿だね坂田。サッカー部のお荷物に早くもなりつつあるくせに」


坂田君?を笑う二人をよそにボクは花壇を見つめる。


土はすごく丁寧に整えられていて、程よく湿っていた。

よく見ると花壇の枠を作っている煉瓦はいくつか取り換えられているみたいで、両隣のものよりもきれいなレンガがちらほらあった。

低めの柵は曲がってしまったものを改めて曲げなおしたようにちょっといびつな形をしていて、よく見ると花壇の周りはきれいに掃除されていた。


・・・・・・


ゆかりお姉さんの言葉を思い出す。


その人の事は、その人と付き合わなければわからない。


そうなのかもしれない。今ならその言葉に同意できるかもしれない。

もしかしたら予想通りかもしれない。その逆かもしれない。

でもそれは、まだ今はわからない。

・・・だったらやることは一つだけ。


「もしかしたら、これをやった人はいい人かもね」


「せやなぁ。少なくとも真面目な奴やろ、知らんけど」


「しらんのかーい」


「うん。ボクも知らないんだ」


「え?あ、うん。だよね。私も知らないし」


「だから、ボクこの人とお話ししてみたいな」


おぉそらええわ、とお姉ちゃんは笑顔で同意してくれる。

千秋ちゃんもちょっと戸惑い気味だけどいい事だって言ってくれた。


街のお掃除に協力してくれるあの男の子。

教頭先生が笑顔で接するあの男の子。

身体が大きな怖いあの男の子。

ボクがまだ何も知らないあの男の子。


あの人は一体どんな人だろう。

今から少し楽しみになってきた。

次の街掃除の日、楽しみだなぁ。



・・・・・・



だいたいそれから一時間弱。電車、バスと乗り継いでボクとお姉ちゃんは帰路に就く。

千秋ちゃんとは駅前でお別れ。おうちは学校の最寄り駅から真逆の方面だからね。


いつものカーブを曲がるバスの中、お疲れのサラリーマンの人がボクの隣で寝てるから小声でお姉ちゃんとおしゃべり。


「今日の晩御飯、なにかな?」


「マキ姐さんが今日の当番やからマジでわからんな」


「ね~。ゆかりお姉さんもマキお姉さんもお料理上手だもんね」


「ゆかりさんなら日本食ってわかるけどな」


「煮魚美味しかったなぁ・・・」


シェアハウスで待っている小説家のお姉さんとギタリストのお姉さんの料理に思いをはせる。

二人ともすっごい料理がおいしいんだよねぇ。


「今日はお姉ちゃん学校どうだった?」


「ん?別にいつも通りや。ダンスは楽しかったで。また新しいステップつなげられるようになってん」


「おぉ。また見せてよ」


「もちろん。変なとこないかちゃんと見たってや」


「はーい」


と、降りるバス停に到着。定期券を見せて降りて運転手さんに一礼すると、お姉ちゃんは思い出したように声を上げる。


「そういや千秋が変なこと言うてたわ」


「ヘンなこと?」


「恋愛が云々と。まあアイツの場合面白おかしいエピソードを集めとるだけやけど」


「おぉ、恋愛。お姉ちゃんはもうしないの?」


「当分はこりごりや。別に裏切られるんがどうのこうのと言うつもりはあらへんけど、あんなふうになるぐらいならダンス一筋、ペット一筋でいる方がええわ」


「あー」


「そういう葵はどうよ。あいつのことは吹っ切れたん?」


「ん。まだ。まーくんはもう新しい彼女候補を見つけたみたいだけどね。多分、本当に手紙に出てくるあの子とくっつくまではちょっと未練感じちゃうかも」


「さよか。まあ辛なったら誰でもええ、ウチでもええから吐き出すんやで」


「んー」


頭を撫でられながら目を細める。

お姉ちゃんは優しくて大好きだ。


「あ、でもちょっと面白そうな人はいる」


「うん?どういうことや」


「えへへ。その人のことがわかってきたらお姉ちゃんに教えたげるね」


「ほぉん。ま、楽しみにしとくわ」


その後も学校であった些細なことをお話しながら月明かりの元を歩く。

綺麗な三日月さんが見守る通学路を進むこと十数分。ようやくついたのはけっこう大きなおうち。

最初観たときは二階建ての平屋だったけど、いつの間にか三階建てに代わっていた不思議なアパート『精錬恪勤荘』。

夢を追いかける人たちがその夢を安心して追いかけるための、格安シェアハウスだ。


中くらいの庭を通って玄関扉を開けると、綺麗な金髪におっきなおっぱいのマキお姉さんがお出迎えしてくれた。


「おっ、琴葉ちゃんズがお帰りかい?」


「ただいまっす」


「ただいま~」


「お帰り!学校は楽しかったみたいだねぇ、そりゃあ良し!」


マキお姉さんはまだメジャーデビューしていないバンドのギタリストさんで、ゆかりお姉さんの幼馴染。

快活で優しくて、かっこいいお姉さんだ。

可愛い花柄のエプロンをつけたマキお姉さんは手にしたお玉を軽く振り、「今日はビーフシチューだよ。手ぇ洗ってきな」と教えてくれた。


「ビーフシチュー!」


お姉ちゃんと声を合わせ、大喜びで洗面所へと向かう。ダイニングの奥のキッチンからは確かにビーフシチューの良い匂いが漂ってきていた。


「うひょー!ウチの大好物や!」


「フランスパン、フランスパンはある?」


「あるある。あるから走んなよ~」


後ろの方からちょっとうれしそうなマキお姉さんの声がする。

走ったりはしないよ子供じゃないもん。

すっごい早足なだけだもん。


「あら、おかえりなさい葵ちゃん茜ちゃん。待ってましたよ~」


キッチンの方から割烹着を着たお姉さんが現れる。

こっちはゆかりお姉さん。小説家さんで、すごくきれいな大和撫子さんだ。

ミトンを付けた手には大きなお鍋が握られている。


「ゆかりさんただいまっす」


「ただいま~。今日はビーフシチューなんでしょ!」


「そうだよ。私もお昼に電話でマキさんに言われて超楽しみにしてたの。いっぱいあるからいくらでもお代わりできるよ~。

あ、着替えに戻るならイタコちゃんとセイカさん呼んできて。セイカさん、今日は超珍しく日が変わる前に帰れたみたいだから優しく起こしてあげてね?」


「はーい」


イタコお姉さんとセイカさんも共同生活をしているお姉さんたち。

二人とも独特な空気を持つ不思議なお姉さんたちで、いろんなことも教えてくれる。


ただ、セイカさんの職場はブラックじみてるらしくて、滅多に朝以外に会うことはない。

なんなら夜更かししても会うことがないほどだ。

大丈夫なのかな。


ともあれここでボク達は青春を過ごしていく。

これからどんなことがあるのかな。

ビーフシチューのワクワクに、これからの毎日へのドキドキが混ざる。


少し長めの春うらら。

暖かいこの街で、暖かいこの人たちと。

楽しい毎日を過ごしていく。

そんなボク達の青春うらら。


なんちゃって。

                                 おしまい

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ちなみにゆかりんと琴葉姉妹はこちらの動画と同一人物です。
これを始めてみた人は是非とも是非とも見て行ってくださいお願いします13番目に見に来た人が何でもしますから。

第一話:




こうしてほしいとか、こんなのもよくない?みたいなのがあればコメントお願いします。
もちろん感想は欲しいです。
高評価欲しいです。
お金も欲しいです。
彼女も欲しいです。

では、動画の投稿をのんびりお待ちください。
多分その内投稿します。
スランプ脱せなくてもこうやって生存報告するのでお待ちください。

ではでは(´・ω・`)ノシ

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