あの頃を思い返すと、毎回胸が締め付けられるエピソードが蘇ります。
黒歴史動画ついでに、今日のブロマガは懺悔の一つも書いておきましょう。
当時、僕と西郷さんでお年玉を持ち寄り、ゲームソフトを一本買ってシェアしていました。
ゲーム機は買えなかったので他の友達から借りてました。
そのゲームを毎日のように2人で遊び、終わった後は交代で持ち帰って遊ぶ、というのを繰り返していました。
しかし、西郷さんはそのゲームソフトを無くしてしまったのです。
その日も、僕の家で2人で遊び、夕方になって西郷さんがゲームソフトを持って帰りました。
それから数時間して、西郷さんが落ち込んだ顔で僕の家に戻ってきました。
どうしたと聞くと、帰り道でゲームソフトを落としてしまったというのです。
落としたのに気づいてから、何度も帰り道を往復して探したが、見つからなかったというのです。
その日は吹雪で、時間が経って雪に埋もれたそれを見つけるのは明らかに困難でした。
(そもそも、見つかっても正常に動くかも怪しいものです)
西郷さんは泣きながら謝っていました。
寒さで出た鼻水と涙で顔がぐちゃぐちゃになっていました。
あろうことか、僕はそんな西郷さんを怒鳴り散らしたのです。
僕にとって、そのゲームソフトは楽しい思い出がつまった宝物でした。
それを不注意で無くした西郷さんに激しい憎悪の感情が湧いたのです。
ふざけるな、死んで詫びろ、金を返せ、などと聞くに堪えない罵詈雑言を西郷さんにぶつけました。
しかも、見つけるまで帰ってくるなと言い、再び西郷さんに探しに行かせたのです。
その夜、西郷さんの母親から無くしたゲームソフトを弁償させてほしいと電話がありました。
ずっと外で探していた西郷さんを、仕事帰りの母親が見つけて事情を聞いたようでした。
かくして、僕の手元には新品のゲームソフトが戻ってきました。
しかも、今度のそれは「僕と西郷のもの」から「僕だけのもの」となったのです。
僕は歓声をあげて喜びました。
さもしい性根でした。
その後、そのゲームソフトで西郷さんと遊ぶことはなくなりました。
遊ぶ友達がいないゲームソフトを一人でやっても楽しいはずがありません。
そのゲームソフトはほとんど遊ばれずに、押し入れの中に眠ることになりました。
結局、ゲームソフトだけが戻ってきても意味がなかったのです。
当時の僕は、それがわからないほど救えぬ馬鹿でありました。
(文:坂本)
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幕末志士
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見てるこっちの心が痛む