このシングルボードコンピューターの多くは5Vで動作するため、USB電源さえあればどこでも動かせるというのが使いやすいポイントのひとつ。モバイルバッテリーを使えば電源のない屋外でも起動できるし、ウェアラブルデバイスの開発でも役立ってくれるわけだ。
ただ、問題がないわけではない。それは、多くのモバイルバッテリーの保護回路が、出力電力が小さくなると自動で出力をオフにしてしまうことだ。スマホの充電を考えてみれば、充電が完了した後も出力し続けるのは無駄になってしまうため、自動でオフになるのは理にかなった動作だろう。しかし、シングルボードコンピューターの場合、出力がオフになってしまえば動作が止まってしまう。とくにArduinoは消費電力がかなり小さいため、この保護回路に引っかかることが多いのが悩みだった。
LEDを点滅させるだけの簡単な動作では、わずか0.06Aしか流れない。IoT向けといっても見た目は普通のモバイルバッテリー。3200mAhと小容量で、名刺よりもひと回り小さいコンパクトサイズだ。重量も85gと軽いので、ArduinoやRaspberry Piなどとセットで使うのにピッタリといえるだろう。
本体はコンパクトで、Arduino UNOよりも少し大きい程度。インターフェースは必要最小限で、出力が1ポートと、充電用のmicroUSBが1ポート。あとは電源スイッチと残量表示のできるLEDが3つ並んでいるだけとシンプルだ。電源スイッチは、1度押すとオンになり、もう1度押すとオフになるという単純なもので、電源ボタンを押さない限り出力し続けてくれる。
スイッチやポートはすべて1面にまとめられている。少し心配なのが、バッテリー容量が3200mAhと小さいこと。これでどのくらいの時間使えるのかが気になったため、Raspberry Pi 2を使って実験してみた。OSは“Raspbian”を使い、Xを起動。ブラウザーを立ち上げ、アスキーチャンネルにある紹介動画をループ再生して負荷を高めにセットした。なお、この時の消費電力は、およそ1.5~2W(電流値で0.3~0.4A)だ。
動画をループ再生しているため、常時負荷がかかった状態だ。電源が落ちるまで動かしてみたところ、約3時間半ほど動作。これだけ動けば、出先やイベントでのデモなどに使うには十分だろう。消費電力の小さいArduino UNO(およそ0.3W)であれば、さらに長時間利用できる。
ターゲットをIoT用途に絞り、可能な限りシンプルにした製品だけに万人向けとはいえないが、今まで見当たらなかった製品であることは確か。ケーブルを抜かずに手動でオン/オフできるので、電源スイッチ替わりに使えるというのも意外と便利だ。IoTに限らず、LEDライトなどUSB電源を使う機器の電源としても活躍してくれるだろう。
LEDライトをつないでみたところ。ライトのオン/オフは、Cheero CANVASの電源スイッチで行なえる。なおアスキーストアでは3,456円(税込)で販売中。詳細なスペック&オンライン購入はこちらでどうぞ(品切れてしまったらすみません)。
【IoT機器対応】cheero CANVAS 3200mAh
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