外皮と骨格が揃ったら、まず最初に行なうのは再検品です。入念に検品を行なってきたとは言え、不良品を極力少なくするために、さらに念入りにチェックします。再検品の担当者は外皮の湯皺や気泡、不純物、歪み、骨格の不具合等を手で探りなら確認。必要に応じてパーツを慎重に修正・交換していきます。
再検品が終われば、次はいよいよ外皮の取り付けです!
■外皮と骨格が揃ったら、いよいよ外皮装着工程へ
外皮パーツには、それぞれ骨格を入れるための差込口が設けられているので、そこにキチンと挿し込んでいきます。外皮は常温では硬いので、骨格を入れる際は温風機ボックスで差込口を50度~60度前後まで温め、適度な柔らかさにする必要があるんです。
差込口が硬すぎると骨格挿入時に亀裂が入ってしまい、逆に柔らかすぎると差込口が凹んで上手く差し込めなくなってしまうので、温度管理は大切。ミソは、外皮が冷める前に素早く、かつ入れ間違いがないようにすること。間違っても骨格ごと熱すれば取り出せますが、骨格は高温にさらされると亀裂が発生してしまう場合があるので、極力避けなければなりません。
ポリアセタール製のミライフレームは、材質の性質上どうしても、潤滑剤を塗る必要がある箇所があります。塗布量が多すぎると緩くなりすぎてしまうので、さじ加減が難しい工程です。また、成形条件の関係で手首や足首の接続軸のサイズが合わず、緩くなってしまうケースも。緩い関節には瞬関接着剤を塗り、軸を太らせて、適度な太さに調整していくのです。
ちなみに、骨格は作業がしやすいように分割されています。
胴体→太股→脛→上腕→前腕→手足の順に外皮に差し込んでいくのですが、外皮には部位ごとにクセがあり、力加減の調整が必要です。たとえば足の外皮。ここは、ほかより厚い骨格差込口を持っているので、力任せに骨格を捻じ込むのですが、差込口が薄い手首部分は差込口が広がらないように、完全に冷めてから優しく押し込みます。外皮は熱を加えれば大抵の歪みは直りますが、無理な力を加えると修復不可能になってしまうので、注意が必要なんです。
作業のほとんどは手袋ひとつで行なえますが、上半身と下半身、ドールスタンドの根元となる“スマートサポートソケット”は、専用の特殊工具が必要です。この工具はオリジナルデザインのワンオフ品。もしもの事があったら大変なので、早めに量産したいところです(ToT)
さて。さまざまな作業を経て完成したみらいちゃん。次回はメンテナンスの方法についてお話します!