アスキー編集部 ニコニコ出張ブログ

15万円でもバカ売れの超高級iPhoneケースの製造工場に潜入!【カオスだもんね!】

2015/04/03 23:00 投稿

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久々に長距離取材に行ってまいりました。向かった先は岐阜県関市。刃物で有名な町だそうですが、ここで取材してきたのはiPhoneケース。

たかがiPhoneケースの取材にわざわざ岐阜県まで? という感じですが、それには当然理由がありまして。このネタの提供者である矢崎副編集長によりますと、そこでは世界一高価なiPhoneケースが作られているのだとか。 20150403


それはたしかにちょっと見てみたい! そんな思いを胸に今回はここ、ナカダクラフトを訪れたわけです。

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中で待っていたのは、高価なiPhoneケースを企画したSQUAIRの後藤さん。

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さらに開発に携わった、ナカダクラフトの仲田社長と糸井川工場長、NOOKJAPANの道家さんというお三方を加えて、開発秘話を伺っていくことに。

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そもそも後藤さんはもともとiPhoneケースのデザインをしていたそうなのですが、そこには大きな悩みが……。

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そこで金属製のiPhoneケースを立案。その相談を受けたのが、金属加工で試作品等を製作していた道家さんです。

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が、その試作品製作には大きな問題が……。

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とはいえ価格面はひとまず度外視して、試作品は完成。その後、このiPhoneケースの世界的な評価が知りたいと、世界最大の家電見本市“CES”に出展。気になるそこでの反応はというと……。

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そして、製品化を視野に入れて、再び道家さんに連絡が。しかし、ここで道家さんを悩ます新たな問題が。

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かなりの無茶ぶりでしたが、道家さんはそれを可能にするメーカーさんを見つけ出すことに成功。それが今回訪れたナカダクラフトだったそうです。

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特にコスト削減につながったのがケースのボタン部分。実はこの細かいボタンを1個1個削りだすのが、そうとうな手間だったのだそうですが、ナカダクラフトの“ブレイクオフ工法”という技術を使えば、作業軽減&コスト削減が可能に!

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これによりようやく量産のメドが立ったそうです。

さらにその後、サンフランシスコのマックエキスポにも出展。上々の反応が得られ、ついに『カービシャスバンパー』として全世界に向け2万5000円で発売。

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販売先としては、モノがモノだけに高級セレクトショップにお願いしたようですが、やはり最初はまだ無名だったブランドとその高価格のせいで敬遠されたそうです。

しかし、フタを開けてみれば、洗練されたデザインクオリティーと超超ジェラルミンという高級素材が受け入れられて、売れ行きは上々。

この成功を足がかりに、さらにふたつのiPhone5/s用ケースを発表。ひとつは取り付けの際、ネジを一切使わない四分割バンパー『クアトロ』。

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実はこのケース、先のマックエキスポに出展した際に、外国人の方に「『カービシャスバンパー』の極小ネジは、細かすぎて取り付けにくい」という声に応えたもので、糸井川工場長みずから、新たなジョイント方法“itoigawaラッチ”を考案し製品化したのだそうです。

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そしてもうひとつが『ジュラルミンメッシュケース』。これに関してはメッシュのドットもただのドットにあらず。アップルのロゴが来る位置を中心にグラデーション処理されているという、こだわりまくりのiPhone5/sケースでその価格はついに大台の10万円。

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しかも、その半年後にはiPhone6の発表が噂されていた、ある意味発売時期としては最悪のタイミングにも関わらず、国内海外問わず売れたのだとか。

話を聞いてて驚いたのですが、こういった製品を求める客層は、“あと半年で使えなくなるなら買わない”といった発想はなく、むしろ“あと半年しか使えないものにあえてお金を出す”という心理なのだとか。どうしてシャクライがいつまでたっても億万長者になれないのか、少しわかったような気がしました。

そして満を持して発売された、iPhone6用ケース『スリット』は驚愕の15万円。その手触りはうっかり落としそうになるぐらいなめらかで、かなり緊張しました。

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その価格のワケは当然、超超ジェラルミンの素材費も含まれますが、さらにそのスリット(溝)の1本1本を削りだす技術にも。

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そんな職人の手によって生み出されているiPhoneケースの製造現場を見せていただけるということで、さっそく工場へ。

そこにあったのが、この5軸加工の切削マシン。

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マシンの窓を覗いてみるとまさに削りだし作業中。

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この切削マシンは約120本のドリルを作業工程に応じて使い分けて削りだすという、超超ドリル使い。

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本来は試作品を製造するマシンだけに、その作業は非常に緻密で丁寧。ゆえに、1日に作れる数も限られているのだとか。つまり、ここでつくられているiPhoneケースは量産品にもかかわらず、ひとつひとつがワンオフの試作品クオリティでつくられているというワケです。

またこのマシンで使われているドリルの歯は、ここ刃物の町である関市で作られたものであり、そもそもこの町では昔から航空部品を長く扱っていたと聞いたときには、もはやこのiPhoneケースはここで生まれるべくして生まれたんだなぁ、と思いました。

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ちなみに後藤さんは、この削り出しの最新工法と伝統的な刃物技術の融合を“最新伝統工芸”と呼んでいるのだとか。

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素晴らしきかな、日本のモノづくり現場でありました。


【おまけ】
余談ですが、仲田さんと糸井川さんの趣味はラジコンだそうで、なんと超超ジュラルミンを使ってこんなラジコンパーツ(シャーシ?)も製作。硬くて軽いそのパーツにアカザーさんはかなり喰いついていました。

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世界一高い15万円の高級iPhoneケースの製作現場潜入レポートは週刊アスキー3/24号(3月10日発売)の『カオスだもんね!PLUS』でチェック!【お詫びと訂正】本誌74ページと76ページに誤りがありました。正しくはiPhoneとSQUAIRになります。読者の皆さまならびに関係各位にご迷惑をお掛けしましたことをお詫びするとともに、ここに訂正させて頂きます。

SQUAIR(外部リンク)
ナカダクラフト(外部リンク)

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