今“スマートテレビ”市場でOSシェア戦争が勃発しているのはご存じだろうか。Firefox OSやTizenなど、以前はスマホ向けの“第3のOS”として開発され、しのぎを削ってきたOSがスマートテレビを戦場に再び戦っている。Googleからはスマートテレビ向けOSとして、“Android TV”が登場。その先兵たる、セットトップボックス『Nexus Player』がついに先日発売した。今回はそんなNexus Playerが、ChromecastやApple TV、PCではm-StickといったテレビにHDMIでつながるデバイスと比べ、どんな利用シーンだと便利なのか検証してみた。

 まずは検証に参加する機種をおさらいがてら紹介する。

 


Nexus Player
●Google ●直販価格 1万3824円

nexus_1019 ↑Bluetoothリモコンなので、赤外線よりも反応良し。LEDは底面付近で夜間に目立たない設計。

■おもなスペック
CPU:Atom(4コア、1.8GHz)
メモリー:1GB
ストレージ:8GB
消費電力(実測):3ワット(YouTube再生中に計測、以下同)
OS:Android TV
サイズ/重量:120(W)×120(D)×20(H)mm/235g

 テレビ向けのAndroidとChromecastが合体したイメージが近い機器。シンプルなメニューと高速なCPUで、動画視聴は最も快適だった。音楽や写真再生など、対応アプリの増加に期待したい。

マイクの音声認識で素早く検索

nexus_1019 ↑リモコンのマイクボタンを押すと、音声検索が起動して動画が探せる。ホームでは、対応アプリをまとめて検索できる。

Chromecast
●Google ●実売価格 4500円前後

nexus_1019 ↑テレビによってはUSBから電源がとれるほど省電力。比較した4機種中で最も小型。

■おもなスペック
CPU:非公開
メモリー:非公開
ストレージ:非公開
消費電力(実測):2ワット
OS:非公開
サイズ/重量:72(W)×35(D)×12(H)mm/34g

 5000円を切る低価格な製品ながらPCやMacのChromeブラウザーの画面や、最新Android端末の全画面ミラーリングが可能。動画をテレビで再生しながら、手元のスマホでLINEや検索機能が使えるのも便利だ。

動画配信サービスが続々と対応!

nexus_1019 ↑国内サービスの“dビデオ”など、多くの動画サービスに対応する点もうれしい。

Apple TV MD199J/A
●アップル ●実売価格 1万600円前後

nexus_1019 ↑リモコンは赤外線で操作時は向きが重要。オプティカル端子も備え、5.1chオーディオに接続可能。

■おもなスペック
CPU:Apple A5
メモリー:非公開
ストレージ:非公開
消費電力(実測):3ワット
OS:Apple TV Software7.0.3
サイズ/重量:98(W)×98(D)×23(H)mm/272g

 iTunesライブラリやiCloudとの連動はもちろん、iPhoneやiPad、Macの画面を簡単にミラーリング表示できるなど、アップル製品ユーザーには便利。一方、AndroidやPCとの連携は弱い。

iTunes Storeから映像や曲を直接購入

nexus_1019 ↑1080pの高画質な映画を購入し、すぐにテレビで再生できる。楽曲はiPhoneにコピーしてすぐ持ち出し可能。コンテンツの品質やアップル製品との連携が魅力だ。

m-Stick MS-NH1
●マウスコンピューター ●直販価格 1万9800円

nexus_1019 ↑USB端子とマイクロSDスロットを備え、拡張しやすい。HDMI延長ケーブルが付属する。

■おもなスペック
CPU:Atom Z3735F(4コア、1.33GHz、最大1.83GHz)
メモリー:2GB
ストレージ:32GB
消費電力(実測):5ワット
OS:Windows 8.1 with Bing(32ビット)
サイズ/重量:100(W)×38(D)×9.8(H)mm/44g

 PCなので利用できるサービスやアプリの数はほかと比べて圧倒的。しかし、操作にはキーボードとマウスを別途用意する必要がある。

Windowsアプリが使えるので汎用性は抜群

nexus_1019 ↑ウェブ動画はもちろん、ブラウザーゲームやオフィス文書の編集、画像処理にも使える。外付けHDDを接続すればサーバーとしても利用できる。

 さて、4台出揃ったところでシチュエーションごとで最適なものはどれか比べていく。

<<オンデマンドサービスに強いのは?>>

◎国内のウェブ動画サービスに強いm-stick

nexus_1019 ↑PCなので、ほぼすべてのウェブ動画サービスを視聴できる。フルHDサイズ程度の動画ならカクツクこともない。

 m-Stickは、YouTubeやニコニコ動画はもちろん、Huleやdビデオなどメジャーなオンデマンドサービスは問題なく使える。小型デバイスとはいえ、このへんはWindows PCの最大の強みだろう。価格で言うと、5000円切りでHuluやdビデオに対応しているChromecastも捨てがたい。

 

Nexus Playerは今後に期待

nexus_1019 ↑HuluやYouTubeはアプリがプリインストールされているNexus Playerだが、OSが出たばかりでまだアプリが少ない。

 

海外向けサービスが中心のApple TV

nexus_1019 ↑ニコニコ動画やdビデオなどの国内向けサービスに非対応なApple TV。しかし、iPhoneのミラーリングを介せば利用できる。

<<ネットワークメディアプレーヤーとして便利なのは?>>

◎Apple TVとm-Stickが優秀

nexus_1019 ↑Apple IDを登録すれば、iTunesストアで購入した楽曲や映画のほか、PCのiTunesライブラリを再生できる。

 ホームシェアリングを使って、ネットワーク上にあるNASやPCのデータをテレビでストリーミング再生できるApple TVが使っていて便利だった。もちろんm-Stickでストリーミングするのもアリだが、Windows Media Playerの設定をしなければならない。

 

<<iPadと相性がいいのは?>>

◎AirPlayが強力なApple TV

nexus_1019 ↑画面全体をApple TVで表示するAirPlayミラーリングに標準対応。遅延が短く圧縮のノイズも少ない。

 “AirPlay”でのミラーリング表示やコンテンツ再生を快適に利用できるのはApple TVだけ。Apple IDに紐づいた購入楽曲の再生やiColudのデータ連携も魅力的。

 Nexus PlayerとChormecastは、YouTubeなど一部iOSアプリの表示が可能。また、Nexus Playerでは『Airtight』、m-Sitckでは『AirServer』アプリを購入すれば、負荷は高いがAirPlayでのミラーリング表示ができた。

nexus_1019 ↑WindowsやAndroid TVは、iPadの画面を表示できるAirPlay対応の有料アプリで連携が図れる。

 

<<YouTubeの動画再生でストレスが少ないのは?>>

◎操作サクサクの『Nexus Player』

nexus_1019 ↑アプリ操作から動画再生までにかかった時間を比較。Apple TVはメニュー表示や読み込みの遅さが目立った。

 

<<ブラウザーゲーム『艦これ』と相性がいいのは?

◎唯一、Flash対応の『m-Stick』

nexus_1019 ↑ブラウザーゲームはFlashへの対応が必要。HDMIデバイスで唯一プレイできたのは、Windows搭載の『m-Stick』だけ。

 週刊アスキー2015年3月17日号では、発売ほやほやの『Nexus Player』を特集。導入前後の気になるギモンを解決し、スマートテレビの現状についてもコラムも掲載。自宅のテレビのHDMI端子が空いてる方、必見です!

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