鷲音モー のコメント

今号のゴー宣を拝読し、改めて「わしズムVol.28 日本国民としてのアイヌ」と「ゴーマニズム宣言NEO2 日本のタブー」を読み返しました。
この2冊を誠実に読めば、香山リカさんが如何に周回遅れの議論を仕掛けているかが分かります。
彼女の言説は知的怠惰であると断じて良いと思います。

オードリー・ヘプバーンの「パリの恋人」という映画で、「同感とは他人の感情を理解する事です。共感とは他人の感情をそのまま自分も感じる事です」というセリフがあるそうです。
また、ゴー宣脱正義論には「同情なら情のつながりでいいが、共感はイデオロギーに転化する」とあります。

アイヌの歴史に情を寄せることは大切な感性であると思います。
また、他人の意見や感情を理解し、同意を積み重ねることで社会は形成されてゆくのでしょう。
しかし共感してしまうと、物事を主観でしか見られなくなるから極めて危険であり、思想する者の態度ではなくなってしまいます。
カルト教団などが「異体同心」というフレーズを好んで使いますが、共感とはまさに異体同心という思考停止のマジックワードでしょう。

思考停止の共感はとても心地よさそうに見えます。
俺もついつい手を出しそうになります。
共感さえすれば、与えられた情報だけを鵜呑みにし、自らは何も考えずに済み、共感を求めてくる相手からも「いい人」と呼ばれて、「正しい自分」に酔い痴れられるのですから、こんな楽なことはありません。
まるで覚醒剤です。
まるでコカインです。
げっつい気持ち良さげです。
でもドラッグはダメ、絶対!
てな訳で、俺はシチメンドクセーけども必死コイて自分の脳で考えます。

子供の頃、札幌で過ごしていて一度もアイヌを名乗る人と出会うことはありませんでした。
俺は公営団地(市営住宅)が立ち並び、貧困層が蝟集する治安が激烈に悪い地域で少年期を過ごしました。
そこでは当世風の個人情報の保護なんてなベリークールな考え方はなく、地域の民生委員発信の井戸端ネットワークで、あそこのダンナは覚醒剤で捕まったとか、あの家庭は生活保護を受給しているだとか、あの家は在日朝鮮人だとか、あの子の母親は中国人だとかいう差別意識丸出しモロ出しの噂話が飛び交っていましたが、それでも出自がアイヌである人の噂は一つも聞きませんでした。
しかし俺はゴー宣を読んで気づきました。
俺はおそらくアイヌ系日本人とはどこかで出会っていたのだと思います。
しかし自分がアイヌ系であることを殊更に主張することもなく、一般的な日本人として生活していたのでしょう。
それが北海道で暮らす者の普通の感覚だと思います。

香山リカさんにとってアイヌ協会が認める「アイヌ民族」は良いアイヌとして共感すること出来、そうではないごく一般的に平凡な生活を送っている「アイヌ系日本人」は悪いアイヌだから目を背けるのでしょう。
もはや香山リカさんはカルト教団にハマった信者と同じ心理状態にあると、精神科医でもない俺は看做してしまいます。

No.155 113ヶ月前

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