KUBOTA のコメント


 20年ほど前になるが,長野県駒ヶ根市で野外作業を実施した時に,地元の年配の方々4人に作業を補助していただいた事があった.この時の作業合間の茶飲み話で印象に残る言葉があった.

 それは,「自民党には騙された,俺たち農家の年寄りは,これまでうまいこと利用されるだけ利用されて騙された.今は相手にもされず使い捨てだよ.」「自民党は年寄り農家を相手にしなくても,農家の跡継ぎのサラリーマンの息子や娘が,年寄りに替わって自民党を支持するように育って来たので,俺たちはもういらなくなったのさ.」要旨の,こ長年の経験から得た自民党政治への不信の内容であった.

 この時は,世の中をしっかりと良く見ている農家の人がいるものと感心したが,考えてみれば,今回の安倍首相の「大義なき」衆議院解散総選挙も,マスメディア・識者と称する知的層が囃し立て,メッキにまぶされていた「アベノミクス」なる最悪の経済政策と,安倍首相の数々の悪政・強権政治のメッキが全部剥がれる前に,国民を騙して選挙で乗り切ってしまえの嘘のテクニックで,以前の小泉構造改革の「自民党をぶっ壊す!」のウソ政治の再現.あの時を境として日本の貧困と格差社会が加速したことは数々の実証データで示されている.

 今回の選挙で,しばしば受け皿の野党が無いと良く言われるが本当だろうか?.少なくとも「民主主義」が共通の認識点とすれば,それに現在一番近いのは「日本共産党」であろう.また「社会民主党」や「生活の党」「新社会党」他の一部の良心的人々などであろう.

 ただし,私達の思考経路を精査すると,戦前・戦後の長きに渡って「共産党=私的所有権が没収される=恐い=悪い=貧しい」など,私達多くの人々の脳内に,知らず知らずのうちに共産党アレルギーの種・概念が植え付けられて来たように思われる.しかし戦後最大の民主主義の危機に瀕している今回の衆議院選挙では,ここを点検して「民主主義」の一点で,その脳内に植え付けられたアレルギー概念を再思考することも大切と考える.

 少なくとも,自民党と180度対局にある日本共産党の候補者や,民主主義を擁護する候補者が多数当選すれば,自民党も国会そのほかで利益誘導も出来にくいだろうから,政策の問題点が国会論戦などで明らかになり国会が活発化するだろう.また,日本共産党は上述の国民のアレルギー概念監視下にあるので,少なくとも安倍政権のようなウソ八百の政治は出来ないだろうし,もし期待を裏切るようであれば消滅の危機に瀕することは想像に難くない.

 現在の日本は,憲法をないがしろにしたウソとゴマカシにまみれた「安倍強権政治」で,戦後民主主義・立憲主義の最大の危機に瀕している.

 私達はこのウソに騙されず,少なくとも今回の選挙では,安倍氏のような国民の意思と民主主義を否定する「戦争する国」・「強権政治」を進める自民党候補者には投票をせず,「民主主義」の一点で,それを尊重する「政党」・「候補者」の方々へ投票し当選させる事が,微力な私達国民の一人一人の力で今出来る,民主主義を守る現実的で最も効果のある方法だろう(2014年11月20日).


No.5 120ヶ月前

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