na85 のコメント

 よしりん師範、時浦師範代、みなぼん編集長、スタッフの皆様、執筆・編集・配信、ありがとうございました。

 しゃべクリ2回目のMVPありがとうございました。今回いきなりこの件に触れるには理由があります。私は、以前のしゃべクリ(昴田先生vs茶魔)で、A「男尊女卑こそ日本の伝統じゃい!」B「ぽっくんは女の人の掌の上で遊ばしてもらいたか!」というのを投稿しました。しかし、よしりん師範の6月29日のブログ「男系固執と男尊女卑と集団レイプ」に、都議会での野次事件を批判した上で「男性優位社会を支えてきた言い訳として、『実は男は女の掌の上で転がされてるだけ』というのがある。」という一文がありました。「そうか!この言葉すら男尊女卑を温存する緩衝材でしかなかったのか!」と気づかされた次第です。
 脳科学的に男女の脳機能の特性には違いがあり、男性は情報の分析、女性は感情の統合が得意だとされます。この違いが起こった理由は旧石器時代あたりの人類の祖先に遡るとよく解ります。狩猟に出かけたオスの集団においては、各個体が神経を研ぎ澄ませ、知覚で捉えた周囲の情報から素早く状況判断し、それを闘争や逃走といった適切な行動を起こす筋肉運動に結びつけるわけです。合理的で最小の努力で最大の効果を得ようとするため成果主義に結びつきます。農耕時代に入るとこの能力は専ら他部族・他民族との戦争に使われました。収穫物とメスを守るためです。男が公的価値や大義を振りかざして女を従わせる状況は、このようにして生まれてきたものと思われます。
 女性が得意だとされる感情の統合とはどういうことでしょうか。女性の脳は左脳(言語脳)と右脳(イメージ脳)を結ぶ脳梁が太いため、両者の機能が交錯しやすいとされます。男性が必要事項を論理立てて最短距離で結論に達するように話すのに対し、女性は論理的思考の途中に感情が混じってくるため無駄と思えるお喋りも多くなります。また自分の感覚から得た周囲の変化や自分の体調、さらに好悪の感情までが常に意識に上りやすく、それらを統合して判断できるため合理的判断を超えた解決法を見出すこともあり得ます。そして好悪の感情が判断基準になるということは、求愛してきたオスを受け入れるか否かに結びつきます。
 女が感情スイッチを切ってまで男の示す合理的判断に従う場合というのは、国家規模で言えば異民族による侵略から共同体を守り、異人による大量強姦から女を守るというほどの公的な大義でなければいけません。そうであれば防衛と外交判断を全てアメリカ様にお任せしてきた戦後日本の男には、そもそも日本人女性を従わせる資格が無いと言えます。男尊女卑的な社会制度を維持する資格が無いわけです。日本人男性はそのことを合理的に判っていながら男尊女卑の因習を守ろうとするから、都議会の演台に立って質問する一人の若い女性議員に対して多人数の男による野次や下卑た笑いが起こるという、匿名性が高く非常に卑怯な振る舞いになったのだと思われます。そして最も資格が無いのは親米を党是としてきた自民党における現在の総裁・安倍であることは疑いありません。
 さて、ではなぜ男尊女卑が伝統ではなく因習なのか、それは日本の歴史においては明らかに特殊な事態だと思われるからです。多民族が共存する大陸や、砂漠のような生存に厳しい環境であれば、戦争や過酷な労働に有利な強靭な肉体と、最小の努力で最大の効果を挙げられる合理的精神が役立ち、それは女性より男性が上位に立つことで上手く行く世界です。そこでは唯一神との契約という形の厳しい戒律も女性を従わせるのに役立つでしょう。「汝、姦淫するなかれ」には、一時的な好悪の感情で他民族の男を受け入れてもらっちゃ困るという部族リーダーの男たちの本音が透けて見えます。
 しかし日本列島は全く異なる世界です。温暖湿潤な気候で植物はすぐに繁茂し、多様な生物が溢れて食料にも困らず、四方を海に囲まれているため外敵による侵略の危険も少ないと来ています。このことは逆に言えば、他民族による侵略の危機がよほど高まらない限り男尊女卑傾向を高める必要が無いわけです。ところで日本列島にはモンゴルやシベリア沿海州からも流入しましたが、女が働いて男が遊び暮らしていたような南洋のポリネシア人が、沖縄の島伝いに渡ってきて縄文人の中心を為したと思われます。
 世界では一部のポリネシア語と日本語だけが、自然音や動物の鳴き声、人間の感情音を意味ある言葉として捉え、このことが自然の中にカミを見出すアニミズムを神道として保存できた秘密でしょう。左右の脳半球を結ぶ脳梁が太い女性のほうがカミの声を聴くのに適しており、沖縄の神女(ノロ)や卑弥呼のような巫女が力を持つのは必然であり、宗教的権威としての巫女と政治的権力としての王でヒメヒコ体制を採れば上手く行ったわけです。縄文期1万年も、タミル人が水稲栽培を伝えて以降の弥生期もこれで問題なかったはずです。ただ大陸からの圧迫が強まる古墳時代から奈良朝までは男性的な合理脳で律令制を導入せねばならず、男性天皇と男性官僚が活躍して男尊女卑傾向を強めたことでしょう。また大陸により近い九州では防人を置いて警戒したことが影響して男尊女卑傾向は強くなったと思われ、これが現在まで九州に男尊女卑的風土を遺している原因でしょう。
 遣唐使を廃止して鎖国した平安中期からは、都では女性が普段遣いできる文字も編み出され、多くの女性発の文化が花開きました。皇族や貴族は歌を詠んで求愛しますが、恋の主導権は常に女性にあり、小野小町などは深草少将を百夜拒否し続けて憔悴死させたようです。平安末期になると、名を惜しみ領土を守るために戦う武士(荘園領主)の力が増し、宋との交易が始まったことで他国からの圧迫も意識され、再び世が男尊女卑傾向を強めていき、これが最高潮に達したのが源平合戦から元寇の頃でしょう。
 宗教的権威である天皇から政治権力が武士に付与されて幕府政治が開始されました。民をシラス天皇から民をウシハク武士に実権が移ったことによる矛盾は戦国期の大乱に帰結しますが、乱が収束して江戸期に入ると外国商人の出入りを出島だけに制限した鎖国体制が始まります。外敵を意識せずに済むと男尊女卑傾向が薄れるのが我が国の特色のようです。人口比率1割未満の武家に男尊女卑を残したまま、9割以上の庶民はかかあ殿下に近づいていき、特に全国から農家の二男三男が集まった江戸では、稼ぎの悪い夫に対して女性側から三行半を突き付けても良いという具合に女尊男卑とも呼べる状態が顕現しました。
 明治の開化期、維新の改革によって意識における四民平等はどうなったでしょうか。この時期は外敵による侵略の危機が強く意識されたはずであり、男尊女卑傾向においても庶民の意識が武士のレベルに「引き上げ」られたと思われます。国民男子全てを徴兵して国軍をつくり女子に銃後を守らせるためには、女性に感情スイッチを切ってもらうような家族制度は仕方のない体制だと言えます。すなわち、見合いで気に入らない相手とも結婚するという野蛮なことが御国のためだとして奨励されたわけです。そしてこの体制で日清・日露、そして大東亜を戦ってきたわけですが、壮絶に敗れて様々な武装解除が為されました。
 戦後は安全保障と外交的決断を全てアメリカ様にお任せしてきました。つまり男尊女卑傾向を高める必要はなかったのに、明治期以来の因習としての男尊女卑だけは「必要もないのに」保存してきたのだと思われます。例の女性に感情スイッチを切らせる体制は、高度経済成長期の国際モノづくり企業戦争における企業戦士と銃後の専業主婦の体制に移行されたわけです。しかし、少子化と高齢化が同時進行して内需成長に限界が来たところに、アメリカ様に強要されたグローバル経済によって海外進出した企業の稼ぎが国内に還流しなくなり、もはや男の稼ぎだけでは家を維持できなくなりました。つまり名実ともに男が女を従わせる大義は無くなったわけです。女性は感情スイッチを切る必要はもはやありません。
 しかし現実として男尊女卑体制を維持したい勢力は、上は首相から下はネット右翼まで列島全般に幅広く存在しており、これらが少子化を加速させ、海外からの印象を悪化させ、さらには皇統を断絶の危機に追いやっています。またスイッチを切ることが習い性となってしまった女性が名誉男性となってこれらの勢力を助けてもいます。しかし、アベノミクスの成長戦略の一つ、女性の地位向上とは、もはや共稼ぎでしか家計を維持できない主婦の控除を打ち切ったり、未婚女性や離婚して貧困層に落ちた女性を、自分の権力基盤であるグローバル企業が非正規雇用で安く動員するものでしかありません。まさに女性に「SHINE!(シ・ネ)」と言っています。
 安倍自民党は、男尊女卑体制を維持する名・実の名の面では、外敵の侵略行為という周辺危機に対して個別的自衛権で対応するのでなく、集団的自衛権行使容認で自衛隊員を米軍の戦争に従軍させることで「虎の威を借り」続ける算段です。実の面では、アベノミクスの成長戦略(TPP他)というグローバル企業だけが儲ける体制で上位1割以下の富裕層だけが専業主婦(に加えて複数の愛人?)を囲えばいいという算段でしょう。9割の貧困層および流入してくる移民は、自衛隊に志願して米国の戦争に協力するか、グローバル製薬企業の治験という人体実験のモルモットになれ、という現在の米国の暗部を体現する体制を目指しているとしか思えません。
 天皇陛下は日本国の象徴であり、日本国民統合の象徴です。であれば、現在の日本人の最大公約数の願いは天皇陛下のご意志で象徴されて然るべきかと思うわけです。女性宮家創設で皇統の女系継承に道を開くことが天皇陛下のご意志であり、また御陵の形態において皇后陛下との合装を志向された件に象徴されるように、女性の地位向上が陛下の大御心だと拝察されます。日本国民は男女を問わず天皇の赤子だからです。民をウシハク権力者は自分の権力基盤のために女性を安く都合よく動員したいと考えているわけですが、民をシラス天皇陛下は歴史に鑑みた男女同権を目指しておられるように拝察されます。
 日本国憲法が認めている程度の個別的自衛権(自衛隊法改正…)で外敵の侵略に備え、米軍は置かせてあげているぐらいの立場になり、米国からの理不尽な要求は峻拒し、新分野(脱原発・環境・一次産業復活…)への官民の投資を増やして内需による成長を促し、雇用拡大すれば将来不安も減り、女性は感情スイッチを切らずに結婚相手を選べるようになり、妥協で結婚した末に離婚やストーカー化、虐待といった悲劇も減り、少子化も止まる、このようなウシハクだけでない政策を行える首相が現れれば、男女がともに手を取り合って生業を営むことができるようになり、色々な局面において女性は感情のスイッチを切ることもなくなり、結婚の際男性には本当の誠実さが求められ、ややかかあ殿下気味の家庭が多くつくられるという、歴史に根差した男女同権が成立していけば良いと考えます。

 男尊女卑が伝統だという明治期以降の偽史を破棄しよう na85

No.48 127ヶ月前

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