こいら のコメント

連投失礼します。
「美味しんぼ」の原発問題と鼻血描写の件について。
私は以前、小説を書いてとある文学賞に応募して、予選を通過したことがありますが、その理由は「きちんと取材して実体験に基づいて書いた作品だったから」だと今となっては思えるのです。私の身の上に起こった実体験と、きちんとした取材をして文献にもあたった作品だったから、選考委員(といっても予選では編集者の方ですが)の目に適ったのだと思います。
「美味しんぼ」の作者は、きちんとした取材をしないまま、ネットやメディアの情報を受け売りして原発問題に触れてしまったので、世間からの怒りを買ってしまったのだと思います。この問題に触れるには、少なくとも福島県庁や保健所、厚労省や文科省のスタッフの話を直接訊いて、そこから得られた一次情報を咀嚼してから作品を出すことが、良心的な作家としては当たり前のことです。そういう時間がないなら、せめてよしりん先生の『脱原発論』を読み込んで、きちんとした情報を得てから描いた方がよかったのです。『脱原発論』には「放射能を浴びたら鼻血が出た」という事実は描いてないのです。だから「美味しんぼ」の作家は嘘の情報をたとえフィクションであろうとも公に流布してしまったわけだから、社会的責任は免れないと思います。
それから、このような致命的なミスをなぜ編集者は見逃してしまったのでしょうか?「ゴー宣」とか「わしズム」なんかも編集者の方々が事実との擦り合わせをきちんとやっていたのに、「美味しんぼ」の場合はノーチェックだったのでしょうか?
こんなことは考えたくないのですが、「美味しんぼ」の作者と編集者の関係がなあなあだった可能性がある、と私は邪推してしまいます。漫画の世界でも文壇のように悪しき権威主義がはびこりつつあるのでしょうか?だとしたら漫画という表現の危機だと思いますが…。
もっとも、漫画の描写について政治家やマスコミが「その表現は不適切だから変えろ!」と表現の自由を縛るのは、権力の表現に対する介入であり言論弾圧だと思います。政治家やマスコミに乗っかっているネットの人間もその片棒を担いでいると言えます。
今回の件は、覚悟のない表現者を覚悟のない政治家・マスコミ・ネット大衆が叩いてるだけだと思います。
ただ、「たかが漫画」が社会問題になるということが、漫画の地位が(いいのか悪いのか)上がったっていう証拠なのかもしれませんが…。
長文失礼しました。

No.12 128ヶ月前

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