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「大林宣彦が作っていたのは反戦というよりは好戦映画である」という大意の菊地さんのご見解をどこかで見聞きして、『この空の花』以降の彼の映画作品に感銘を受けていた私でさえ「ああ、そうかも」と思わされたことがありました。
 彼の遺作『海辺の映画館』では、(本編そのものと深く関わるわけではない、ちょっとした劇中劇として)ぞっとするような美しい女優さんが川島芳子を演じてらして(ただその美しさは、いわゆる百合好きのオタクが実写版として有り難がるタイプのそれだったことを付言しなければなりませんが。あと今更その女優さんについて検索したら、『リリィシュシュ』で強姦がらみの役を演じさせられた方でもあるらしく、ああ、そういうイマジネーションを託されがちな女優さん……と少なからず不憫に思いましたが)、そこで「川島さん、あなたこの戦争を楽しんでませんか」と言われるくだりもあったので、監督本人にも自覚はあったのかな、かといってそれで免れるような何かでもないよな、などと複雑な思いにもさせられたので、大林宣彦が実地に述べていたのは反戦的な意見であっても、遺作は「嗜戦映画」の域にまで達していたのかもと思っています。

 ところで、菊地さんの核兵器論にふれていて、「核武装論者たちは全然こういうこと言わないけど、そもそも北朝鮮から核弾頭をひとつ格安で譲ってもらえばいいんだよな」などと思ってしまいました。中華民国からのパンダがいるよりも、北朝鮮から買った安物の核弾頭のほうが東アジア平和の象徴っぽくないでしょうか(笑) こっちから使う気も全然起こらないでしょうし。
 そのニュースを聞きながら「ついに日本も核弾頭を持たなきゃいけなくなっちまったんだよ、あんなの絶対いらないのに」と嘆いていたお父さんは、まだ幼いお子さんから「いらないのにみんな持たなきゃいけないの? それって、なんだかスマートフォンみたいだね」と返され、表情がハッとした瞬間に場面はいきなり『2001年宇宙の旅』みたいになり、スマートフォンそっくりの形をしたモノリスが太陽軌道に並び、スターチャイルドが生まれて地球から核弾頭が一掃される。これによって核兵器やスマートフォンといった愚かなテクノロジーに頼っていた人類の歴史は過去のものとなった……
↑みたいな幻覚を見てしまったのは、ここ数日の大雨でいきなり暑気が払われたせいかもしれません(笑) 奇形の納涼としてご査収ください。

No.8 6ヶ月前
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